日経記事;『真相深層GM、脱「1000万台クラブ」 欧州、インドなど次々撤退』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『真相深層GM、脱「1000万台クラブ」 欧州、インドなど次々撤退』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

7月15日付の日経新聞に、『真相深層GM、脱「1000万台クラブ」 欧州、インドなど次々撤退』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『世界各国の市場から米ゼネラル・モーターズ(GM)の車が消えていく。GMは今年に入り欧州やインドからの撤退を次々に決断。

トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)などと「1000万台クラブ」を形成するGMがあえて規模縮小の道を進む。

「これからどうやって売ればいいのか」。ムンバイ市内のGM販売店で営業責任者を務めるラヴィ・ワズィールさんは嘆く。かつてインドで200を超えていた販売店は150に減った。1万8000台あるとされる在庫処分に頭を悩ませる。

上位3社で6割

インドの2016年度の乗用車市場は約300万台。2ケタ近い成長が続き世界5位の規模となったが、競争は厳しい。排気量1000cc前後の小型車が全体の6割を占め、マルチ・スズキなど上位3社が6割近いシェアを持つ。タタ自動車やマヒンドラ・アンド・マヒンドラなど地場メーカーも上位に食い込む。

GMの販売台数は12年度から5年連続で減少し、16年度は約2万6000台。シェア1%以下では「長期的に利益を上げるのは難しい」(GMインターナショナルのステファン・ジャコビィ社長)と判断した。

インドだけではない。GMは3月には独オペルなどを売却し欧州から撤退すると発表した。オペルは赤字続きとはいえ、16年の販売台数は約100万台。売却は「1000万台クラブ」からの脱落を意味する。それでもメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「業績を高め勢いを加速させる大きな一歩になる」と誇らしげに発表した。

GMの世界販売台数は中国と米国が4分の3を占める。いびつな構造にもかかわらず、バーラCEOはさらに地域を絞る戦略を進める。

インドネシアやロシア、南アフリカなどからも撤退する一方で、利益が期待できる中国やブラジルなどへの投資は拡大する。バーラCEOは「地域ごとの事業の最適化をこれからも続ける」と宣言する。

米自動車サイト、オートトレーダーのミシェル・クレブス上級アナリストは「GMが進めているのは利益率が低く将来性がない市場から撤退する選択的グローバリゼーションだ」と指摘する。

1990年代後半、自動車産業では合従連衡が相次いだ。独米大手の合併でダイムラークライスラーが誕生し、日産自動車は仏ルノーの出資を受け入れた。規模こそが生き残りの条件とされ、「400万台クラブ」との言葉も生まれた。

それから約20年。見えてきたのは、国や地域によって規制や競争相手などが異なり、思うように規模のメリットを生かせない現実だ。

GM以外の自動車大手も地域に偏りがある。VWは欧州と中国が販売台数の約8割を占め、トヨタも日本と北米で全体の半分を売る。自動運転車や電気自動車(EV)などの開発費が膨らむ中、強い地域での利益確保が欠かせなくなっている。

米市場停滞が影

米国市場が停滞し始めていることもGMの背中を押す。米フォード・モーターは株主の圧力の高まりを受けマーク・フィールズ前CEOを事実上解任した。株価が伸びないGMにも、著名投資家デイビッド・アインホーン氏率いる米ファンド、グリーンライト・キャピタルが圧力をかける。

新興国市場を切り離す動きはほかの産業でも広がっている。米マクドナルドは1月、中国事業を中国国有企業などに2400億円で売却。英携帯通信大手ボーダフォン・グループは3月、インド事業を現地携帯大手と統合し連結対象から外すと発表した。

90年代、低成長下で事業の多角化を進めていた欧米企業は、新興国市場の急拡大を背景に本業回帰とグローバル化にかじを切った。そして今、規模よりもライドシェア(相乗り)サービスなど新事業の育成を優先するGMが象徴するように、欧米企業のグローバル戦略に転機が訪れている。

規模追求か利益優先か。国内市場が縮み海外展開が欠かせない日本企業も避けては通れない課題だ。』

現在、世界の大手自動車メーカーは、ここ数十年の間で経験したことがない、事業環境下に入ろうとしています。

最近、三つの大きな動きが出ています。

まず一つ目は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した自動車の需要が、そう遠くない将来激減する可能性が高いことがあります。

その理由は、CO2削減を行わないと地球温暖化の動きを抑えられないことと、空気の汚染防止のために、内燃機関を搭載した自動車そのものの販売を禁止する動きです。

アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州などは、排ガスを出さない無公害車の販売を義務付けるZEV;Zero Emission Vehicle規制を2017年より強化します。

ここで求められる自動車は、一切のCO2を出さない自動車ですので、HV(ハイブリッド車)は対象外となり、販売できる自動車販売、EV(電気自動車)か水素燃料電池車になります。

アメリカ市場では、テスラモーターズやグーグルなどが積極的にEVの開発・実用化を進めていることと、現時点では水素ステーション設立の動きが本格化していないことなどから、EVが次世代環境対応車の主力になります。

また、フォルクスワーゲンなどの欧州自動車メーカーは、ディーゼルエンジンの燃費性能の不正操作を行ったことで、一斉にEV対応を加速させています。

また、最近、独ダイムラーが100万台以上のディーゼル車で違法な排ガス制御をしていた疑いが7月12日に報じられました。現在、捜査中とのことです。

一方、スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーは7月5日、2019年以降に発売するすべての車種を電気自動車(EV)やハイブリッド車などの電動車にすると発表しました。

中国政府は、大気汚染への対応などからEVなどの普及に力を入れる方針を明らかにしています。

このように、日本を除く海外市場では、EVの開発・実用化が加速しています。もし、次世代自動車の主役がEVになると、内燃機関を搭載した自動車の開発・実用化ノウハウの多くは、不要になります。

内燃機関を搭載した自動車の開発・実用化に比べて、EVの開発・実用化の難易度が低くなります。

このことは、多くのEVメーカーが自動車市場に参入することを意味します。EVの販売単価も、内燃機関を搭載した自動車に比べて、構造が単純なことから、安く設定されるとみています。

二つ目は、自動運転車の開発・実用化です。この自動運転車の開発・実用化で、他社より先行しているのは、米大手ITベンダーのグーグルです。

グーグル自身は、決して自動車メーカーにならないと、現時点では宣言しています。グーグルは、自動運動機能付EVを開発・実用化して、動く電子端末機器とする事業計画をもっています。

動く電子端末機器が増えると、インターネット活用の機会が増えて、検索エンジン連動型の広告収入の拡大を見込めます。

自動運転車は、IoT対応になりますので、グーグルは毎日多くのデータを収集でき、人工知能の性能向上に大きく貢献します。

人工知能性能を向上させて、インターネットを通じたサービスを新規に開発・実用化して、更なる収益拡大を実現する動きになります。

自動運転車の開発・実用化は、すべての自動車メーカーが加速させていますので、2020年ころには一定程度の性能をもった自動車が市場に導入されます。

三つ目は、自動車を所有する形態から、複数の人で共有する、あるいはシェアリングの形になる割引が増える可能性があることです。

人々が自動車を共有することは、自動車の市場が縮小して販売台数が減少することを意味します。

このたび、GMが収益確保を見込めない地域や国からの事業撤退を決めた背景には、上記三つの大きな事業環境変化があるとみています。

GMは、事業規模の拡大より、集中と選択を加速させて、筋肉体質の経営体にして、巨額の開発投資資金を確保する動きです。

かって、米の大手コンピュータメーカーであるIBMが、収益確保が困難になると判断して、パソコン事業を中国企業に売却した動きと同じです。

今後、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などの国内自動車メーカーが、どのような動きを行うのか、注目していきます。

これは、自動車産業が国内経済に大きな影響をもっていることによります。また、事業環境が激変する中で、各国内自動車メーカーの動きは、中小企業の参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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