- 今井 大輔
- 注文家具屋 フリーハンドイマイ 代表取締役社長
- 神奈川県
- キッチン・インテリアデザイナー
これからご紹介するのはGさんのキッチンです。
このGさんの素材の選び方、使い方はこの1年で大変私にとっての大きな糧となりました。
Gさんが当初希望されていた樹種はナラ材でしたが、もう少し粗い素朴な感じが良いとのことで、
「このクルミでも木目をわざとバラバラにしてほしいのです。」
通常私たちが家具を作る場合は、木目をつなげてその流れの美しさを楽しむ作りにすることが多いです。
その方が木の見た目の動きも実際の反りなども不自然ではない動きになることが多いので。
でもMさん、パズルのようにバラツキを出したい、その具合はお任せします。ということになったのでした。
この加減が、一番難しいところでもありましたが、気に入っていただけたので良かったです。
そして、次は天板。
「天板はゴツゴツした感じが良いのです。」
「ゴツゴツした感じとはどのような感じでしょうか。」砥石のサンプルをお見せすると、
「そうそう、この感じ。」と言って指示して下さったのは、サンプルの仕上がっていない裏の面。
調べてみるとカウンターにはあまり向かないのですが、バーナー仕上げと言うのもあってこれだとゴツゴツした表情のまま仕上げられることが分かったり、
改めて石屋さんに相談すると、セラミックカウンターと言う当時はまだ耳なじみのない素材があったりしたのです。
でも、コストの面などを考えて、今回はコーリアンのラバロックと言うくすんだ柄で天板を作ることになったのです。
「DUPON コーリアン ラバロック」はサンプルで見るともう少し光沢があったのですが、
実際はこのくらい鈍く光っている程度。床のタイルともほどよくあっていて、
派手になりすぎない色みがGさんらしい選び方だったのだと思います。
調味料、ボトル用の引き出しはスライドレールは底につく普段は見えないタイプのソフトクローズレールなので、
動きもきれいで見た目もきれいです。
引き出しはすべて本体のカラーに合わせて、濃い目のグレーの化粧板で作りました。
引き出しと側板の角の部分はそのうちかけちゃう可能性がありますよ、
と言うお話はしたのですが、トメにしてほしい、ということで、この納め方に。
これがなかなか大変でしたが。
でも、クルミと濃いグレー色が天板と床の色味を合わせたことで、バラつかせたくるみの板目がまとまり、引き立ち、
コントラストが美しいキッチンに仕上がりました。Gさんのセンスはさすがですね。
セラミックトップのキッチンのCMをしている為か、製作例の中でも、Gさんのキッチンは目を止める方が多く、とても人気があるのです。すてきなご縁をありがとうございました。
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