日経記事;『「空飛ぶクルマ」離陸 トヨタが支援 20年の実用化目標』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『「空飛ぶクルマ」離陸 トヨタが支援 20年の実用化目標』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

5月14日付の日経新聞に、『「空飛ぶクルマ」離陸 トヨタが支援 20年の実用化目標』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『トヨタ自動車が「空飛ぶクルマ」の実用化に向けて、社内の若手有志が中心になって進めてきたプロジェクトに資金拠出する方針を固めた。

米国の新興企業や航空機会社が相次ぎ参入を表明するなど、今最も注目を集める分野だ。次世代モビリティー(移動手段)論争が熱を帯びるなか、「空」が有力な選択肢として浮上している。

空飛ぶクルマは従来、有志団体「カーティベーター」のメンバーが勤務時間外に開発を進めてきた。資金はネットで広く支援を募るクラウドファンディングなどに頼っていた。今回、トヨタやグループ会社が4千万円規模の資金を提供することで大筋合意した。

今後は複数のプロペラを制御し機体を安定させる技術を確立し、2018年末までに有人飛行が可能な試作機を完成させる計画だ。東京五輪が開催される20年の実用化を目指す。

クルマは進化を続けて利便性を高めてきたが、排ガスによる環境問題や新興国などの渋滞は深刻だ。ひずみ解消へ自動車各社は電気自動車(EV)や燃料電池車など新たな動力源のクルマを開発、自動運転の研究も進めている。

個人の移動手段として空飛ぶクルマがにわかに注目を集めるのは、従来の延長線上ではない形で、現在の自動車が抱える問題を解決できると期待されているからだ。道路そのものが不要になれば、渋滞はなくなる。垂直で離着陸できれば滑走路も不要だ。人の動き、流れが劇的に変わる可能性を秘める。

「フライヤー」など呼び名は様々だが、すでに米グーグル共同創業者、ラリー・ペイジ氏が出資する米新興企業、キティホークなどが実用化計画を示している。

欧州航空機大手エアバスは年内に試験飛行を始めると公表。ライドシェア(相乗り)の米ウーバーテクノロジーズは4月、空飛ぶタクシーの開発計画を発表した。「空飛ぶ」は決して絵空事ではない。

安全性の確保に加え、免許や交通ルールなどの法整備といった課題は山積する。EVや宇宙開発といった野心的な事業計画で知られる米起業家イーロン・マスク氏でさえ「騒音や風といった課題があり、頭上を飛行すると不安に思う」と発言している。ただ、トヨタなど大手企業が支援して開発が加速すれば、議論が厚みを増すのは確実だ。

カーティベーターは12年、現代表の中村翼氏が社外のビジネスコンテストに参加したのをきっかけに発足。オーダーメードのEVという計画で優勝し、その後、アイデアを練り直すなかで空飛ぶクルマにたどり着いた。

「わくわくするモビリティーを実現したい」。こんな思いに賛同し、デザインや機械設計などを担当する約30人が加わる。グループ外からもドローン(小型無人機)の開発で実績を持つ三輪昌史徳島大准教授らが参画した。ガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業者、孫泰蔵氏らも支援者に名を連ねる。

一方、事業の推進体制はなかなか固まらなかった。開発加速のために独立やベンチャーキャピタルからの資金調達なども模索するが、思い通りに進まない。

15年半ばにはトヨタ幹部に支援を直訴するが、具体的な動きにはつながらなかった。「悔しい」。メンバーのひとりは漏らしていた。

トヨタの研究開発に対する姿勢が徐々に変わり始める。15年11月に技術系の新興企業に投資するファンドを設立することを決め、16年に入ると外部の専門家をトップに据えた人工知能(AI)の研究開発子会社を米国に設立した。

トヨタは10日、18年3月期の研究開発費を過去最高水準に迫る1兆500億円とする計画を発表した。技術革新への備えは盤石なようにみえるが実態はやや異なる。

「将来のクルマは現在とは全く異なる形になっているかもしれない」。トヨタ幹部は危機感をあらわにする。IT(情報技術)企業や新興企業など、異質な考え方や速さを持つ新たなライバルとの競争が始まっており、従来の枠組みを超えた突き抜けた発想も必要とみる。

カーティベーターは社員でありながらチームの組成や資金調達といった経験を重ね、外部とのつながりを強めていた。一部には慎重な見方があったものの関係者によると内山田竹志会長が「技術の完成を待って資金を出すやり方では前進しない」と判断。草の根の革新に賭ける。

トヨタはかつて、事業の柱を自動織機から自動車へと大胆に変えた経験を持つ。それからおよそ80年。再び技術の大転換期を迎えている。小さな一歩だが、新たな取り組みは非連続な変化を乗り越えるきっかけになるかもしれない。』

最近のトヨタ自動車は、かっての垂直統合型の固い自動車製造事業者としての顔から、明らかに変化しつつあります。

きっかけは、国内外の自動車産業を取り巻く事業環境の急変化にあります。典型的な動きは、米大手ITベンダーであるグーグルが、自動運転機能付EVの開発・実用化を積極的に進めており、近々に市場導入する状況になりつつあることによります。

グーグルは、自動車メーカーになる経営的意図はありません。自社のインターネット広告の収益拡大のために、インターネットの出口端末を広げる必要があり、自動運転車(EV)を出口端末にすることが、グーグルの事業目的です。

おそらく、アマゾンやアップルなどの米大手ITベンダーも、同じような事業目的で、自動運転車(EV)の開発・実用化を進めています。

また、EVでは、テスラモーターズが強力な競合先として存在しており、この会社も自動運転車の開発・実用化を積極的に進めています。

自動運転車がEVであることは、現時点では二酸化炭素などの排出がない完全な環境対応車であることと、ガソリンエンジン車や水素燃料電池車に比べて、自動車本体の構造が簡単であることから、選ばれています。

要は、EVは少々極論を言いますと、今までの自動車開発・実用化のノウハウを持っていなくても、どの企業でも事業化できます。

米大手ITベンダーは、今まで既存事業基盤を破壊・再構築してきた歴史をもっています。自動車事業も例外になりません。

しかも、米大手ITベンダーは、自社に工場を持たないで、ファブレスでハードウェアを開発・実用化して、オープンイノベーションを徹底的に活用して、迅速かつ急激に事業化してきました。

トヨタ自動車は、自動車のIT化、電気自動車化(EV)の流れと今後の既存事業基盤への深刻な影響を十分に理解しているとみます。

トヨタ自動車が、2016年に米国シリコンバレーに巨額を投じて、本格的なIT・人工知能(AI)の開発拠点を構築したことと、人工知能(AI)国内ベンチャーであるプリファード・ネットワークス(PFN)への資本提携などを行っていることは、上記の背景があることは明確です。

本日の記事は、トヨタ自動車などが社内の若手社員が中心になって結成した有志団体「カーティベーター」に、彼らが開発・実用化を進めている「空飛ぶクルマ」に4千万円規模の資金を提供することについて書いています。

この「カーティベーター」は、トヨタの正式な開発・実用化のプロジェクトではありません。このプロジェクトには、トヨタ社員以外の人たちも参加しています。

トヨタが今回4千万円の資金提供を決めたことは、今後の新規事業立上の可能性の芽を外部の専門的知見や知識・ノウハウを活用して、取り入れられるものは、採用していこうとの意思表明だと理解しています。

空飛ぶ車は、すでにグーグル、ウーバーなどの大手ITベンダーが開発・実用化を進めています。多分、ドローンの物流用途開発・実用化を進めているアマゾンも、確実にこの空飛ぶ車事業に参入してきます。

トヨタは、これらの大手ITベンダーのなどの動きを見ながら、この未来商品の開発・実用化を短期間に行うために、4千万円の資金提供を決めたと推測します。

トヨタなどの国内製造事業者は、米GEの事業のやり方を参考にする必要があります。GEは、競争力の無くなった家電事業などは、売却、あるいは事業撤退しながら、インターネット・IT・人工知能(AI)の動きを先取りする形で、ソフトウェア開発力を集中化して短期間に競争力を高めようとしています。

また、GEは稼ぐビジネスモデルをハードウェアの単体販売から、IoT対応などにより付加価値をつけて、顧客側と継続的な事業関係を構築して、連続的に収益確保を図れる形に変えつつあります。

トヨタが、国内大手製造事業者の先陣を切って、GEのようにインターネット・IT・人工知能(AI)をフル活用して、既存の自動車単体の製造・販売のビジネスモデルから、GEと同じように顧客と継続的な関係作りができるやり方に変えることを期待しています。

自動運転機能付EVが急速に普及すると、今のガソリンエンジン車の単体販売のビジネスモデルは、維持できなくと推測します。

自動運転機能付EVは、各個人が所有するより、シェアする、あるいは必要な時だけレンタルで使うやり方に変わっていくと推測していることによります。

商品開発・実用化の難易度や開発期間の短縮や迅速化など、大きな事業環境の変化も起こるとみています。

上記視点から、今後のトヨタの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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