日経記事;『ZARA、自前主義の力 物流網スペイン集約 社内に建築家約30人』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『ZARA、自前主義の力 物流網スペイン集約 社内に建築家約30人』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 新規事業開拓・立上

皆様、

こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

5月13日付の日経新聞に、『ZARA、自前主義の力 物流網スペイン集約 社内に建築家約30人』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『「ZARA」ブランドを展開する衣料世界大手インディテックス(スペイン)の強さが際立っている。流行をとり入れつつ低価格を誇るファストファッションは伸び悩みが指摘されるが、その中でも力強い成長力を持続。

売り上げ規模、効率で「ユニクロ」など競合他社を上回り、時価総額でも圧倒する。秘訣は徹底した本社主義、自前主義だ。

スペイン国内から発送された商品は48時間以内に世界中の店舗に届く。

東京・新宿にあるZARA店舗。ワンピースやシャツなど店頭に並ぶ服は48時間前までスペインにあった。空輸も駆使して2日で世界中に届けるサプライチェーン(供給網)は、ファッショントレンドの小さな変化を逃さないインディテックスの生命線。支えるのは、スペインに10カ所ある自社物流施設だ。

首都マドリード近郊の18万平方メートルの巨大拠点では、毎日100万着の服が搬入され、世界の店舗へと発送される。人の姿はまばら。店舗ごとに振り分けた2千超のレールをハンガーにつるされた商品が通っていく。

案内人は色柄などの情報を書き込んだ電子タグだ。過去4~5年で10億ユーロ(約1200億円)を物流や情報システムの技術開発に充てている。

国外で縫製した洋服も全て一度スペインに集める。物流の非効率さよりも、配送ミス排除、品質チェックの徹底など1カ所から世界中に発送するメリットを重視する。

世界2、3位のヘネス・アンド・マウリッツ(H&M、スウェーデン)、ファーストリテイリングも売り上げを伸ばすが、増収率や売上高営業利益率で届かない。時価総額は14兆円とほぼ3倍。一人勝ちの様相だ。

商品面では「ものづくり」としての企業哲学が色濃く残る。H&Mは婦人服店、ファストリは山口県宇部市で開いた紳士服店が発祥。一方、インディテックスは1963年に開いた工場がスタートラインだ。

小売りが「売り逃しを嫌って多く仕入れる」のに対し、期中で機動的に生産量を調整できるのが同社の高利益率をあげられる秘訣だ。在庫を最小限に抑えられるので在庫処分のセールは少ない。

必要なものは自分たちでつくる――。グローバル企業となった今でも、創業の地ラコルーニャに本部を置くのはものづくりへの強いこだわりだ。

自社工場で生地を裁断し、スペインやポルトガル、モロッコなどで縫製。再び自社工場に戻しアイロンなど仕上げを担う。「衣料品といえばアジア生産」だが、インディテックスは60%を欧州など近隣国でつくる。人件費が多少高くても求められる商品を素早く、というスピード最優先の表れだ。

店舗の内外壁、什器(じゅうき)のデザインも自社で担う。本社内にはいくつもの店舗を模した一角がある。手掛けたのは、約30人の社内建築家。世界のZARA店舗の基本思想を固める。広告宣伝を多く投じない同社は、店舗を最大の情報発信拠点と位置づける。デザイン、色合い、材質に徹底的にこだわれる。

「企画、生産、販売の会社だった。これからは服に関する全部のことをやる」。ファストリの柳井正会長兼社長はこう語り、今、物流や情報システムに力を注ぐ。服作りにかかわるすべての工程に自社が関わる体制を構築しようとする視線の先にあるのは、世界王者インディテックスなのだろう。』

私は、数カ月に一度バンコク、ハノイ、ホーチミンなどのアセアン地域を訪問しています。

この時に、感じるのがファッション市場でのZARAブランドの強さです。衣料品の販売価格帯が、3千円から1万5千円クラスの「ローワーミドル(Lower-middle)」クラス帯の市場規模が最も大きい分野では、ZARAブランドが他社を圧倒しています。

この分野では、ZARA、H&M、ユニクロなどのファストファッション系や現地大衆ブランドの衣料品が、主役になります。

現時点では、日本のユニクロは残念ながらZARAのように主役になっていません。

ZARAのビジネスのやり方は、メーカーそのものです。このやり方は、パソコン大手のDELLが、世界で初めてパソコンの世界市場向けインターネット・IT・人工知能(AI)の基盤を作ったやり方と同じです。

DELLは、米国テキサス州オースティンの本社にて、パソコンの企画・開発・設計を行い、協力企業から部品、基板などを調達するとともに、半完成品をノックダウン、あるいはフルノックダウンの形で製造してもらい、それをオースティン本社工場に搬入して、DELLブランド付きの完成品として、米国内及び海外に輸出していました。

顧客からの発注は、すべてWebサイトで受けて、受注後顧客の要求仕様にあったものにカスタマイズして、出荷していました。

毎朝、オースティン本社工場に部品や半完成品が搬入され、最終組み立てと出荷検査を半日で行い、昼過ぎには工場から出荷されるやり方でした。

当時、私は、会社員であり、DELLのパートナー企業に勤務しており、この半完成品に関わるモノやお金の流れ、ビジネスフロー構築を、当時最先端のインターネットシステムを使いながら構築支援していました。

当時のDELLの経営スピードは、日本の製造企業とは比べもにならないほど速く、大きな感銘を受けました。

DELLのオースティン本社や本社工場には、たびたび訪問して、彼らの意思決定の速さや合理的基準の設定の仕方などをつぶさに学びました。

この原体験が、今の経営コンサルタントとして、支援先企業が新規事業立上や海外販路開拓などを行うときに支援する基礎の一つになっています。

このDELLのやり方は、自社で本格的な製造ラインをもたず、自社は商品の企画・開発・設計・マーケティングに特化して、ファブレスかつ、水平分業型であり、インターネットをフル活用する(インターネット通販)ビジネスモデルのハシリであったと考えます。

このやり方をさらに推し進めたのが、アップルです。iPhoneは、水平分業型のオープンイノベーションを徹底的に推し進めたビジネスモデルで商品化されています。

ZARAは、衣料品分野でDELLのような先駆的なやり方で、業務効率を上げています。ZARAのWebサイトなどをみますと、ZARAはトヨタ自動車のカンバン方式;ジャストインタイム(JIT)システムを導入して、数日で材料、製造、製品の完成、世界中の店舗への流通の段階で自己封じ込めるビジネスモデルを確立しています。

要は、ZARAは新製商品を開発してから、当該商品を店舗に持ち込むのに1週間しかかからず、毎年約12,000の新しいデザインを発売しています。

ちなみに、衣料品業界では、一般的に新商品開発してから、店舗に持ち込むのに数カ月かかっています。

ZARAは、商品化リードタイムの短縮を第一優先にしているので、衣料品製作は、すべてスペイン本社の近隣の工場に委託しています。決して中国やアジアには製作委託していません。製造コスト削減より、製造リードタイムの短縮化を優先しています。

このZARAのやり方自体は、初期のDELLと同じメーカーの発想とロジックで一貫性をもって運用されています。

最近、ユニクロを事業展開しているファーストリテイリングが全社を挙げて進めるているのが「有明プロジェクト」です。

これは、東京・有明に大型のオフィス兼物流拠点を開設。2017年2月にオフィス部分が稼働し、これまで東京・赤坂の本部で勤務していた社員など約1000人が移動しました。

商品企画、マーケティング、生産など、ほぼ全ての部署を1フロアに集めたのが特徴であり、ITをフル活用すると表明されています。

ユニクロの場合、現在、半年から1年前にデザインを決めて素材を調達し、商品を作る「期初生産」が主流です。

このやり方だと、不良在庫が出るリスクがありますので、ユニクロは新体制で不良在庫の徹底的な削減を目指しています。

ユニクロの新規のやり方は、ZARAを意識しているとみています。ユニクロが世界市場でZARAやH&Mなどの世界企業で競争して、打ち勝つためには更なる自己革新が必要になります。

米国のアマゾンは、今後、ZARAやH&Mを意識して、さまざまなやり方で事業展開してくるのは確実です。

今後、「ローワーミドル(Lower-middle)」クラス帯の市場規模が最も大きい分野での競争は、熾烈を極めます。

この事業環境下で、ユニクロがどのような手を打って、ZARA、H&M、アマゾンなどと競争していくのか、および、ZARAの今後の事業展開のやり方にも強い関心をもって注目していきます。

ZARAの経営のやり方は、国内製造事業者が世界市場で事業するときの、参考事例の一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム