日経記事;『アマゾン 出版と直接取引 一部書籍、取次の日販介さず 売れ筋以外も迅速配達』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『アマゾン 出版と直接取引 一部書籍、取次の日販介さず 売れ筋以外も迅速配達』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

5月2日付の日経新聞に、『アマゾン 出版と直接取引 一部書籍、取次の日販介さず 売れ筋以外も迅速配達のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『アマゾンジャパン(東京・目黒)は一部の既刊本について出版取次大手の日本出版販売(日販)への発注を6月末で取りやめる。

日販に在庫がない書籍を調達する際に、アマゾンが出版社から直接取り寄せる方式に順次改める。書店と比べて大量の種類の書籍を取り扱うネット販売を効率化するため、出版社との直接取引を拡大するアマゾンの動きが加速しそうだ。

アマゾンは大量の種類の書籍を取り扱うネット販売を効率化する。

アマゾンから日販への書籍の発注は、日販が在庫を持っている書籍を仕入れる場合と、在庫を持たない書籍を取り寄せる場合の2種類がある。

従来は後者の場合も、日販が出版社から書籍を取り寄せてアマゾンに供給していた。流通量が少なく大量の在庫を持つ必要がない書籍が中心で、今回はこの発注の流れを日販を介さない直接取引に改める。

アマゾンはネット通販で注文を受けてから数日以内にあらゆる書籍を届ける体制を目指している。一部の書籍が集中的に売れる実店舗と異なり、ネット通販では少量でも長期にわたって売れる商品の注文が多い。

こうした書籍の供給について、アマゾンが求める調達のスピードに、日販とずれがあったとみられる。日販への発注を取りやめる書籍については、一時的に在庫の確保が難しくなるが、円滑に仕入れられるよう出版社に個別に働きかけていく。

アマゾンは今年はじめに専用の物流拠点を設けるなど、出版社との直接取引に向けた体制整備を進めている。専用のトラックが出版社の倉庫から書籍を集めて全国の専用倉庫に運び、沖縄を除く地域で発売日当日に消費者に届けるサービスを今秋までに始める計画だ。

出版科学研究所によると、出版取次を介した出版物の販売額は2016年に約1兆4700億円。12年連続で前年を下回り直近ピークの04年から4割近く縮んだ。アマゾンが直接取引を拡大すれば、取次経由を原則とする日本の出版流通が大きく変わりそうだ。』

アマゾンは、何度か本ブログ・コラムで述べていますように、既存の流通基盤を破壊・再構築していくやり方で、インターネット通販事業を拡大させてきました。

アマゾンは、貪欲に取扱商材の拡大と、ネット通販事業の高効率化を目指します。これは、アマゾン創業者の経営理念である、消費者のために良いことはすべてやることから来ています。

アマゾンは、当然のごとく、現在流通しているすべての商材を自社のインターネット通販事業の対象商品とすることと、高効率な物流体制の維持強化を、既存事業者を駆逐しつつ行っていきます。

このアマゾンのやり方は、一般的に消費者から支持されますので、アマゾンの事業規模は拡大していきます。

一般消費者の視点からは、購入したい商品が安く、欲しいときに購入できるのがベストになります。

アマゾンは、この一般消費者の基本的な欲求に応えることでことで、日本を含む世界市場で、流通事業の勝ち組になろうとしています。

アマゾンが、日本で書籍販売するときに、国内の出版業界とやり取りがありました。

国内出版業界からは、アマゾンが国内の既存流通基盤を破壊されるとの危惧があり、幾つかの事項が取決められました。

アマゾンは、一部出版社との間で、直接書籍を購入する仕組みを取り入れることができました。

その他の仕組みとして、アマゾンは出版取次店から書籍購入を行います。本日の記事にあります日本出版販売(日販)は、大手の出版取次店になります。

日本には、企業数自体は減少していますが、2013年時点で以下の出版社と書店があります。

★出版社数:3,588(出所:小田光雄「出版状況クロニクル78(2014 年10 月1 日~10 月31 日))
★書店数:14,241 (出所:店向けFax DM・FAX送信の日本著者販促センターのWebサイト)

この出版社と書店がこれだけ数多く存在していますので、両者が個別に直接取引するやり方は、現実的ではありません。

出版社と書店の間に入って、その間をつなぐのが出版取次店になります。出版取次店は、卸の役割と委託販売制度により、書店が在庫管理を考えなくても良い事業環境を作っています。

その結果、日本の出版業界は、取次店が大きな機能をになってきました。

アマゾンは、この出版事業基盤に風穴を開けつつあります。本日の記事は、大手取次店である日本出版販売(日販)が在庫をもっていない書籍を対象に、直接出版社から購入するやり方に変えることについて書いています。

つまり、アマゾンが出版社との直取引(e託取引)を増やすことにつながります。
たとえば、アマゾンは、2015年に大手出版社のKADOKAWAと直取引を開始しました。

アマゾンは、この出版社との直取引を可能な限り拡大する意向があるのは自明の理です。

アマゾンが出版社との間で、「Win/Win」の関係が構築できれば、アマゾンの直取引の事業規模は拡大します。

アマゾンが直取引を増やすと、出版社⇒取次店⇒書店という現在の書籍流通ルートが維持できなくなる可能性があります。

一方、出版市場は、毎年縮小している現実があります。本日の記事にありますように、「出版取次を介した出版物の販売額は2016年に約1兆4700億円。12年連続で前年を下回り直近ピークの04年から4割近く縮んだことになります。」

このような事業環境下で、中継取次店であった栗田出版販売(2015年6月26日、民事再生法適用)、太洋社 ( 2016年3月に破産)など取次店の経営環境も厳しさを増しています。

アマゾンが、この縮小する出版市場で直取引を増やせば、他のインターネット通販事業者である楽天、ヤフー、ヨドバシドットコムなども、アマゾンとの競争に対応するため、書籍事業のやり方を見直す必要が出てきます。

インターネット・ITの歴史は、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、既存事業基盤を破壊・再構築してきたことを示しています。

この視点から、今後のアマゾンの国内出版事業に対するビジネスのやり方と、その影響について注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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