日経記事;『みずほ、IT新会社 伊藤忠などと、AI活用し新事業』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『みずほ、IT新会社 伊藤忠などと、AI活用し新事業』に関する考察

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皆様、

こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月30日付の日経新聞に、『みずほ、IT新会社 伊藤忠などと、AI活用し新事業』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『みずほフィナンシャルグループ(FG)は6月をメドに、IT(情報技術)分野のベンチャー企業をつくる。仮想通貨や人工知能(AI)を活用した審査といった新たな事業を開発し、将来は株式公開を目指す。

金融とITを融合したフィンテックの拡大に伴い、大手銀の取り組みが活発になってきた。

6月の新会社設立を目指しており、ベンチャーキャピタルのWiL(米カリフォルニア州)と近く、詰めの協議を始める。資本金は最大1億円。筆頭株主はWiLとし、伊藤忠商事、損害保険ジャパン日本興亜、第一生命保険などがそれぞれ数%ずつ出資する。

みずほFGの出資は連結対象として最終損益が親会社の決算に反映される持ち分法の適用会社にならないよう15%未満にする。

みずほの持ち分法適用会社になると企業会計ルールに沿って監査や決算、事業判断といった様々な面で制約が増え、意思決定や技術開発の速度が落ちやすくなるためだ。

新会社は事業の芽を育てるインキュベーション(ふ化)の役割を担う。事業化に成功して利益を上げられるようになれば、M&A(合併・買収)や新規株式公開(IPO)を検討する。まず東南アジアで電子マネーを発行する構想があり、新会社を通じて現地進出の日系企業と連携することを視野に入れる。

みずほは銀行からデジタル技術開発を手掛ける社員らを新会社に出向・兼務させる。新規採用や他社からの人材派遣も合わせ50~60人規模にする。』

このところ、三菱東京UFJや三井住友銀行などの国内メガバンクが、フィンテックの本格活用・実用化を目指して、積極的に動いています。

本日の記事にありますみずほフィナンシャルグループの動きもその一つになります。

なぜ、このように国内メガバンクがフィンテックに積極的に動くようになるのか。
それは、インターネットやITが製造業やサービス業などの既存事業基盤を破壊・再構築してきた歴史をもっていることによります。

金融事業に対するインターネットやITの浸食が、フィンテックになります。ビットコインなどの仮想通貨や仮想通貨の流通を支えるブロックチェーンなどがフィンテックの現時点での技術的仕組みになっています。

現在、メガバンクを含む国内金融機関は、預金者から集めたお金をいろいろな投資などで運用して、利益を稼いでいます。

国内金融機関は、預金者保護法などを含むさまざまな規制下で事業を行っており、政府の保護を受けるとともに、各種規制下で銀行口座や送金・決済の仕組みに対して高度なセキュリティの保証を義務付けられています。

必然的に国内金融機関は、現在の金融システムを支えるために大型コンピュータを導入して、複雑多岐な取引を成立させ、高度なセキュリティ対策を行うために、多額の投資を行い、そのシステムの維持に多額の運用コストを払っています。

フィンテックは、そのような強固な事業基盤を不要にする可能性をもっています。特に、ブロックチェーン(分散型台帳と呼ばれている)の技術は、インターネットでつながった複数のパソコン上でほぼ同時に共有することで、記録の改ざんが難しく、第三者の認証なしに記録の正当性を担保できるものです。

すでにブロックチェーンは、一部の新興国で金融機関を通さないで送金ができる仕組みとして採用されています。

金融機関を通す送金に比べて、送金を短期間にかつ、安い手数料で実行できる利便性が支持されています。

ブロックチェーンを活用した送金は、国内で行うネットバンキングのような手軽さで行えます。

いったん、ブロックチェーンでの送金を行った経験をもつ消費者は、金融機関の既存サービスを使うことは基本的に無くなります。

このような動きが、日米欧の先進国で普及すると、既存の金融機関はその存在意義が希薄化します。

金融機関は、上記しましたように、インターネット・ITが既存事業基盤を破壊・再構築してきた歴史をみていますので、先手を取って自らフィンテックをとりこもうとしているとみています。

米国では、シリコンバレーやニューヨークなどで、さまざまなITベンダーがフィンテックを活用した新サービスを開発・実用化しており、その動きは加速しています。

アップルやアマゾンなどの米大手ITベンダーも、決済・為替ではApplePay、貸付ではamazonlendingなどのフィンテックビジネスを開始しています。

いずれ、これらの米ベンチャー・大手ITベンダーは金融事業により積極的に参入して、既存事業基盤を破壊・再構築して自社に有利なビジネスモデルを開発・実用化することは確実です。

当然のごとく、国内ITベンダーも、フィンテックを活用したビジネスモデルを開発・実用化して、さまざまなビジネスを展開しつつあります。

さらに、4月11日付の日経新聞に、上記PwCジャパンの調査結果が書かれています。この中で、海外金融機関がフィンテックを、「商品・サービスの拡大」、「競争への迅速な対応」、「既存のデータ・分析の活用」などの積極策に活用しようとしています。

国内金融機関のフィンテックに対する動きは、率直に言って遅いです。しかし、ここに来てようやく少しエンジンがかかり始めていると感じています。

たとえば、4月26日付の日経新聞に、みずほフィナンシャルグループは、多数の参加者でモノや資金の取引情報をインターネット上で共有できる「ブロックチェーン」を使った貿易取引を始めると発表したと書かれています。取引期間を短縮して、事務作業の効率化につなげるとのこと。

2017年6月をメドに開始するそうです。貿易取引は現在、輸出書類の受け渡しに数日かかります。ブロックチェーンを使えば、書類を銀行や輸入会社、保険会社など参加者が同時に共有でき、取引期間の短縮につながるとされます。

フィンテックは、この事例のように、将来、全ての金融取引や決済、送金などの仕組みから、書類を無くして、全ての記録が電子化されるようにします。

現在の金融事業基盤は、根底からひっくり返る状況になりますので、優れたサービスを提供できる企業が、金融事業の勝者になる可能性があります。

国内金融機関は、まだフィンテックを自動化・効率化の一ツールとして活用する意識をもった企業が多いと感じています。

これは、現在の多くの大手国内企業がITを自社の省力化・効率化に主に活用している姿と重なります。

国内金融機関は、フィンテックを新規サービスの開発・実用化に活用して、国内外の競合他社との競争に打ち勝つ姿勢をもたないと、駆逐されるリスクがあります。

金融機関だけでは、フィンテックを活用したビジネスモデルを開発・実用化することは不可能です。

みずほフィナンシャルグループが、仮想通貨や人工知能(AI)を活用した審査といった新たな事業を開発・実用化する新会社を作ることは、いわゆるオープンイノベーションのやり方の一つになります。

この動きは、とても重要です。オープンイノベーションで、フィンテックを活用したビジネスモデルを開発・実用する動きが、他の国内金融機関でも積極的に展開することを期待します。

この視点から、国内金融機関がフィンテックををどのように活用していくのか、
注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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