日経記事;『サービス維持 顧客に負担 ヤマト、次は大口向け 再配達減へ割引制度』に関する考察 - 新規事業・事業拡大全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『サービス維持 顧客に負担 ヤマト、次は大口向け 再配達減へ割引制度』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月29日付の日経新聞に、『サービス維持 顧客に負担 ヤマト、次は大口向け 再配達減へ割引制度』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『ヤマト運輸が27年ぶりの全面値上げに踏み切る。インターネット通販の荷物の急増と深刻な人手不足で事業環境が激変しているとはいえ、サービス維持に結果として消費者に負担を求めざるをえなくなった。

「サービスが先、利益は後」を企業理念としてきたヤマト。日本型サービスのあり方が改めて問われている。

「加速度的に拡大する市場に対応することと、事業を持続的に成長させることが非常に困難になった」。28日、都内で記者会見したヤマト運輸の長尾裕社長はこう語り、値上げに理解を求めた。

ヤマトは定価に当たる基本運賃を9月に改定する。消費増税時を除くと、引き上げは1990年以来だ。ヤマトは今後、丁寧な消費者への説明が不可欠となる。スキーやゴルフなどスポーツ用具を配送するサービスも初めて値上げする。

今回、値上げだけでなく、最大の問題とされる再配達の削減策も打ち出した。消費者が届け先にヤマトの営業所を選んで相手に取りに行ってもらうサービスを新設し、基本運賃から50円割り引く。少しでも値上げの負担を和らげようと知恵を絞る。

ただ、基本運賃の引き上げ率は平均約15%で、27年前の約8%を上回る。長尾社長は「今後、労働需給の逼迫が一段と深刻になることを勘案した」と説明した。宅配サービスの事業環境はこの先、ある程度落ち着くのではなく、業界最大手としてさらに悪化するとみている。この危機意識が値上げをせざるを得なかった理由だ。

「配達員の忙しさをみていると、値上げは仕方ない」(神奈川県内の主婦)との声が街中で聞かれることもあるが、サービス業の値上げは消費者にとって衝撃だ。競合する佐川急便や日本郵便の料金は現在は同水準。両社の事業環境も決して楽ではなく、値上げに動くとの見方は多い。

日本の物販市場に占めるネット通販の割合はまだ5%で、米国などに比べて低い。今後も増え続けるのが必至で荷物をさばききれず、総量抑制に踏み切る。

今回、引き上げる基本運賃の対象は主に一般消費者で顧客全体の約1割。ヤマトの収益にとっても、国内の宅配事情にとっても最大の焦点は、ネット通販会社など大口顧客との値上げ交渉だ。

長尾社長は同日、ネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)など荷物量が多く、割引率が高い大口顧客と優先して交渉することを明らかにした。「大きな値上げを要請しなければいけない顧客もいる」として、基本運賃の上げ幅を上回る値上げ率を求める必要性も示した。総量抑制や値上げに応じない顧客とは契約の打ち切りを検討する。

大口顧客のなかには基本運賃の半分以下の水準で契約を結んでいるケースもある。ヤマトは採算がとれる水準で契約できるように、顧客ごとに荷物の出荷量や届け先、サイズの傾向などを分析して適正運賃を算出するシステムも開発する。

通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイの前沢友作社長は同日、「(ヤマトの)事情を理解して話し合いをしている」と語った。一方で、大幅なコスト増を警戒する荷主が多く、送料無料といったサービスの見直しなどが広がる可能性がある。

宅配は今や重要な社会インフラで公共性が高い。ヤマトの値上げは利便性を追求する日本型サービスが転換点を迎えたことを示す。人手不足が国内産業の成長の壁になる懸念が出てきた。』


インタネット通販は、今や個人生活、ビジネス、社会にとって必要なインフラとなっています。

経済産業省が4月24日に発表した2016年の「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、国内の全小売市場に占めるインターネット通販比率(EC化率)は、2016年度で5.43%になっています。

同調査結果によると、2016年における日本の消費者向けEC市場規模は前年比9.9%増の15兆1358億円となっており、2010年から2016年まで右肩上りで成長しています。

ちなみに2010年から2016年までのEC化率は、以下の通りです。

★2010年;2.84%
★2011年;3.17%
★2012年;3.40%
★2013年;3.85%
★2014年;4.37%
★2015年;4.75%
★2016年;5.43%

2010年から2016年の間で、EC化率はほぼ倍増しています。

インターネット通販は、BtoCから始まりましたが、今やBtoBでも国内外で重要な販路インフラの一つになっています。

インターネット通販を活用する企業は、BtoCおよびBtoBの両タイプのビジネスで、最終顧客に直販できる仕組みです。

最終顧客にとっても、低価格や高い利便性などからインターネット通販を使うメリットが大きいため、より積極的に使う状況になっています。

日本の2016年のEC化率は、上記しましたように、5.43%であります。インタネット通販の先進国である米国では、アマゾンの大躍進もあって、EC化率が7%を超えています。

また、中国では、EC化率が既に15%を超えているとされています。

このため、同調査結果では、「2016年の物販系分野のEC化率は5.43%と初の5%超えとなった。しかしながら、米国のEC化率は約7%であり、近年ECの市場規模拡大が著しい中国のEC化率は既に15%を超えている。したがって、我が国におけるBtoC-EC市場はまだ飽和しておらず、伸びしろを残しているものと推測される。 」と書いています。

まだ、日本では、インターネット通販事業は伸びる見込みです。2016年度のインターネット通販の市場規模である15兆1358億円の内訳は、以下のようになります。

・物販系分野;8兆43億円
・サービス系分野;5兆3532億円
・デジタル系分野;1兆7782億円

インタネット通販の中で、物販系が50%以上を占めています。この物販系のインターネット通販事業の足腰を支えているのが、物流です。

物流体制が維持拡大できないと、物販系のインターネット通販事業も、現時点では基本的に拡大できません。

本日の記事を含む、日経新聞の「宅配クライシス」シリーズは、インターネット通販事業の物流体制が維持拡大できない実態について書いています。

この状況の原因は、運転手などの人手不足です。物販系、つまり宅配事業の運転手や倉庫の担当者は、毎年増加する物流量を処理できない状況になっています。

このため、ヤマト運輸は、これらの実務者の給与を改善する、労働負荷を減らすために、最大の問題となっている再配達の削減策などの施策を打ち出すと発表しました。

国内の人手不足は、物流、飲食店、店舗、建設などの労働集約型産業分野で特に、深刻化しています。

物流体制が維持拡大できない状況は、インターネット通販事業の成長を抑えることになります。

インタネット通販事業全体で、インターネットとITをフル活用して、高効率化、省力化、自動化などのやり方を早期に導入することが必要不可欠になります。

アマゾンジャパンは、ヤマト運輸との交渉結果を含めて、今後自社による物流体制の強化に乗り出すとみています。

アマゾンジャパンがアマゾン本社の支援を受けて、より高効率な物流体制を確立して、他のインタネット通販事業者との差別化・差異化を図ることや、ヤマト運輸への依存度を低めるやり方をとる可能性があります。

もしアマゾンジャパンが何らかの動きを打ち出すと、今後の国内インタネット通販事業に影響を与える可能性があります。

再配達の件数を減らすため、ヤマト運輸は2016年よりLINEと提携して、配達予定の通知をLINEで受け取るなどのサービスを行っています。

顧客側も、再配達の件数を減らすための協力など、できることを行わないと、インタネット通販の仕組みの維持運営が上手くいかなくなる可能性があります。

いずれにせよ、日本は労働者不足という根本的な問題を抱えていますので、インタネット通販事業を維持拡大するために、どのような施策が実施できるのか、今後の関連企業の動きに注目していきます。

私は、「必要は発明の母」であると確信しています。日本の労働者不足の課題は、今後より一層深刻になっていきます。

インターネット、IT、人工知能(AI)、IoT、ロボットなどの仕組みをフル活用して、この問題解決のやり方が、多くのITベンダーにより開発・実用化されることを期待しています。

その仕組みがアマゾンから提供されるのではなく、国内企業から開発・実用化されることを期待します。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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