日経記事;『この数字6% フィンテック投資、国内勢低調』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『この数字6% フィンテック投資、国内勢低調』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 海外展開
経営戦略 インターネット・IT

皆様、
こんにちは。

4月15日付の日経新聞に、『この数字6% フィンテック投資、国内勢低調』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『金融とIT(情報技術)を融合し、構造変革を起こしているフィンテック。監査・コンサルティングのPwCジャパンの調査で、国内金融機関のフィンテック投資は年間営業収益の平均6%にとどまり、世界平均(15%)を大きく下回ることが明らかになった。

背景には危機感の違いがありそうだ。「フィンテックの台頭で市場シェアを失う」と答えた金融機関は世界平均の57%に対し、国内は41%。国内では新サービスに慎重な高齢者が金融資産を多く持つのが一因だ。

一方、国内金融機関の6割がフィンテックに人件費削減効果を期待しており、「日本はビジネスモデルの革新ではなく、効率化の手段と捉える傾向が強い」(PwC)。

フィンテック企業と協業している金融機関は30%と1年間で9ポイント増えたが、世界平均(45%)と比べると見劣りする。最小限の投資で事業を立ち上げたり、商品を開発したりするノウハウも不足しており、人材の獲得も大きな課題となりそうだ。』

最近、毎日のように、フィンテックの言葉がマスコミに出ています。私も、フィンテックに関して何度か記事を本ブログ・コラムで書いています。

本日の記事は、国内金融機関に対してPwCジャパンが行ったフィンテックに関する調査結果の概要について書いています。

この結果に示されています国内金融機関が、欧米などの海外金融機関と比べて、フィンテックに対する投資額やフィンテック企業(主にITベンダー)と連携(アライアンス)を組んでいる割合が総じて低くなっています。

これは、記事に書いていますように、欧べの金融機関がフィンテック企業に市場や顧客を奪われるという危機感を、57%に達しているのに対して、国内金融機関は当該比率が41%になっていることによります。

私は、今までの米国のITベンダー(グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフトなど)の動きから、多くのフィンテックIT企業が金融機関の既存事業基盤を破壊・再構築する動きに出てくると考えています。

4月1日のブログ・コラムで述べていますように、情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」が同日より適用され、銀行がフィンテック関連サービス・ビジネスをより柔軟に行えるようにする規制緩和になりました。

この法律の主な内容は、以下の通りです。

金融グループの経営管理における銀行持株会社等が果たすべき機能の明確化、
★金融グループ内の共通・重複業務の集約等の容易化、
★金融関連IT 企業への出資の柔軟化、
★プリペイドカード利用についての苦情処理体制の整備、
★仮想通貨への対応(仮想通貨の売買などを業として行う仮想通貨交換業者に対する登録制・規制等の導入)、など

一般的には、このような事業環境下であれば、国内金融機関はさらに一歩踏み込んだフィンテックへのより積極的な対応ができます。

国内金融機関の6割がフィンテックに人件費削減効果を期待している結果は、現在の金融機関の認識を如実に示しています。

もし国内金融機関がフィンテックを人件費やコンピュータ・ソフトウエアの管理費削減に主力をおいていれば、国内外のITベンダーに既存事業基盤を破壊され、顧客や市場を奪われる可能性があります。

米国シリコンバレーのITベンダーは、規模の大小に関係なく、インタネットやITで世の中を変革して、より効率的・合理的なやり方で既存事業基盤を破壊、あるいは置き換えて新しいプラットフォームを作る意欲に満ち溢れています。

日本国内のフィンテック関連のITベンダーも、基本的には同じ思考をもっています。

もし多くの国内金融機関が、フィンテックを自社の管理費削減を主目的に取り組んでいたら、勢いのあるITベンダーにひっくり返されるリスクがあります。

上記しますように、米国ITベンダーが行ってきた歴史が証明しており、金融事業も例外ではありません。

たとえば、国内企業が海外企業との取引で生じる送金に関して、その仕組みの複雑さ、手数料の高さ、送金完了までの期間の長さに大きな不満と苛立ちをもっています。特に中小企業の場合、その思いはより一層強くなっていると認識しています。

ITベンダーがフィンテックにより、国内のインターネット送金と同じような手軽さで、ブロックチェーンの技術を利用して、安全・安心な国際的送金サービスを提供すれば、多くの国内企業が活用するのは確実です。

4月11日付の日経新聞に、上記PwCジャパンの調査結果が書かれています。この中で、海外金融機関がフィンテックを、「商品・サービスの拡大」、「競争への迅速な対応」、「既存のデータ・分析の活用」などの積極策に活用しようとしています。

国内金融機関の反応は、上記目的に対しては、海外金融機関ほど積極的ではありません。

海外の事例になりますが、スペインの銀行大手ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)が提供しているSIMPLEというサービスがあります。

これは、もともと、BBVAに買収される前のSIPLEの創業者の1人であるジョシュア・ライシュ氏が、お金を預けていた金融機関で不愉快な思いをしたことがきっかけとなって始めたサービスです。

SIMPLEの経営方針は、顧客が「ムカつかない銀行」の実現です。ほかの銀行に比べて低い預金金利となっていますが、その代わりにすべてのサービスの手数料が無料となっています。

SIMPLEは無店舗ビジネスを展開しています。スマートフォン、VISAデビットカード一体型のキャッシュカードいずれかのみで利用が可能になっています。

SIMPLEの収益源は、デビットカード手数料と、SIMPLEが獲得した預金を提携先銀行が運用することによる収益の分配です。

SIMPLEと同じようなサービスが日本で展開されるかどうか、現時点では不明です。
しかし、欧米ではこのようなITベンチャーの挑戦が始まっており、既存金融機関も無視できない存在になり始めています。

フィンテックを支える主要技術の一つであるブロックチェーンは、一部の識者の間ではインタネットを支えているTCP/IP以来のものであるとの評価も出されています。

国内企業は、金融機関だけでなく製造事業者などでも、インタネットやITを効率化実現のツールとして活用する機会が多いのが実情です。

しかし、今後、国内企業が世界市場で勝ち組になっていくためには、米GEがIoT・人工知能(AI)を積極的に行って、自社サービスの付加価値を向上させているような、攻めの姿勢が必要になるのは確実です。

もし、国内金融機関が積極的にフィンテックを活用して事業化を行わないのであれば、国内ITベンダーが更なるサービスメニューを提供して、現在の非金融機関が、ファイナンスや送金などの利便性向上と手数料の革新的な低下により、金融機関の顧客を奪い取るくらいの姿勢で対応することを期待します。

国内ITベンダーがやらなくても、米欧のITベンダーが黒船になって必ず日本でフィンテックを活用したビジネスを展開することによります。

この視点から、今後の国内金融機関のフィンテックに対する対応に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム