- 臼井 優樹
- 株式会社ユザック 専務取締役 サポート事業部門長
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
「あの人と話をすると楽しい!」と感じさせる人には、共通の工夫があ
るようです。それは、意識しているしていないは別として、話し手とそ
っくりな話し方をしているということ。
ちょっと想像してみてください。
理由があって今日は気分が晴れない話し手が、聞き手であるあなたに
話しかけてきました。
●パターンA
相手 :「ねえちょっと聞いてくれる?」(声のトーンは低め)
あなた:「なあに?」(声のトーンは高めで、楽しそう)
●パターンB
相手 :「ねえちょっと聞いてくれる?」(声のトーンは低め)
あなた:「なあに?」(声のトーンは低めで心配そう)
この両者の違いは、その後の会話に大きな影響を与えることになります。
パターンAの場合は、話し手が「う〜ん、後でいいや」となりかねません。
なぜでしょう。
通常のやり取りでは、声のトーンが低めで何か気持ちが晴れないような
人に対して、同じように、声のトーンを合わせて会話を始めます。
しかし、聞き手が相手の気持ちのありように気づかなかった場合、
「配慮してもらえていない」
「尊重されていない」
と感じ、会話は始まるどころか、避けられてしまいます。
もちろん、相手が楽しさを爆発させて話しかけてきたときは、こちらも楽
しげに受け答えがしたいものです。
「あの人と話をすると楽しい!」と感じさせる人は、
・声のトーン
・話すスピード
・話す間(ま)
を注意深く相手に合わせていることが多いのです。
これにより、相手は安心して会話を続けることができます。正確に言えば、
これらができている場合は無意識に会話が継続でき、できていない場合
は、会話がスムーズでなくなるといった方が正しいでしょう。
そのほか、相手が使った言葉の言い回しを同じように使うこと、
例えば、
ウェイター:「ライスとパンのどちらにしますか?」
お客様 :「ご飯で。」
ウェイター:「ご飯ですね」
といった具合です。
最近は、お客様が「ご飯で。」と言っているのに「ライスですね」と返す
人は少なくなってきましたが、こんな場面に限らず、言葉の表現を合
わせる事も大切な要素です。
さらに達人になってくると、話し手の身振り手振りに合わせて、自分の
仕草も似てくるようです。
こんな聞き手なら、安心して楽しく会話ができそうです。
私たちも是非、その域に達するように精進したいものですね。
今日のポイント
『相手に合わせた話し方が安心感を与える』
相手に合わせる話し方を「ペーシング」といいます。
このペーシングを実践するコツは、自分の感情のありようはひとまず端
に置いておいて、「話し手の感情に寄り添うつもりで話すこと」です。
慣れるまでは、相手の声のトーン、スピードに合わせる事を意識しなが
ら会話をしましょう。
みなさんは、ペーシングできていますか?
できている人は、もう一度意識して会話をして再確認してみましょう。
まだ自信がない人は、是非、次の会話から実践してみてくださいね。
まずは、何に意識をしながらペーシングしてみますか?