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日経記事;『次世代小型機のエンジン開発 IHI・川重・三菱重、米大手と』に関する考察

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4月2日付の日経新聞に、『次世代小型機のエンジン開発 IHI・川重・三菱重、米大手と』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『IHIと川崎重工業、三菱重工業は米航空エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー(P&W)と共同で、次世代小型機のエンジンの開発を2017年度から開始する。

格安航空会社(LCC)が大量に購入している小型機の次世代型は30年代に就航する見込み。日本勢が得意とする新素材で少なくとも1割の燃費性能の改善につなげ、競争力を確保する。

3社はこれまでもP&Wとともにエンジンを開発した実績があり、次世代小型機向けでも協力することで大筋合意した。日本勢はセラミック複合材(CMC)やチタンアルミ、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの加工を得意とし、部品の軽量化と耐熱性向上につなげる。ファンや減速ギア、低圧のタービンと圧縮機、燃焼器の開発・生産を担いたい考え。

P&Wは高圧タービンなどを手掛けるもようだ。それぞれの部材を各社が日米に持つ拠点で分担して生産し、最終的な売上高を分け合う形でビジネスを進める。

開発費は総額で1000億円台の見通し。競合する米ゼネラル・エレクトリック(GE)・仏サフラン陣営よりも燃費性能が高く、温暖化ガスの排出量を削減したエンジンを目指す。

空気を大量に取り込んでエンジンから効率よく推進力を得るにはファンを大きくする必要がある。だが重量が増加するため、高効率製品の開発は技術的に難しい。日本製の最新素材を大量に採用することで軽量化する。

新興国の経済成長により航空機の運航機数は20年間で2倍になるとの予測もある。LCCの台頭で座席数が180~230席級の小型機は航空機市場で最も需要が伸びている。

最新の小型機は米ボーイング製「B737MAX」や欧州エアバス製「A320neo」があり、合計で約9千機分を受注している。この後継機に照準を合わせ、ボーイングやエアバスに新エンジンを提案する。

エンジンは開発費が莫大だが、いったん航空機に取り付けられて飛び始めると、数十年にわたり補修部品の販売と整備のアフターサービスを通じた投資回収が見込める。日本勢はこれまでもP&Wとともにエアバスにエンジンを納入している。旧型機のエンジンは、今も保守サービスを通じて収益を生み出している。』

現在の航空機エンジン産業では、米GEがIoT対応をしっかりと行った結果、エンジンの売買とその後の効果的な保守サービス、補修などのメニュー提供で、売ったエンジンが完全に使われなくなるまで、顧客とのビジネス関係を維持できるビジネスモデルを確立しています。

本日の記事は、IHIと川崎重工業、三菱重工業は米航空エンジン大手プラット・アンド・ホイットニー(P&W)の4社が共同で、小型旅客機向けのエンジンを共同開発・実用化する動きについて書いています。

小型旅客機は、格安航空会社が手掛けたビジネスモデルが顧客の琴線に触れた結果、近距離飛行の主役に躍り出ました。

たとえば、日本とアセアン地域との間の航空機需要の多くは、格安航空が獲得しています。

この格安航空需要が、成田空港や関西国際空港のビジネスを活性化させる原動力の一つなっています。

多分、この格安航空に対する需要は、今後も強いものになっていることは確実です。

現在の需要分でみますと、欧州エアバスと米ボーイングの小型旅客機受注数は、両社合わせて1万機を大きく超えています。

この事業環境下、上記4社が小型旅客機向けエンジンを共同開発・実用化することは、極めて合理的です。

この機会に、IHI、川崎重工業、三菱重工業の3社は、小型旅客機向けエンジン分野で、現時点のガリバー企業である米GEから、市場・顧客を奪い取る気概で事業展開することを期待します。

単に、航空機メーカーにエンジンを売るのではなく、GEと同じようにIoT対応をしっかりと行って、航空機で使用されるエンジンの最新状態を、いつも的確に、かつ、自動的に把握でき、保守サービスを最適に行えるようにするビジネスモデルを開発・実用化することが極めて重要です。

IoT対応をしっかりと行わないと、GEとの競争に勝てません。航空機メーカーは、単に航空機エンジンが安い、燃費が良いの条件では購入することを決めないことによります。

GEのIoT対応が航空機メーカーから支持されているのは、航空機に搭載されているエンジンが、安全・安心を担保でき、常に最良の状態で運用されるように、必要な情報・データを獲得・分析して、最適なコストで保守サービスをできる環境を提供していることによります。

GEや仏サフランは、当然の如く、燃費性能が良い航空機エンジンを提供できます。これは、国内素材メーカーが得意とするセラミック複合材(CMC)やチタンアルミ、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)も、国内エンジンメーカーと同じように使用できることによります。

国内素材メーカーの視点では、どの航空機エンジンメーカーが勝ち組になっても、小型軽量化に必要な素材を購入してくれますので、大いに収益確保・拡大が見込まれます。

素材産業は、国内経済を支える柱の一つですので、エンジンメーカーに関係なく高くなる需要は大いに歓迎できます。

航空機エンジンのビジネスは、非常に付加価値の高い事業ですので、GEと同じビジネスモデルを確立することも、並行して重要なことになります。

GEに打ち勝つには、上記しましたように、単にエンジン単体の燃費性能や販売価格で差別化・差異化を図るだけでなく、IoT対応をしっかりと行ってトータルのビジネスモデルで、徹底的な差別化・差異化を実現しないと、後発メーカーである日本勢に勝ち目がないとみます。

GEは、IoT対応をしっかりと行うために、ここ2~3年の間にITへ積極的な投資を行っており、シリコンバレーに大型のIoT・人工知能(AI)の研究開発拠点をもっています。

日本航空機エンジンメーカーは、今までのモノづくりの視点だけなく、IoT・人工知(AI)の開発・実用化を行うことが重要であり、必要になります。

もし、上記4社でIoT・人工知能(AI)対応ができない場合、IT業界では一般的に行われているオープンイノベーションを行って、他社との連携(アライアンス)により、水平分業で、一定期間内に、当該技術・ノウハウを開発・実用化することが極めて重要です。

これを怠ると、GEとの競争には打ち勝てません。

この視点から、今後の、IHI、川崎重工業、三菱重工業の3社の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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