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日経記事;『他人のiPS移植 目の難病、再生医療の本命 理研など、費用10分の1以下に』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

3月29日付の日経新聞に、『他人のiPS移植 目の難病、再生医療の本命 理研など、費用10分の1以下に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『理化学研究所などは28日、他人から作って備蓄しておいたiPS細胞を使う再生医療の臨床研究を実施した。目の難病患者に、iPS細胞から育てた網膜の細胞を移植した。

患者本人のiPS細胞を使った1例目より準備期間を短くできた。費用も10分の1以下にできる。備蓄細胞は必要なときにすぐ使える利点もあり、再生医療の本命方式とされる。日本発の治療の普及につながると期待が集まる。

臨床研究は理研と神戸市立医療センター中央市民病院、京都大学などが協力して実施した。手術は同病院で28日午後2時前に始まり、約1時間で終わった。

兵庫県在住の60代男性に対し、iPS細胞から育てた25万個の網膜細胞を含む溶液を右目の奥に注射した。この患者は失明を招くこともある「加齢黄斑変性」で、国内では50歳以上の約1%にみられる難病だ。

記者会見した同病院の栗本康夫眼科部長によると、手術は特に問題なかったという。理研の高橋政代プロジェクトリーダーは「iPS細胞を使う治療の実用化の5合目まで来た」と話した。

今回の方式で患者計5人に移植する予定で、安全性などを調べる。視力は大幅に改善しないものの定期的な投薬が不要になり視力低下を止められる可能性があるという。

理研は2014年、同じ病気の患者に世界初の移植を実施した。この時は患者本人の細胞から作ったiPS細胞を使ったが、費用と期間の面で課題が指摘された。がん化の恐れがないかを調べる検査などで約1億円かかった。準備にも約10カ月費やした。

これに対して、備蓄し、安全性なども入念に調べたiPS細胞を使う方式は、費用が10分の1以下の数百万円程度に抑えられる見通し。今回は患者に手術の同意を得て実施するまでの期間も1カ月半に短縮できたという。

iPS細胞の臨床応用は、脊髄損傷などでも準備が進む。すぐに治療しないと効果が期待できない病気やケガでは、本人からiPS細胞を作っていては間に合わない。

1例目の患者は約2年後も経過が良好で、移植した細胞ががん化するなどの異常は見られない。患者は病気の進行が止まり、目立った副作用も起きていないという。

理研などは今回のケースでも安全性が保たれるか、慎重に見守る考えだ。拒絶反応が起こりにくい特殊なiPS細胞を使ったが、患者に軽い拒絶反応が起こる可能性もあるという。移植の成否などの結果の公表は「症例を見極めるため2、3年後になる」(高橋プロジェクトリーダー)見通しだ。

備蓄細胞を使う方式は十分な管理体制が要る。京大は今年1月、赤ちゃんのへその緒が含む「臍帯血(さいたいけつ)」から作ったiPS細胞の外部機関への提供を停止した。製造時に使う試薬を取り違えた可能性を否定できなかった。このため京大は、タカラバイオとiPS細胞の品質安定に向けた研究を始めた。』

iPS細胞は、この研究開発の中心人物である山中伸弥京都大学教授が2006年に世界で初めてマウスで、翌年にヒト細胞で作製に成功したもので、山中教授がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで有名になりました。
iPS細胞は、日経記事では、「万能細胞の一種で、皮膚や血液などの細胞に遺伝子を入れ、細胞が様々な種類に分かれる前の状態に時計の針を戻すようにして作る」と書かれています。

京都大学のWebサイトでは、「人間の皮膚などの体細胞に、極少数の因子を導入し、培養することによって、様々な組織や臓器の細胞に分化する能力とほぼ無限に増殖する能力をもつ多能性幹細胞に変化します。 この細胞を「人工多能性幹細胞」と呼びます。英語では、「induced pluripotent stem cell」と表記しますので頭文字をとって「iPS細胞」と呼ばれています。 名付け親は、世界で初めてiPS細胞の作製に成功した京都大学の山中伸弥教授です。」とされています。

iPS細胞は、理論的には病気やケガで損なわれた臓器の機能を補う再生医療や創薬などに役立つと期待され、日米欧で研究開発・実用化が積極的に行われています。

iPS細胞は、上記のように言わば理想的な医療技術の一つになります。当然の如く、iPS細胞の普及には多くの課題があります。

本日の記事は、その課題の一つである「高いコストや移植までの長期間の必要性」解決に道筋をつけたことにあります。

また、iPS細胞を活用する上で最大のリスクは、当該細胞移植後の副作用や癌化です。癌化のリスクは、今までの研究開発により、当該リスク要因を排除するさまざま方法が実用化されています。

副作用は、移植しないと見極められない課題がありました。患者本人のiPS細胞を使っても副作用が発生することがあります。

これらの課題を解決するやり方の一つが、本日の記事にありますiPS細胞の移植方法です。

これは、拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞を保管して、必要な患者に移植するやり方になります。

このやり方を、他家移植と言います。他家移植は、自分の細胞ではなく他人の細胞を移植することから使われています。

拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞は、言わば万能iPS細胞ですから、理論的には多くの患者に適用できます。

今回の手術は、2016年6月に、理研と京大iPS細胞研究所、大阪大学、神戸市立医療センター中央市民病院が共同で、「滲出型加齢黄斑変性」と呼ぶ視力が低下して失明につながる目の難病の症状改善を目指す臨床試験を行うと発表して、準備されてきました。

京都大学は、4年前からiPS細胞をストックするプロジェクトを進めています。
日本人の中にごくわずかにいる、特殊なタイプの免疫を持つ人の細胞から、他人に移植しても拒絶反応をおこしにくいiPS細胞を作りだし、患者が必要な時にいつでも使えるよう保存していくやり方です。

現在保管されているiPS細胞は、日本人のおよそ17%に移植できるということ。京都大学は今後、iPS細胞の種類を増やし、日本人の大半をカバーできるようにする計画とされています。

このやり方は、患者自身の細胞で一から作製する場合に比べ、移植までの待機期間や治療コストを数分の1に抑えるメリットがあります。

本日の記事によると、本人の細胞を使う場合、がん化の恐れがないかを調べる検査などで約1億円かかり準備にも約10カ月費やすのに対し、備蓄し、安全性なども入念に調べたiPS細胞を使う方式は、費用が10分の1以下の数百万円程度に抑えられる見通しとのことです。

米欧では、この拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞の生成・保管が急ピッチで進んでいます。

日本がこの特殊なiPS細胞の生成・保管に後れを取ると、必要なiPS細胞を米欧から輸入する事態になる可能性があります。

iPS細胞は、最近の産学連携の開発・実用化が急速に進んでいる印象をもっています。

このような状況になると、日米欧で実用化・事業化の動きが一気に加速されています。

過去の事例で、日本国内で研究開発を進めた成果が、事業化の日の目を見ずに海外勢に先を越されたことが数多くあります。

iPS細胞の活用・実用化は、生みの親が日本の山中教授であり、実用化の視点を常に意識されているようですので、オールジャパン体制で、患者にとって大きなメリットを生み出すことや、創薬での開発・実用化期間の短縮化などを早期に実現することを大いに期待します。

また、iPS細胞の実用化に比例して、周辺でITや人工知能などを組み合わせて支援・応用化することで、大きな新規事業機会も生まれています。

ここに実力あるベンチャーや中小企業には、大きな新規事業機会が生まれますので、技術・ノウハウの開発・実用化に磨きをかけて、市場参入し、医療ビジネスの拡大と医療費削減の両面で貢献することを期待し、注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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