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日経記事;『パナソニック リストラ再び デジカメなど6事業 収益源探し、悩む電機』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

3月25日付の日経新聞に、 『パナソニック リストラ再び デジカメなど6事業 収益源探し、悩む電機』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『パナソニックが不採算の6事業を対象に一段のリストラに踏み切る。2018年3月期に液晶パネルの生産ラインや半導体事業会社の株式の売却を検討するほか、今春にはデジタルカメラなど3つの事業部を解体して人員を減らす。

12年に就任した津賀一宏社長は大規模リストラに取り組んで健全な経営を取り戻したが、足元の業績は低迷している。リストラ後の次の一手が見えないパナソニックは、新たな収益源の育成に悩む世界の電機大手の姿を映す。

3事業部解体

パナソニックはプラズマテレビやプラズマパネルから撤退し、鉛蓄電池など多くの事業を売却してきた。今回のリストラは残された赤字事業の最終処理にあたる。

リストラ案は津賀氏の意向を反映し、本社の経営企画部がまとめた。具体的には兵庫県姫路市の液晶パネル工場にある2ラインのうち1ラインで生産を停止し、設備の売却を目指す。住宅用太陽光システム事業は国内工場再編を視野に入れる。半導体はイスラエル企業との合弁生産会社の株売却を含め検討に入った。

デジタルカメラや電話交換機、光ディスクを手掛ける3つの事業部は解体する。ほかの事業部の傘下に移管して人員も減らし、事業規模を縮小する。昨春時点で37ある事業部のうちリストラ対象の6事業の17年3月期の売上高は計約3800億円と全体の5%を占め、営業損益は計約460億円の赤字になる見通し。

パナソニックはプラズマテレビ事業の失敗などにより、13年3月期までの2年間で計1兆5千億円超の最終損失を計上した。事業継続も危ぶまれる危機に際し、津賀氏は大規模リストラに取り組んだ。

米国と中国でのテレビ生産や国内の個人用スマートフォン事業から撤退。一部の半導体工場や鉛蓄電池事業の売却などを通じ、14年3月期以降は1000億円を超える最終黒字を出す体質に改善した。

2割減益予想

巨艦をうまく操縦した津賀氏は、経営危機に陥ったシャープなどに比べリストラが迅速だと市場には映った。しかし、その後の業績は伸び悩む。同じ領域の事業を続けた結果、幅広い商品で価格競争力が低下し、17年3月期まで2期連続で通期業績を下方修正する事態に追い込まれた。

今期の最終利益(国際会計基準)見通しは1300億円と前期比2割減。売上高は7兆3500億円と4%減り13年3月期以来の低水準となる。リストラは固定費を削減しても新しい収益基盤の育成につながらない。不採算部門の改善も先送りしていた。中堅社員からは「社内に停滞感が漂う」との声が聞かれる。

今回のリストラは事業赤字を一掃し、再成長に向けて取り組む体制を整える狙い。津賀氏が今後の柱と位置付ける自動車、住宅の両分野は堅実な成長が見込める一方、新分野といえない。現状の経営は不採算事業の整理にとどまり、ポートフォリオ(事業構成)の再構築やサービス中心の事業転換に至っていない。

「2年で倍増」

世界の電機大手はコモディティー(汎用品)化と呼ぶ価格下落に悩まされてきた。それを打開しようと米ゼネラル・エレクトリックは仏アルストムのエネルギー事業を買収し、家電事業を売却。日立製作所はイタリアの鉄道車両製造事業を買収し、リースや物流は連結対象外にした。事業の入れ替えを進める先例を津賀氏は見つめている。

「17年度は選択と集中を進め、締め切りをもうけて改革に取り組む」。津賀氏は年初に全社員に表明した。創業100年を迎える19年3月期に掲げる連結純利益の目標は2500億円以上。2年で利益を倍増させるには新しい収益源が欠かせない。車載用電池での米テスラとの提携をはじめ、種はまき始めた。リストラだけでない改革をどう進めるかが、日本を代表する老舗企業の先行きを決める。』

私は、本ブログ・コラムで、国内大手電気機器メーカーがここ数年行ってきた「集中と選択」作業について多く書いています。

対象企業は、日立製作所、東芝、パナソニック、ソニーなどです。この中で、日立製作所は、大手電機メーカーの中で、いち早く集中と選択に取り組み、結果を出していると考えます。

東芝についても、一時期、日立に次いで集中と選択に着手し、エネルギー・環境分野を中心に事業構造を変える目途をつけたと考えました。その後、巨額の不正経理操作が発覚して、正直東芝の経営施策にはガッカリしました。

現在、東芝は米原子力事業者であるウエスチングハウス(WH)の原子力発電事業で7000億円を超す巨額損失を計上する大きな課題を抱えています。この要因は、多くのメディアで語られていますが、上記不正経理操作を含めて経営の未熟さを感じています。

パナソニックとソニーは、日立や東芝に次いで、集中と選択を行いました。ソニーは、長年引きずってきた不採算事業であったパソコン、スマートフォン、テレビなどの事業を大幅に縮小、あるいは撤退する作業を、新経営陣の下で短期間に行うことで一連の赤字状態から脱却できました。

ソニーは、家電あるいはエンターテインメント分野では、CMOSセンサーデバイス、ゲームに経営資源を集中させて、一定規模の収益確保を実現しています。

パナソニックの場合、現経営陣の下で、コモディティ化が進む家電商品事業から撤退して、家庭向、車載用途などの産業機器や環境分野を含めた業務用途事業へ経営資源を集中する方向で、集中と選択作業を行ってきたと理解しています。

本日の記事は、そのパナソニックの集中と選択作業がまだ不徹底であり、これからさらに行うことについて書いています。

私は、会社員時代に集中と選択作業の一環として、事業撤退を担当したことがあります。

事業撤退は、売上源の消失、人員削減、既存取引先との関係見直し、などの大きな負荷を与えます。

しかし、いったん事業撤退を決めれば、所定の目的・目標が達成できるようにけれんみなく実行することが極めて重要なことになります。

事業撤退を不完全に行うと、負の残った遺産がいつまでも会社にマイナスのダメージを与え続けることになります。このマイナスのダメージは、過剰在庫が企業の資金繰りを悪化させ、毒になるのと同じように会社に決定的な影響を与えるリスクがあります。

その視点からみますと、パナソニックが前回行った不採算事業の集中と選択作業が不十分であったことになります。

集中と選択作業の中で行う事業撤退やリストラなどの負の作業は、基本的に短期間に1回に行うことが必要です。

本日の記事に、米GEが過去行った集中と選択作業のことについて書いています。GEは、コモディティ化が進み、収益確保が困難と判断された家電事業を大胆にカットしました。

現在は、業務用途に特化して、IoT対応を含めてインターネット・IT技術・ノウハウを獲得しつつ、大きな収益基盤を作成・拡大しています。

以前に、日立、東芝、パナソニックなどの大手総合電機機器メーカーが集中と選択作業で目指す事例の一つが、GEであると本ブログ・コラムで書きました。

本日の記事によると、パナソニックの社長は、集中と選択作業の事例として、GEのやり方を見ているようです。

パナソニックが、今回の一連の集中と選択作業で合理化に目途をつけ、新規事業を立上げて新生パナソニックの姿を見せてくれることを大いに期待します。

この視点から、パナソニックの今後の事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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