日経記事;『ゴーン氏、グループけん引 日産社長を退任 ITの波…激変への対応指揮』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ゴーン氏、グループけん引 日産社長を退任 ITの波…激変への対応指揮』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

2月24日付の日経新聞に、『ゴーン氏、グループけん引 日産社長を退任 ITの波…激変への対応指揮』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『日産自動車が17年ぶりの社長交代に踏み切った。カルロス・ゴーン氏(62)が社長と最高経営責任者(CEO)を退任し会長に専念。後任に副会長の西川(さいかわ)広人氏(63)が4月1日付で就く。

電動化の波や「所有」から「利用」への消費者行動のシフトなど、車を取り巻く環境は激変している。米グーグルなどIT(情報技術)勢の参入に既存の車業界の経営者が立ちすくむなか、ゴーン氏は引き続き仏ルノー・日産連合をけん引することになる。

ゴーン氏によって経営危機を脱した日産はルノーとのシナジー効果を追求し、世界販売台数では今やトヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)に並ぶ「1000万台」の規模まで成長を遂げた。

そのゴーン氏ですら、グループ個社の隅々まで目を光らせるのは難しくなってきた。日産の成長は西川氏に任せつつ、自らはグループの「総帥」として、技術進歩や消費者ニーズの変化への対応を陣頭指揮する。

グーグルなどIT各社の相次ぐ参入で車業界の勢力図はここ数年で大きく変わった。その要因の一つが、新興の米テスラに象徴される電気自動車(EV)の台頭だ。排ガス不正に揺れるVWはこれまで磨いてきたディーゼル技術に見切りをつけ、巨費を投じてEVにシフトする。ハイブリッド車(HV)でエコカー市場を席巻しようとしたトヨタも戦略転換を余儀なくされた。

さらには「利用」への消費者の変化もある。独ダイムラーは米ウーバーテクノロジーズと組み、ウーバー向けの自動運転車の開発に取り組む。ホンダも人工知能(AI)の技術者は足りず、自動運転でグーグルとの提携に踏み切った。

日本勢が大切にしてきた「もの作り」も、EVでは部品点数や工程が半分以下に減る。強みとしてきた「擦り合わせ」の技術は、熟練工の少ない新興国では逆に欠点になる。

ゴーン氏はこの18年間、中国政府やロシアのプーチン大統領に近づき、経営不振に悩んでいた東風汽車やアフトワズの再建を指揮。実績を買われて両政府からの優遇を受け、日系メーカーではシェアトップだ。昨年には三菱自動車に出資し、規模拡大に生かす一方、三菱自も手掛けるEVなどで技術の深化を追求する。

ネット社会の進展とともに車の利用形態も変わり、自動車メーカーがカバーしなければならない技術領域も広がる。提携の名手であるゴーン氏が次に担うのは、自動車産業を巡る競争軸の変化への対応だ。』

何度か本ブログ・コラムで述べていますように、世界市場での自動車産業の事業環境は、現在大きな変更が迅速に起こりつつあります。

技術面からは、EV化と自動運転機能搭載がほぼ同時に起こるような状況になりつつあります。

EV化は、米国のテスラモーターズが高級車市場から参入して、現在、大衆車市場に拡大しようとしています。

現時点で、米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などは、二酸化炭素などの大気汚染物質をゼロにするZEV規制を2018年頃から本格導入しようとしています。

このZEV規制に完全に適合する技術は、EVか水素燃料電池車になります。水素燃料電池車は、トヨタやホンダなどの国内企業が積極的に開発・実用化を進めていますが、、水素ステーション設置などの社会インフラ整備が必要であり、巨額の投資を要しますので、近々の実現は困難になっています。

VWやベンツなどのドイツ自動車メーカーは、ディーゼルエンジン車の燃費性能表示の不正操作が発覚後、自動車の開発・実用化のベクトルを、EVに一本化しました。

その結果、当面の次世代環境対応車は、EVに一本化されつつあります。

また、米大手ITベンダーのグーグルは、自動運転機能付EVの開発・実用化を加速させています。

この自動運転機能付EVは、そう遠くない将来、アメリカ市場で販売される可能性が高くなっています。

グーグルは、自動運転機能付EVをファブレスで事業化しようとしています。EVは、ガソリンエンジン車と異なって、構造が単純化されるため、今までの自動車専業メーカーでなくても、容易に参入できます。

トヨタは、EVの開発・実用化を加速させるため、巨額投資を行うことを決断して、実行しています。

日産は、三菱自動車と共に、EVの開発・実用化を先行して行っていますが、販売実績は、本日の記事にありますように、期待以下の数字になっています。

この結果の最大の理由は、EVに搭載されている電池性能では一回の充電で実用的な走行距離と言われている数字を満たしていないことによります。

EVの成否のカギは、電池性能になります。

自動運転機能は、IoT・人工知能対応がポイントになります。この点で、グーグルは、他社より先行して開発・実用化を行い、数多くの実証実験からノウハウ蓄積を行っています。

トヨタやホンダは、米のシリコンバレーに大型の人工知能やITの開発拠点を作り、当該技術の開発・実用化を加速させています。

市場面で言いますと、米国、日本、欧州で自動車を所有するのではなく、必要なときに使う共有、あるいはレンタルする動きが加速する可能性があります。

たとえば、ライドシェア(相乗り)大手の米ウーバーテクノロジーズのビジネスが順調に伸びています。

ウーバーは、このライドシェアビジネスを急拡大させるために、グーグルと同じように自動運転機能付EVの開発・実用化を行うため、メルセデスをもつ独ダイムラーとの提携・協力を今年2月に発表しています。

ライドシェアや共有化などの動きが大きくなると、現在の自動車販売台数に影響を与えることは確実です。


政治面では、最大の市場である米国で、新大統領であるトランプ氏の政策が、国内自動車メーカーに大きな影響を与えようとしています。

メキシコとのNAFT見直しや輸入品に対する輸入関税をかけるなどの政策案が、トランプ大統領から提案されています。

もしこれらの新施策が適用されると、国内自動車メーカーは大きな影響を受けます。現在のメキシコに集中して投資して運営している事業の仕組みを再構築する必要に迫られる可能性があります。

日産は、ゴーン氏の下で、V字回復を果たしてきましたが、上記技術面・市場面や政治面などで、急激な変化が起こっていますので、大きなリスクが発生する可能性があります。

ゴーン氏が、本日の記事に書いているような認識の下で、日産の社長を辞めて、日産、ルノー、三菱自動車などのグループ全体の経営に集中するのであれば、今回の決定は極めて合理的なものです。

国内自動車メーカーの事業環境が、急激、かつ大きく変化していますので、経営トップの経営姿勢や施策の優劣が、今後の経営に大きな影響を与える可能性が高くなっています。

ゴーン氏の新体制の下で、日産がどのような経営をしていくのか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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