日経記事;『東レ、車中核部品に炭素繊維 骨格や燃料電池 工場を新設』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東レ、車中核部品に炭素繊維 骨格や燃料電池 工場を新設』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

2月22日付の日経新聞に、『東レ、車中核部品に炭素繊維 骨格や燃料電池 工場を新設』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は、以下の通りです。

『東レが世界首位の炭素繊維で自動車市場を本格開拓する。2018年稼働を目指し、愛媛県に国内初の燃料電池向け部材工場を新設。安全性に直結する炭素繊維製の骨格部品も量産する。

今後3年で炭素繊維に過去最大の1千億円超を投じる計画だが、うち自動車向けに200億円超をあてる。航空機や発電用風車に続き、量産が見込める自動車の中核部材に炭素繊維の用途が広がる。

愛媛工場(愛媛県松前町)の敷地に燃料電池車(FCV)で使う電池用部材の専用生産棟を建設する。投資額は50億円超で、年10万台規模のシート状電極部材を量産する。すでにトヨタ自動車の「ミライ」とホンダの「クラリティフューエルセル」に供給しているが、まだ少量だ。20年前後に本格普及すると見て、いち早く量産体制を築き、車両価格の引き下げに寄与する。

東レの現在の自動車用炭素繊維は外装材が中心で、売上高は百数十億円程度。今後も車体の軽量化要求は高まると見て、車両の骨格部品の供給を狙う。主要材料を鉄から炭素繊維に置き換えると、車両重量は3割軽くなるといわれる。

すでに複数の自動車大手と商談しており、この3年以内に量産に乗り出す。立地は今後詰めるが、海外が有力。投資額は100億円規模とみられる。このほか欧州3工場に数十億円を投じて外装材の加工能力を増やす。

炭素繊維は東レと三菱レイヨン、帝人の日系3社で世界シェアの約6割を握り、日本が強い競争力を持つ。風車などで使う低価格品には中国・韓国勢やトルコ勢などに事業化の動きがあり、将来は価格競争は激しくなる見通し。既存素材も軽量化に注力しており、素材間競争も激しくなる。』

炭素繊維は、東レ、三菱レイヨン、帝人の国内企業3社で世界市場の60%を占めている代表的な素材事業です。

国内企業3社は、長い間炭素繊維の開発・実用化に多額の投資を行ってきました。炭素繊維を開発した米国企業は、実用化をあきらめて撤退していました。

炭素繊維の実用化を行う上での課題は、難易度の高い加工技術と高い製造コストでした。

上記国内企業3社は、それらの課題解決をあきらめないで、地道に投資を行ってきました。

炭素繊維が世界市場で一気に加速したのは、米航空機メーカーであるボーイング社が、東レの炭素繊維を飛行機に使用することを決めたことによります。

この動きが引き金となって、炭素繊維の使用範囲が急速に広がりました。炭素繊維の使用量増加の決め手は、自動車用途の実現になります。

現在、炭素繊維の自動車への使用は、ドイツの高級車向けが中心になっていますが、最近、その使用用途先が増えています。

炭素繊維の特徴は、鉄と比べて高熱への高い耐久性と、鉄との比較で比重で1/4、比強度で10倍、比弾性率が7倍あることなどになります。

炭素繊維の使用量増加と共に、上記の課題であった加工・製造のし難さや高い製造コストも解決しつつあります。

炭素繊維は、明らかに世界市場で普及期に入っています。炭素繊維は、車体などの用途に加えて、航空機エンジン、自動車エンジン、電池用材料、風力発電装置など多くの分野で活用され始めています。

本日の記事は、東レがこの機をとらえて、世界市場で投資を行い、新規用途で勝ち組になる施策を取りつつあることについて書いています。

東レのこのやり方は、合理的です。炭素繊維が普及期に入ると、中国や韓国などの海外メーカーも、一気に市場に参入してきますので、実売価格は下がることになります。

東レは、炭素繊維の生産量を世界市場で増やして、消費市場に近いところで生産・販売する施策を取ります。

現在の米国政権の貿易に関するやり方をみていると、メキシコ内での新規生産事業所の立上は、考慮したほうが良いと考えます。

しかし、本日の記事からみますと、東レは米国市場以外への輸出需要を見込んでメキシコでの新規投資を決めるようです。

今後、三菱レイヨンや帝人も市場の拡大を見込んで、積極的な投資を進めると予想します。

国内企業3社が、炭素繊維の需要拡大を図りながら、より高効率な生産体制を維持強化して、世界市場で勝ち組であり続けることを期待します。

この観点から、国内企業3社の今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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