日経記事;『トヨタ・スズキ、開発や調達など包括提携 株持ち合いも検討』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタ・スズキ、開発や調達など包括提携 株持ち合いも検討』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

2月4日付の日経新聞に、『トヨタ・スズキ、開発や調達など包括提携 株持ち合いも検討』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『トヨタ自動車とスズキが開発や調達など広範囲な分野で包括提携することで大筋合意したことが3日、明らかになった。両社は2016年10月から協力関係の構築に向けた本格的な検討を進めてきた。

今後は株の持ち合いなど資本提携も検討する。トヨタの提携先も加えると年間販売台数が1800万台に達する巨大連合が始動する。

6日にも両社が発表する見通しだ。具体的な協力テーマは今後、両社で詰める。開発ではIT(情報技術)の活用や自動運転技術、世界的な環境規制の強化でニーズが高まる電動化などが対象になるとみられる。調達では海外を含めて競争力が高い取引先を相互に紹介するといった可能性がありそうだ。

トヨタは自動車業界ではIT企業など異業種を巻き込んだ競争が激しくなっており、影響力を維持するには同業との協力拡大が必要とみている。スズキは15年に独フォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携を解消し、新たな後ろ盾が必要と判断。スズキの鈴木修会長がトヨタの豊田章一郎名誉会長に提携を打診した。

スズキとトヨタ子会社のダイハツ工業の国内の軽自動車のシェアを合算すると60%を上回るなど、独占禁止法に抵触する恐れもあった。提携後も両社はそれぞれのブランドで販売を続ける。

一方、独禁法に抵触しない技術開発などの緩やかな連携から始め、実利を得る方針だ。提携関係を強固にするため、資本提携についても今後検討を進める見通しだ。

トヨタは2000年代半ばに富士重工業やいすゞ自動車と資本・業務提携したほか、最近は独BMWやマツダと提携した。多くのメーカーとの連携を広げ、自動車のIT化や自動運転の普及に伴い必要となる規格策定を有利に進める狙いだ。

1月には米フォード・モーターと共同で、スマートフォン(スマホ)と自動車を連携させて使う技術の普及に向けたコンソーシアムを設立し、国内の完成車メーカーでは富士重、マツダ、スズキの3社が加わっている。』


トヨタ自動車とスズキは、2016年10月に環境や安全、情報技術などの分野で提携・協力すると発表しました。

それ以降、両社は提携・協力のあり方について検討してきました。本日の記事は、両社が合意に達したことについて書いています。

提携・協力の詳細内容は、2月6日に発表されるとのことです。本日の記事は、提携・協力の概要としては、株の持ち合いなど資本提携を含めて、開発・設計・製造・資材調達・販売の多分野でのものになるようです。

国内自動車産業の事業環境は、アメリカのトランプ大統領の新施策を含めて、激変しています。

次世代環境対応車の開発・実用化、グーグルなどの米大手ITベンダーによる自動運転車(EVベース)の開発・実用化・事業化、米ウーバーなどによるタクシーや自家用車の配車・短期間レンタルサービスの登場と普及、自家用車のシェアリングサービスの普及など、従来の事業環境では考えられなかった変化が急激に起こっています。

国内自動車メーカーにとって、次世代環境対応車の開発・実用化は大きな投資とリスクがあります。

次世代環境対応車の本命は、現時点ではEVと水素燃料電池車です。国内自動車メーカーでは、トヨタとホンダが先陣を切って水素燃料電池車の開発・実用化を積極的に進めてきました。

しかし、2016年に発覚したフォルクスワーゲンによるディーゼルエンジン車の燃費性能などに関する不正操作は、ドイツ自動車メーカーが一気にEVの開発・実用化を開始するきっかけになりました。

加えて、米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などでは、排出ガスを一切出さない自動車の販売を徹底するZEV(Zero Emission Vehicle)規制が2018年からより厳格に適用されることになっています。

トランプ大統領の環境政策がこのZEV規制に影響を与える可能性がありますが、現時点では適用される前提で、国内自動車メーカーは対応策を実行しつつあります。

水素燃料電池車は、水素ステーションの設置や販売価格の低減化など、短期的な普及にはハードルがあります。

必然的に、トヨタなどの自動車メーカーは、水素燃料電池車と並行して、EVの開発・実用化を加速させる必要があります。

さらに、グーグルが開発・実用化を積極的に進めているのが、自動運動機能付EVです。すでに、グーグルは、長期間の開発・実用化を行い、多くの走行実証実験を行っています。

自動運転機能は、IoT・人工知能(AI)対応が必要になります。このため、トヨタやホンダは、カリフォルニア州にIT・人工知能の大規模な研究・開発拠点を設けています。

グーグルは、自社内に自動車工場をもたない方針を明確化しており、いわゆるファブレスで自動運転機能付EVを事業化します。

アップルが国内家電AVメーカーを駆逐したやり方と同じです。グーグルの強みであるITノウハウを武器に、既存事業基盤を破壊・変革する動きです。

トヨタは、上記状況を大変よく理解・認識しています。

しかし、トヨタといえども、1社単独で上記状況に対応できる能力や資本をもっていません。

トヨタも他社との連携(アライアンス)を積極的に行って、投資負担の最小化と投資期間の最短化を実現する必要があります。

この視点からみますと、トヨタとスズキの提携・協力は両社にとってメリットがあり、「Win/Win」の関係が構築できます。

たとえば、スズキは、軽自動車の開発・実用化、インドなどの新興国での小型車の強力な製造・販売体制の維持強化に大きな強みをもっています。

スズキは、次世代環境対応車や自動運転車などのの開発・実用化を1社単独で行うことはできません。トヨタのノウハウや財政的協力なしには、スズキは対応できません。

トヨタとスズキは、両社の強みを補完しあって、世界最大の自動車メーカーになると共に、開発・設計・製造・資材調達・世界市場での販売までを一気通貫で最大効率を達成することが必要になります。

この視点から、トヨタとスズキの提携・協力・アライアンスが、どのように具体化されていくのか、大いに注目していきます。

両社を含めた自動車メーカーの提携・協力・アライアンスは、オープン・イノベーションの実施の観点から、大いに参考になることによります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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