日経記事;『東レ、3年で1兆円投資 来年度から、炭素繊維を軸に増産』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東レ、3年で1兆円投資 来年度から、炭素繊維を軸に増産』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月18日付の日経新聞に、『東レ、3年で1兆円投資 来年度から、炭素繊維を軸に増産』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『東レは2017年度から3年間で設備投資やM&A(合併・買収)に約1兆円を投じる。16年度までの3年間に比べ8割増となる。

温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の発効を受け、同社が世界シェア首位の炭素繊維の需要は急増する見通し。国内外の工場増強に加え、1千億円規模のM&Aも検討し国際競争での勝ち残りをめざす。

月内にもまとめる17~19年度の新中期経営計画に盛り込む。生産増強とM&Aを通じて、20年度の連結営業利益を16年度見込み比6割増の2500億円に引き上げる。

設備投資は約5千億円を計画する。中心は海外で、米サウスカロライナ州では総額1千億円を投じ炭素繊維工場を17年度から順次稼働させる。

日米欧の自動車大手が増産する電気自動車(EV)の関連部材工場を増強。韓国ではEVの中核部品、リチウムイオン電池向けのセパレーター(絶縁材)生産を増やす。エアバッグ向けや紙おむつ向け繊維も増産する。

M&Aは総額約5千億円規模になる見通し。炭素繊維や繊維、樹脂・フィルム、医療機器分野など既存事業の拡大につながる案件を検討する。

東レが得意とする炭素繊維は鉄の4分の1の軽さながら10倍以上の強度がある高機能繊維。燃費改善につながる素材として航空機や自動車で採用が今後増える。炭素繊維を使った強化樹脂の世界市場は25年に14年比2.7倍になる見通しだ。』

炭素繊維の需要は、確実に伸びます。現時点での主要用途は、航空機です。米ボーイング社が数年前に飛行機の軽量化のために炭素繊維の採用を決めたことがきっかけになりました。

航空機メーカーは、常に燃費向上を目指しています。航空機燃料の消費量を抑える潜在ニーズが常に存在することによります。

航空機に対する需要拡大は、ビジネスおよび観光の両方の目的で、人口増加などの影響により今後とも継続していきます。

つまり、高い燃費性能と高耐久性・高信頼性を保証できる炭素繊維に対する航空機に関する需要は、世界市場で継続して伸びることになります。

さらに、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、今後、日欧米や中国で電気自動車(EV)に対する需要が、当面の次世代環境対応車と位置付けられることで、急増する見込になっています。

EVに対する需要拡大のきっかけの一つは、米国カリフォルニア州やニューヨーク州などの主要州で、ZEV規制の適用が2018年から強化される見通しになっていることです。

EVが当面の次世代環境対応車として位置付けられています。EVを開発・実用化する技術的難易度が低いことによります。

さらに、欧州自動車メーカーが、ディーゼルエンジン車で環境対応性を不正表示したことから当該エンジン車を廃車して、今後の新車を一気にEV化することを決めました。

この動きを受けて、燃料電池車を次世代環境対応車として位置付けてきたトヨタ自動車は、EVの開発体制を立ち上げて、一気にEVの開発・実用化を進めています。

同時に、日米欧のEV関連企業は、米大手ITベンダーのグーグルなどを含めて、自動運転車の開発・実用化を進めています。2020年ころには、何らかの形で自動運転車が市場に投入されると予測されています。

多くの自動運転車は、EVをベースにすることになります。

自動運転機能付EVが次世代自動車の主流になります。この次世代自動車に要求されるのは、高い燃費性能と安全な車体になります。

完全に安全な自動車が開発・実用化されると、交通事故の発生は、理論的には極端にひくくなります。

将来の自動車の車体要求される強度や耐久性は、現在のものより緩和される可能性があります。

しかし、当面の間、自動車の車体に要求される強度や耐久性などの条件は、変化しないとみます。

自動運転機能付EVは、航空機と同じように高い燃費性能と高耐久性の車体が要求されます。

炭素繊維は、この自動運転機能付EVの洗剤要求にマッチしたものになります。

東レは、航空機に加えて、自動運転車を含めたEVに高い需要を見込んで、積極的な投資を行うことで、市場でのシェアを高めてオンリーワンの立場を維持強化することを狙っています。

この東レの動きは、帝人や三菱マテリアルなどの他の炭素繊維メーカーを刺激しますので、国内メーカー同士での開発・実用化競争が起こります。

この競争が、炭素繊維がEVを含めた自動車用途に使われるトリガーになります。炭素繊維が自動車の車体などで使われるためには、更なるコストダウンと加工方法の容易さが必要になることによります。

合理的な競争が上記課題を克服します。

2017年1月11日に書いたブログ・コラムで、軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(Sic)繊維が、米GEが搭載する次世代航空機エンジンに採用されることについて書きました。

この炭化ケイ素(Sic)繊維を作っているのは、宇部興産と日本カーボンの日本メーカーのみです。

このように、複数の国内メーカーが次世代素材を開発・実用化して、新規事業を立上ています。

これらのメーカーが世界市場で勝ち組になるには、事業環境に応じて今回の東レのように、積極的な投資を決断・実行することが重要になります。

この視点から、各素材メーカーの今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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