日経記事;『経営の視点 自動運転、乗り遅れぬために 技術開発「仲間づくり」が肝』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『経営の視点 自動運転、乗り遅れぬために 技術開発「仲間づくり」が肝』に関する考察

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経営戦略 アライアンスの事例と経営手法としての活用と課題

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月16日付の日経新聞に、『経営の視点 自動運転、乗り遅れぬために 技術開発「仲間づくり」が肝』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は、以下の通りです。

『米国で年初から家電と自動車の見本市が立て続けに開かれた。IT(情報技術)の進化で家電とクルマの世界が急接近しており、いずれも話題となったのは自動運転に関する技術だ。

「自動運転は重要課題だが、1社ではできない」。家電見本市「CES」に初出展し、基調講演した日産自動車のカルロス・ゴーン社長はこう言って、イスラエルの運転支援技術会社、モービルアイやディー・エヌ・エー(DeNA)との協業戦略を打ち出した。

北米国際自動車ショーでは米グーグルがフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と共同開発したミニバン型の自動運転車を公開。一時は撤退の噂もあったが、自動運転部門を「ウェイモ」という別会社にし、公道実験に新たな意欲を示した。

CESを主催する米民生技術協会のゲイリー・シャピロ会長は、「世界で毎年100万人が交通事故で命を落としている。自動運転は家電や自動車の業界を問わず喫緊の課題だ」と指摘。自動運転のための技術提携や陣営づくりが見本市の大きな焦点となった。

特に関心を集めたのは米画像処理半導体大手、エヌビディアの動きだ。ゲームで培った高速チップを自動運転の画像認識に応用。独アウディなどに続き、独ダイムラーとも提携した。

また自動運転に必要な電子地図の情報を集めるため、オランダのトムトムやドイツのHERE(ヒア)、中国の百度(バイドゥ)、日本のゼンリンなどとも提携したことを発表した。

ヒアも電子地図作成に向け仲間づくりに余念がない。ダイムラー、BMW、アウディの独3社がフィンランドのノキアから共同買収した会社だが、さらに米インテルや中国のネット大手、騰訊控股(テンセント)から出資を仰ぎ、道路情報の収集を始めた。日産と組むモービルアイも新たにBMWなどと提携し、自動運転技術の覇権を狙う。

では日本の対応はどうか。グーグルに触発された政府が戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)で東京五輪での自動運転を掲げるまで動きは鈍かった。「車好き」な車メーカーの技術者には自動運転の発想はなかったからだ。

欧米でも技術の旗振り役は米西海岸のIT系企業や部品メーカーなどで、車メーカーは彼らに引きずられる格好で参入してきた。

問題はその中で日本がどう主導権を発揮できるかだ。昨年6月に政府の肝煎りでダイナミックマップ基盤企画という民間企業が発足、電子地図の仕様づくりがようやく始まった。地図基盤のような協調領域はオールジャパンで臨む。

また系列色の強い日本の部品メーカーは欧米企業のような提携戦略は取りにくい。CESの展示内容も取引先に配慮し、「技術のリード役が見えない」と情報通信総合研究所の吉岡佐和子研究員は指摘する。

自動運転につながるカーナビはもとはといえば日本の発案だ。携帯情報端末や非接触型IC決済も日本が先行したが、ビジネスの競争領域になると海外勢に市場をさらわれる例が多い。自動運転もそうならないよう基盤構築のスピードアップと仲間づくりが必要だ。』

今の自動車業界は、次世代環境対応車と自動運転車の両方の開発・実用化を一気に加速する必要に迫られています。

環境対応に関しては、最重要市場である米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などで、現時点で、2018年から厳格に適用するとされるZEV規制(排気ガスを出さない自動車の販売)を完全に対応するには、電気自動車(EV)か燃料電池車しかありません。

現在、テスラモーターズ、GM、フォルクスワーゲン、ベンツなどの大手欧米自動車メーカーは、EVを次世代環境対応車と位置付けて開発・実用化を進めています。

トヨタ自動車も、最近、EVを開発・実用化するための研究体制を発足させました。EVは、ガソリンエンジン車と比べて、部品点数が少ないことと、構造が簡単なため、少々極論しますと誰でも参入できる自動車分野になります。言わば走る電気機器になります。

一方、自動運転車の開発・実用化も加速しています。日本政府は、東京オリンピックが開催される2020年に自動運転車を公道で走らせる目標を打ち出しています。

米国市場では、グーグルが自動運転車の開発・実用化で先行しています。すでに長期間の走行実験を行っており、様々なデータ・情報を蓄積しています。

全米民生技術協会が2017年1月に開催したCES2017では、多くの自動車メーカーが自動運転車関連の展示や発表を行いました。

現時点で、全ての自動運転車は、EVです。EVが採用される理由は、上記の理由によります。

もう一つ、特徴的なことは、自動運転機能付EVは、自動車メーカーに加えて、米大手ITベンダーが積極的に開発・実用化に取り組んでいることです。
グーグルに加えて、アップル、アマゾン、ウーバーなどの大手ITベンダーが強い関心を寄せています。

自動運転車ビジネスへの参入の仕方は、それぞれ異なるとみていますが、国内自動車メーカーにとっては、既存の自動車メーカーに加えて手強い大手ITベンダーと競争することになります。

米運輸省(DOT)は現地時間の2017年1月11日に、輸送の自動化に焦点を当てた諮問委員会を新たに設置すると発表しました。自動運転車の開発および導入を進める上での調査、政策、規則における政府の役割などについて話し合うことになります。

米General MotorsのCEOであるMary Barra氏と、米カリフォルニア州ロサンジェルス市長のEric Garcetti氏が共同議長を務めます。委員会のメンバーは、グーグル、アップル、アマゾン、ウーバー、FedExなどの事業責任者の業務およびサービスサポート責任者となっています。

自動運転車の開発・実用化は、センサー、レーザーなどのコア部品、無線通信を含めたIoT対応、多量のデータ・情報を処理するためのクラウドや人工知能などのITの総合力が必要になります。

加えて、自動運転車の開発・実用化には、通信技術に関する規格の標準化や安全を担保した基準設定などを国を超えて決める必要があります。

本日の記事は、国内自動車メーカーがグループ企業を含めて伝統的な垂直統合型の開発・実用化体制に依存しすぎると、米国やドイツの競合他社との競争に勝てないリスクについて書いています。

テスラモーターズや米大手ITベンダーとの競争に打ち勝つには、自社の技術やノウハウだけに依存しないで、他社の強みを最大限に利用して、開発・実用化の高度化と迅速化を同時に実施する必要があります。

そうしないと、テスラモーターズ、グーグル、アップル、アマゾンなどの米国企業との競争に打ち勝てないだけでなく、自動運転関連技術の標準化・共通化の動きにもついていけない状況に陥る可能性があります。

もちろん、トヨタは米国に人工知能(AI)の研究開発拠点を設けたり、国内AIベンチャーであるPFNと連携(アライアンス)を組んだりしています。トヨタは、他社との連携(アライアンス)を強化する動きを行っています。

しかしながら、本日の記事は、自動車業界に特有なグループ企業中心の垂直統合型の事業モデルに固執すると、家電業界のように米国企業に足元を救われるリスクがあるので、オープン・イノベーションの仕組みを積極的に活用することの必要性について書いています。

私は、この指摘に賛成します。米大手ITベンダーは、例外なく既存事業基盤を破壊・再構築して収益拡大を図ってきた実績があります。

この視点から、米国、日本、欧州での自動運転車の開発・実用化について引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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