日経記事;『航空機に日本の新素材 米GE採用、軽量で燃費改善』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『航空機に日本の新素材 米GE採用、軽量で燃費改善』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月11日付の日経新聞に、『航空機に日本の新素材 米GE採用、軽量で燃費改善』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は、以下の通りです。

『次世代航空機のエンジン基幹部品に日本発の新素材が採用される。軽量で高い耐熱性を持つ炭化ケイ素(Sic)繊維で、米ゼネラル・エレクトリック(GE)が最新エンジンに導入。宇部興産など国内2社が素材を供給する。

航空機の軽量化(総合2面きょうのことば)により燃費を改善できる。ロケットや発電設備など幅広い分野で採用が進む可能性があり、炭素繊維に続き、日本発の新素材が技術革新をけん引しそうだ。

航空機では主翼や胴体といった機体でアルミ合金から炭素繊維強化プラスチック(CFRP)への置き換えが進む。機体でのCFRPの採用比率は欧州エアバスや米ボーイングの最新中大型機で50%を超えている。CFRPでは日本企業のシェアは約7割に上る。

Sic繊維を製造できるのは現時点では、世界で宇部興産と日本カーボンの2社だけだ。国際民間航空機関(ICAO)が航空機の国際線で2021年以降は二酸化炭素(CO2)の排出量を増やさない規制を決めるなど、航空機の燃費改善は急務。35年の世界の旅客機需要は3万8300機と15年に比べ8割増える見通しの中、国内素材企業の優位が続きそうだ。

GEはSic繊維を用いたセラミック複合材部品を最新エンジン「GE9X」に採用。ボーイングの次期大型機「777X」に搭載される。既に300機分を受注した。

GEはエンジンに取り込んだ空気を燃焼させ、高圧ガスで航空機を推進させるタービンのブレードなど4部品を、従来のニッケル合金からSic素材に変更する。先端素材の採用や設計見直しで、GE9Xの燃費を従来比で10%改善する。

宇部興産は25年までに宇部工場(山口県宇部市)内にSic繊維の工場棟を新設する。現在は試験プラントだけだが、数十億円を投じて生産能力を20倍の年200トンに引き上げ、年50億円の売り上げを目指す。IHIが複合材部品に加工する。

日本カーボンは富山市にあるSic繊維工場の年産能力を10トンと10倍に引き上げたばかりだが、GEが19年までに稼働させる米国の工場にも資本参加する。同工場の年産能力は100トン以上とみられ、共同で増産する。複合材部品への加工はGEが受け持つ。

現在、エンジンの主力材料のニッケル合金はSic素材より耐熱性に劣り、空気冷却する必要がある。Sic素材は空気を推進力として有効活用しやすい。コストは割高だが量産効果を引き出し、置き換えを狙う。』


国内製造業の中で、素材産業は世界市場で強力な競争力をもつ事業分野の一つになります。

最近では、東レ、帝人、三菱マテリアルなどの国内メーカーが、長期間多額の投資を継続していた炭素繊維が花開いて、航空機や自動車の素材に使われており、大きな産業基盤の一つになりつつあります。

炭素繊維は、もともと1959年に米ユニオン・カーバイドがレーヨンから黒鉛にするやり方で発明されました。

米国のメーカーは、炭素繊維の開発・実用化するための多額投資を諦めるなか、上記国内メーカーが歯を食いしばって行った投資が、果実につながっています。

炭化ケイ素(Sic)繊維は、これに対して、1975年東北大学の矢島聖使と有機金属化学が専門の林丈三郎、大森守達の日本人グループで開発されました。

ウイキペディアによると、「珪素を含有するポリカルボシランを高温で蒸し焼き(熱酸化)することにより不融化処理し、その後、1200~1500℃で焼成する。単純に熱酸化するだけでは強度が高温で低下するが、その原因が、不純物として混入する酸素により繊維が部分的に熱分解することが判明した。 東北大学と日本原子力研究所の共同研究により、不融化処理の工程に電子線などの放射線を使用して繊維内への酸素の混入を減少させた。」と書かれています。

このSic繊維が、炭素繊維と同じようにビジネスの世界で花開こうとしています。
本日の記事によると、米GEが次世代航空機であるボーイングの次期大型機「777X」向けエンジン;「GE9X」への採用が決まりました。

Sic繊維採用の決め手は、燃費を従来比で10%改善することへの貢献になります。
Sic繊維の課題は、炭素繊維と同じように高い製造コストにあります。

炭素繊維も高い製造コストが課題でしたが、量産効果や技術革新などにより、徐々にその課題を克服しつつあります。

Sic繊維も、GEの採用がきっかけとなって、使用範囲が広がれば、量産効果と技術革新により低コスト化を進めることが可能になるとみます。

それは、過去の技術革新結果が証明しています。

現在、Sic繊維を開発・実用化しているのは、宇部興産と日本カーボンの2社のみです。この日本勢で、新規需要を含めて「オンリーワン」の世界を作って、Sic繊維のガリバーになることを期待します。

素材産業は、新規事業の立上に長期間にわたり多額の投資が必要になります。国内素材メーカーは、辛抱強く新規素材の開発・実用化を進める企業文化をもっていますので、素材産業は日本の強みがいかんなく発揮できます。

Sic繊維が、炭素繊維と同じように、今後新規需要開拓が進むことを大いに期待します。

炭素繊維やSic繊維の成功体験を通じて、今後、国内素材産業が新素材で新規事業獲得を継続して行うことを大いに期待します。

この視点から、Sic繊維事業の今後の拡大・発展に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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