- 藤崎 葉子
- 株式会社サクセスボード キャリアカウンセラー
- キャリアカウンセラー
対象:キャリアプラン
- 宇江野 加子
- (キャリアカウンセラー)
- 冨永 のむ子
- (パーソナルコーチ)
以前に「キャリア面談」に関するコラムを書いたところ、
たくさんあるコラムの中でも大変好評いただきましたので
今回、その対策についてもう少し掘り下げてみたいと思います。
「キャリア面談」は、社員の中長期的な仕事の方向性を
話し合うための場である、とご説明しました。
ですから、3ヶ月、半年ごとに行われる、
評価(成果の確認)面談とは
異なる位置づけにあります。
※「評価面談」のことを「キャリア面談」と呼ぶ会社もあるようです。
評価以外の「キャリア面談」の場合は、
直属の上司の他に、部長クラス・人事部などの方が担当します。
では、会社はどんな時に「キャリア面談」を実施するのでしょうか?
今回はケース分けをしてみたいと思います。
1.近いうちに大幅な組織変更を予定しているケース
M&Aや、子会社設立、事業部再編など、人の異動を伴う
大幅な組織変更を控えていると、会社としては個人が将来的に
どの仕事で活躍できそうなのか把握しようとします。
面談相手が直属の上司でない場合は、注意が必要です。
部長クラスや役員・人事等が面談する場合は、
そのまま他部門へのスカウトという意味も含んでいる場合もあります。
2.人事制度の改定前後のケース
人事制度が変わると、今まで評価されていたことが
それほど評価されなくなったり、新らしい評価軸が加わったりと
何を大切にして仕事をすればよいかというポイントが変わります。
それをきっかけに企業風土の変革を意図しているケースもあります。
そのため、制度改定による影響や課題の吸い上げもかねて面談する
ケースや、個人の仕事への取り組みの修正なども兼ねて
フォローする面談を実施する場合があります。
3.部長(事業部長・担当役員クラス)が新たに就任したケース
これは、新しく就任した部長等の役職者が、今後その部門で
リーダーシップをうまく発揮するために直接、社員一人ひとりと
コミュニケーションをとって部内の様子や社員の実力・志向性を
把握するために行われるケースです。
通常の組織では、課長クラスの役職者は人事権を持っておらず
部長以上が持っているの場合はほとんどですので、社員を直接把握するために
そのクラスの人が新たに就任した際には実施される場合があります。
4.社員のメンタルヘルス対策のケース
これは、タイトルどおり、社員の心のケア、
主に仕事そのものではなく、職場環境・会社生活上の
問題の吸い上げのために行われます。
「キャリア」の中でも「ライフ」も含めた個人の不安や悩み、
それが会社生活として問題ないかフォローする意味を持ちます。
例えば、私も人事時代には新入社員さんと入社半年後に全員と
面談していました。もちろん、その際の名称は「キャリア面談」です。
ですから、人事部が改めて全員と面談する際には、メンタルヘルスの
ケアの目的をもっている場合もあります。
5.社員のキャリア開発を促進するケース
これは、まさしく、「キャリア面談」の本来の目的、
個人の中長期的なキャリアの開発を目指して行われるものです。
確かにケースの1〜4もそれを結果的には含んでいるのですが
その時の組織の状況によってフォーカスがあたる場所は
変わると思ってください。
社員のキャリア開発のための「キャリア面談」の場合は
個人の成長のためにどんな課題があり、今後どんなふうに
仕事にチャレンジしていったら効果的か話し合われます。
実際に、社内に「キャリア相談室」などを設けている会社は
いつでも相談に行ける体制があったり、
年齢や入社年次による節目研修などでその後のフォローのため
面談をしてさらに個人のキャリアプランを練るケースもあります。
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以上のように、いろんな意図があってもその面談の名称は
「キャリア面談」と称して行われる場合が多いですので
面談に望む前に、どんな趣旨でお話すればよいのか
できるだけ確認したほうが良いと思います。
本当は、「キャリア面談」の本来の趣旨は
5の社員のキャリア開発のために定期的、
または随時、面談が行われるべきだと私は思います。
しかしながら、まだ、会社として大きな組織の変化の
タイミングで社員の中長期的なキャリアスタンスを確認して
次世代の組織編制に役立てたい、仕事の配分を考えたい、
という意向があるのも事実です。
そこで、みなさん個人としては、この機会をうまく活用して
組織内でのキャリア獲得につなげていって欲しいと思います。
次回、そのポイントについて詳しくお話します!