芸術に付いての考察 《本物にしか持てない「格」の違い》② - 文化・芸術全般 - 専門家プロファイル

舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
東京都
クラシックバレエ教師・振付家

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対象:文化・芸術

大園 エリカ
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(クラシックバレエ教師・振付家)
大園 エリカ
(クラシックバレエ教師・振付家)

閲覧数順 2024年04月19日更新

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芸術に付いての考察 《本物にしか持てない「格」の違い》②

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それでは今回は、私が先日観に行かせて頂いたロックコンサートを例に、前回のコラム「芸術に付いての考察 《本物にしか持てない「格」の違い》①」の中でご説明させて頂いた、「上品(じょうぼん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げぼん)」という観点から、「芸術」というものを考察して参りましょう♫

(^^✿

 

ちなみに、何故この私が意外にも、「ロック」という世界で生きていらっしゃるミュージシャンの方達とお知り合いになれたのか?というそのキッカケと大まかな経緯は、以下のコラムをご覧下さいませ♫

☆_(_☆_)_☆

 

★ ナント!「らっきーデタラメ放送局」の監督さん&らっきーさんから、直接コメントを頂いちゃいました♡

彼らの情熱的なライブは、何故か私にフラメンコを連想させる!(日本人には珍しいスケール感!~☆彡)

圧倒的な魅力と存在感!(お二人はマジで天才です!)

 

 

それでは今回の本題に♫

☆_(_☆_)_☆

 

… あ、そうでした!

ライブの感想の前に、まずは、「上品(じょうぼん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げぼん)」に付いての解説です。(※これは、良く巷で使われる「上品(じょうひん)・下品(げひん)」というものとは区別され、もっと奥深い意味で使われる言葉です)

(^^✿

 

 

【上品(じょうぼん)・中品(ちゅうぼん)・下品(げぼん)

 ※元々仏教の経典に記されている、人の品性や素質、あの世に行った時の魂の行方、もしくは階層の段階を表す言葉。

 

 

《上品》

自分より相手のことを自然に気遣え、小さな子供や動物にも愛情を示し、微笑みや笑顔を絶やさず、優しさや思いやりを基本にした行動を取れる人の事を指すが、

ただ優しいだけではなく、時として毅然とした態度で意志を貫き通すこともでき、自信過剰にはならず、謙虚な心構えや視点を持てる人でもある。

 

《中品》

この地球上に一番多いと言われており、私達人間の魂が一番左右されやすいレベル。
人間は上に行くことも出来るが、いとも容易く下に墜ちることも出来る存在。

 

《下品》

自分の欲望を満たすのを最優先にし、そのためには他者が犠牲になったり、傷つく事を気にしない様な人の事を指す。

自分に利益をもたらす人だけに態度を変える卑しい面があり、言葉遣いには気品がなく、遠慮を知らず、自己主張ばかりして、他者の話に心から耳を傾けず理解しようとする気持ちすらない。

他人の行いに対しては文句ばかり言い、自分の反省はしない人。

 

 

上品の人ほど、人を見極める目が長けている。こうした人々と近しくなるには、常に魂を磨く努力をしていなくては、すぐに縁が切れてしまうものである。

 

こうした魂の品性に、容姿や地位、家柄などは関係がない。
いくら裕福な人であっても、根性がねじ曲がっている人は下品であり、平均的、もしくは貧しい家庭で育っても、品のある人は自ら学ぶ気持ちや向上心が有れば、地味であっても自然にそれは滲み出る。

 

下品な人々は「類は友を呼ぶ」の悪いバージョンで、下品な人同士で集まり、お互いに妬みや憎しみが蔓延し、愛情や思い遣りなどが全く存在しない人間関係を築く。

 

最初は品が有っても、目先の欲に捕らわれると品格は落ちて行く。

 

魂が上昇し、頂点に近くなればなるほど、厳しい人柄の神様が現れると言われる。

 

 

 

ではでは、ライブの感想へ♫

今回のライブ会場は、私にはすっかりお馴染になった吉祥寺のRJGBでした。

(*^^*) ~ ♡

 

勿論私のお目当ては、Vo.RICOさん、Gt.藤沼伸一さん、Ba.曽我"JETTSOUL"将之さん、Dr.名越藤丸さんで結成されているREGINAというバンドですが、今回その他に、

 

★赤塚テレビ

★THE SORRY ON PARADE

★river(ロマンチック日本代表!!!)

★ロマンチスト

 

さん達が出演されていらっしゃいました。(どの方も、私には今回が初めての方達でした)

 

それではここから出演された順に、アーティストの方々への私の感想を、いつもの様に"歯に衣着せずスタイル(!?笑)で述べさせて頂きます♫

☆_(_☆_)_☆

 

 

今回、最初の出演は赤塚テレビさんでした。

 

面白いお名前ですよね~。私の世代は"赤塚"というと漫画家の赤塚不二夫さんを連想してしまうのですが、ご本人にお聞きした所、「赤塚に住んでいるから」というのが由来だそうで、「テレビは何から?」とお聞きしたら、「何となくのノリで」という様な事を仰っておりました。(笑)

 

彼は最初の登場でしたので、今回のライブのオープニングでもあった訳ですが、ナント客席側から登場され、観客に絡むという演出をされておりました。(笑)

 

その風体(衣裳)と風貌は、私的には「気を病んでしまった『男は辛いよ』の寅さん」?でした。(笑)

 

だって目の周りには病的な黒いクマがメーキャップされていて、被っている帽子には縁日で良く見かける紙の笛(吹くと音が出る度にビヨ~ンと伸びるヤツ!)がいくつも仕込まれていて、お客さんに挨拶する度に「ピーッ」とそれが数本同時に伸びるのですもの!(笑)

 

でもそんな一見ふざけて見える彼が、ステージに上がり歌い出した時に、私はその歌声とギター演奏のパワフルさに度肝を抜かれました。

\(◎o◎)/!

 

彼自身が作詞・作曲されている曲は、意外にもその風貌からはとても想像のできない繊細で詩的なものが多く、とても印象に残るものでした。何故ならそこには彼の歩んで来た道から、彼が観えた人生の風景や心の機微が繊細に描かれていたからです。

 

私は「この人は、人間や人生というものに対して、凄い洞察力がある方だなぁ!」という様に思いました。そしてそれはご自分も含めた"人間の日常生活"という地味なものに対して、シビアではあるけれども、温かい視線というものが注がれているなぁとも感じました。

 

一見、演出されている外見(風貌)は「下品」に見えるかもしれませんが、いやいや彼の心の中には「中品・上品」という魂が潜んでおられる!という事を、私は彼の作る曲と、彼の歌声から感じさせて頂きました。

☆_(_☆_)_☆

 

これは私個人の感想なのですが、(彼は存じておられるかどうかは分かりませんが)彼の「人間の人生」に対する洞察力は、どこか「仏教」に通じるものがあるのですよね~。つまり彼はこの世の現実というものを「正しく観る」という感性をお持ちだという事です。

 

それは"心でものを観る"という感性と知性が無ければ視えないものですので、私は彼のパフォーマンスからは「上品」に成り得るものを感じさせて頂いた次第です。

 

ただ、もう一つ私が感じたのは、彼はあまりにも「自分を過小評価し過ぎているのではないか?」という事です。

 

何故なら彼は自分をどこかピエロの様にされてしまっておられるので、表面的なものしか見ない人間の多いこの世の中では、多くの方に彼の中に秘められた中品・上品である本質が「見過ごされてしまって、損をされておられるのではないかしら?」と感じられたからです。

 

彼がご自分の根に在る本質に気付いて、もっとご自分を尊重し尊敬できれば、自己卑下を感じさせる"ピエロ"ではなく、ふざけている様に見えながら、実は物凄い知性やウィットのセンスが無ければなれない「道化師」として人々を魅了し得える方ではないかと、僭越ながら私は勝手にそう感じました。

 

勿論それは、これからも彼が貫きたいスタイルであれば…ですが。(この方は本物の実力を持っていらっしゃるので、"素"であっても充分勝負できるものをお持ちだと私は思います)

(^^✿

 

この世では「本当の実力者が世に出て行けない」というシビアな現実がそこかしこに溢れておりますが、それはこの日本だけではなく、世界中にワンサカあるというのが、この世のシュ―ルな現実でもありますね~。(世界中どの国でも、例えどんな田舎町に行っても、本物のアーティストの方達はいらっしゃるものなのです)

( ・・) ~ ☆彡

 

 

 

それでは次はTHE SORRY ON PARADEさん。

 

この方達は「パンク・ロック」と言われているものをされておられるバンドであるという事ですが、演奏や歌の技術はともかく、私が感じたのは「下品(げひん)極りない芸」という印象しか、正直ありませんでした。

 

この方達の表現されておられるものは、私に取っては「下品(げぼん)」の域です。何故なら、そこには他者への魂への敬意や慈しみという思い遣りが微塵も感じられず、一言で言うと「愚弄している」、或いは「舐め切っている」という様な言葉が似合うバンドという印象でしょうか。

 

私は頭は柔らかい方なので、同じパンクであってもセンスの良いものなら楽しめると思いますが、残念ながら彼等が発信するものに、拍手を送る気にはなれませんでした。

 

そして、そう感じていたのは私だけではなかった様で、彼等のパフォーマンスには会場全体が白け切ってしまい拍手が全然なく、最後は彼等もその空気を感じていた様です。(私が長年立たせて頂いたバレエの舞台もそうですが、観客というのは実にシビアで正直なものであります!)

(^^;

 

 

 

それでは次の出演者であったriver(ロマンチック日本代表!!!)さんの感想に移ります。

 

このバンドの方達は、コスチュームもなかなかオシャレで、特にボーカルの方なぞは、最初私は女性なのかと思うくらいでした。(スコットランドの男性の伝統衣装であるタータンチェックのスカートをお召しだったせいもあります) 

 

この前に出演されていた方達が、あまりにお下品(げひん)だったせいか、最初はその比較もあり、一見まぁまぁ上品(じょうひん)なバンドに見えていたのですが…。

 

数曲歌い終わった頃に、ボーカルの方が観客に向かって始められたそのトークが、相手の意思を無視する様な大変押し付けがましいものであったので、そりゃもう私は驚いてしまいましたッ。

(◎_◎;)

 

「今日は、自分達のCDを絶対買う様に!買う人に取って絶対損はさせませんからね!」

「(※一緒にステージに立っているお仲間に)今日どの位の枚数のCD持って来た?えっ?10枚?それじゃ今日の俺の電車賃にもならねえな!」

 

この事から窺がえるのは、彼等は「この様な事を聞かされる観客が、どの様に感じるのか?」という"想像力"というものを全然持っていないという事ですね。お若いから仕方ないとも言えますが、でもこれは年齢というよりも、その方の感性から来るものが大きいと私は思います。(若い方だって、感性の繊細な方はいますからね)

 

そして、この下品(げぼん)なトークにより、彼等のオシャレな衣裳の下に隠された本性を観客は肌で感じてしまい、一気にどんよりと白けた空気になってしまいました。その後は何を歌っても、どんなに熱いパフォーマンスをしても、彼等は観客席から拍手はもらえませんでした。

 

私は元舞台人として、彼等にお伝えしたい事は、「CDを買うかどうか、歌や演奏が魅力的かどうかというは、観客が決める事である」という事でしょうか。ステージに立つ者ができるのは、ベストを尽くしてパフォーマンスをする事以外ありません。そしてその評価や判断は観客に委ねるものであるという事ですね。

 

彼等はバンドとしての自分達の音楽には自信があるのだと思いますが(それ自体は悪い事ではない)、その価値を決めるのはそれを鑑賞させて頂く私達観客一人一人だという事です。

 

今回のケースでは、あまりにも視野が狭く、観客の意思を無視し、観客を白けさせてしまうナルシスティックな自信家は、"単なる自惚れ屋"という評価になってしまったという事ですね。彼等はまだ「何をしても魅力的」「その傲慢さが似合う(個性として認められる)」と観客に思わせる様な、魂の上品(じょうぼん)さには到達できていませんからね。

 

芸には内面が現れるもの。

 

表面は衣裳やメーキャップの力を借りて、一見品が在る様に見せる事はできても、"心の品性"というものは、やはりその方の創る世界にもろ反映されてしまうという事を、彼等はこれから勉強するのでありましょう。(品性とは、即ちハートです)

( ・・) ~ ☆彡

 

 

 

それでは次はロマンチストさんへの感想…と行きたい所ですが、少々長くなり過ぎますので、

次回に続きます♫ (このロマンチストさんは、なかなか魅力的なバンドでございました♫)

(^^✿

 

 

 

 

 (※ポストカード より)

 

これはクリムト(1862-1918年)が、1902年に描いた「ブナの林 Ⅰ」という作品♫

彼の絵の洗練された味わいと繊細さが … とても好き♡ ♡ ♡

(^^✿

 

 

 

 

 

 

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natural & elegance

長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年