大事な家族を亡くしてから気付いたという、バカ息子の話 - 家計・ライフプラン全般 - 専門家プロファイル

石川 智
オフィス石川 代表
高知県
ファイナンシャル・プランナー

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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大事な家族を亡くしてから気付いたという、バカ息子の話

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ほんとうに、あっけなかったし、突然のことでした。

 

6年間、認知症で入院していた母が、2日前に発病した肺炎で、先ほど亡くなりました。86歳でした。

 

6年前、81歳の父が肺炎に倒れて、2週間で亡くなったのと比べると、母が肺炎になってからは、本当に「あっという間」の出来事でした。

 

実は、こうして今でこそ「母や父とのこと」を冷静に考えられるのですが、80歳を超えた両親に「本当のピンチ」が来たとき、私は目をつぶっていたのです。その現実に向き合えなかったのです。

 

父が急に亡くなった時、私は45年近く「まともに父の話を聞いてこなかった自分」を責め続けましたし、「親とはいつまでも元気なんだ」という考えに甘えていたのです。

 

しかし、父のその時は来てしまい、私は今日まで後悔の念を抱き続けてきました。

 

そして、その「とんでもない後悔の気持ち」をきっかけに世の役に立ちたいと思い、私は保険会社を辞めて、FPとして独立したというわけです。

 

そんな自分の経験から「エンディングノートで家族と話し合うことができる」と終活セミナーでお話してきました。私のような経験をしないように、という想いからでした。

 

しかし、父を亡くしたと同時に認知症になってしまった母を、私は、結局、受け止められせんでした。

 

発達障害の娘がまだまだ幼かったのと、介護施設の費用負担をする甲斐性が私にない、そんな理由を作り、自宅や介護施設での生活を選べない私は、某精神科の閉鎖病棟に置いてもらっていたのです、6年間も。

 

この「事実」から目を背けたいし、これは致し方ないんだと思うようにしましたが、そのような「弱い自分」に戸惑い、結果として、なるべく母の状態を「考えないようにしよう」という選択肢を選んでいたのです。

 

ですから「家に帰りたい」と訴える母親にろくに会うこともできず、いつの間にか6年間が過ぎ、今日の結果につながってしまったのでは?と、私はまた後悔しています。

 

「母の大事な6年間を、奪ってしまったのではないか?」と。

 

こんな私から皆さんにお伝えできることが、一つだけあります。

 

それは「その人だけの人生、なんてないんだ!」ということです。

 

例えば独居の老人がいたとします。その人の人生、つまり毎日の積み重ねは、その人だけのものなんでしょうか?

 

あの人は一人で暮らしているから、そりゃあその人だけの人生でしょ!、と思うかもしれません。

 

でも、例えばその人に声をかける施設職員さんや、買い物で立ち寄るお店の人にとっても、その人の日々の暮らしぶりをまるで自分のことのように考え、気遣い、喜び、そして心配しているかもしれません。

 

その意味では、そのご老人の人生は「関わる全ての人のもの」とも言えるかもしれません。

 

私は父や母の人生を「そんな風に」考えてこなかったのではないか、と反省しています。

 

「自立」という言葉を都合よく解釈してこなかったか?「結局はその人の人生ですし」なんて訳知り顔で言ったのでは?そして、大切な家族を一人にしてしまったのでは?
と。

 

これから私は「そんな自分」を捨てないといけない、と強く心に刻んでいます。