日経記事;『サムスン異例の巨額買収 「IoT」時間買う 車部品に本格参入 スマホ鈍化に危機感』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『サムスン異例の巨額買収 「IoT」時間買う 車部品に本格参入 スマホ鈍化に危機感』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

11月15日付の日経新聞に、『サムスン異例の巨額買収 「IoT」時間買う 車部品に本格参入 スマホ鈍化に危機感』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『韓国サムスン電子が約8600億円を投じ、米自動車部品大手を買収することを決めた。自前で生産体制や販路を拡大してきたサムスンにとって異例の大型買収となる。

同社は主力のスマートフォン(スマホ)で成長鈍化の懸念が強まり、品質問題にも直面。新事業の育成を急ぎ、買収で時間を買うことにした。日本の電機大手も自動車分野での成長をめざしており、激しい競争となりそうだ。

サムスンは昨年12月、半導体と液晶ディスプレーを手掛ける「部品事業部門」の傘下に自動車部品事業立ち上げのための「電装事業チーム」の設立を決定。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代に成長が期待される車部品事業に進出する方針を示した。

ただ、スマホや半導体で世界首位のサムスンも車部品は専門外。過去には自動車本体に参入して失敗、撤退に追い込まれた経験もある。新設した電装事業チームは、迅速な事業立ち上げのため、自動車業界で実績のある有力会社のM&A(合併・買収)を狙っていた。

白羽の矢が立ったのが、カーナビゲーションシステムやカーオーディオに強い米ハーマンインターナショナル(コネティカット州)。トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)、独BMWなどの世界の自動車大手をパートナーに持つ。

車部品は自動車会社を頂点とする系列取引の慣習が強く電機業界よりも参入障壁が高い一方、一度入り込めば5年単位の長期取引で安定した売り上げが期待できる。自動運転など車の進化に必要な技術は、人工知能(AI)や半導体センサーといった電機業界の領域が多く、サムスンはハーマンと事業シナジーを出すことで、車部品市場の攻略を目指す。

約8600億円の買収額は、韓国の斗山インフラコアが2007年に米企業から建機事業を買収した49億ドル(約5200億円)を上回り、韓国企業としては過去最大。次期会長就任が確実視される李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が10月下旬に登記理事(日本の取締役に相当)に就いてから、重要な意思決定を下した初のケースにもなる。

サムスンは10日にバイオ医薬品の受託製造会社サムスンバイオロジクスを韓国取引所に上場させたばかり。初日は株式時価総額が約9000億円に達して投資家の期待の高さを示した。将来は医薬品の受託製造だけでなく、バイオ医薬品の後続品「バイオシミラー」の開発・販売を強化し、車部品と並ぶ中核事業に育てたい考えだ。

サムスンは発火事故に起因する新型機種「ギャラクシーノート7」の販売打ち切りで、主力のスマホ事業が16年7~9月期にほぼ損益トントンの水準まで落ち込んだ。

米調査会社が発表した16年7~9月期のスマホの世界出荷台数は前年同期比13%減少した。スマホ市場は中国の新興メーカーの成長が著しく、数年後には市場構造が一変している危険がある。

一方、サムスンは車の電装市場が25年に15年比3倍強の1864億ドルになると予測。サムスンの権五鉉(クォン・オヒョン)副会長は「ハーマンのノウハウとサムスンのITモバイル技術を結合し、車の革新を主導していく」と強調する。

日本の電機業界でもパナソニックなど大手が車部品を成長戦略の中心に据える動きが広がる。家電や情報機器で繰り広げられた日本の電機大手をサムスンが追う構図が、自動車分野でも再現されそうだ。』

本日の記事は、韓国サムスンが車載用電気電子部品事業に本格的参入するために、米自動車部品大手であるハーマンインターナショナル(コネティカット州)の買収発表について書いています。

ハーマンインターナショナルは、カーナビゲーションシステムやカーオーディオを主事業としており、トヨタや独VWやBMWなどが顧客になっています。

買収(M&A)は、新規事業基盤を短期間に立ち上げるのに有効な手段です。サムスンは、現在のEV、燃料電池車などの環境対応車と、自動運転車の急速な開発・実用化が進む状況をみて、一気に車載用部品事業への参入を決めたのだと推測します。

サムスンの現在の主力事業の一つであるスマートフォンは、明らかに成熟化しつつあります。また、中国メーカーが中心になって、1万円以下の廉価版スマホが、アジア市場などで急速普及しています。

このようなスマホの事業環境下では、サムスンは今までのような収益拡大を見込めないので、日本のメーカーが相次いで参入している車載用部品事業への早期参入を決めたのでしょう。

EVや自動運転車は、明らかに今までの自動車の概念を大きく変えるインパクトをもっています。また、主役が既存の自動車メーカーだけでなく、米大手ITベンダーであるグーグルに代表されるように、異業種からの新規参入企業が数多く登場するとみています。

最近、トヨタが2020年ころに、EVの量産化を実現すると発表しました。VWやBMWもEVの量産を加速させています。

EVの市場規模が、今後数年で急激に拡大する状況になっています。加えて、自動運転車も2020年以降に、本格普及に入る可能性があります。

その結果、米テスラモーターズやグーグルなどの新興企業が、積極的に事業化しようとしているのが自動運転機能付EVです。

自動運転機能付EVは、いわば移動する電子端末機器になります。この移動する電子端末機器は、スマホ以上の新規事業機会を、電気電子関連事業者やIT関連事業者にもたらします。

サムスンもグーグルと同じように、将来、自動車メーカーとして事業展開する可能性もあります。

さらに、自動運転車の開発・実用化の前に、自動ブレーキ機能を付け安全機能を向上させた自動車の普及も加速すると推測しています。

自動ブレーキや自動運転技術は、数多くのセンサー・レーザーデバイス、関連電気電子部品、無線Lanチップ、CPU、AI、クラウドサービスなど、多くのプラットフォームとなる部品や技術がベースとなって実現可能になります。

このような新規自動車産業のすそ野は、既存のガソリンエンジン車がもっている産業のすそ野と異なるところで、広がりつつあります。

パナソニック、ソニーなどの家電メーカーは、そこに商機を見出して車載用部品事業に参入しつつあります。

サムスンは、同じ認識をもって、M&Aにより必要な技術やノウハウ、販路を獲得して、車載用部品事業に入ります。

当然のごとく、車載用部品事業分野で、既存の国内電気電子部品メーカーも含めて、サムスンの間で熾烈な競争が起こることは確実です。

国内メーカーは、今まで以上に切磋琢磨して技術やノウハウの向上を図りながら、並行してコスト削減を行う必要があります。

EVの構造は、ガソリンエンジン車に比べてシンプルであり、その販売価格は安くなることが、コスト削減要因として想定されます。

コスト削減の手を緩めると、サムスンのような海外企業に、新規事業機会を奪われる可能性があります。

サムスンの参入をきっかけに、国内メーカーが一層奮起して、競争力強化して、自動運転機能付EVや自動ブレーキ搭載車の世界市場で勝ち組になることを大いに期待します。

上記視点から、当該事業の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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