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「どこかに性悪説を持つ」というマネジメントのバランス

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 現場の事例・私の体験

 一度くらいは聞いたことがあるのではないかと思いますが、心理学者で経営学者のマクレガーによって提唱されたモチベーション理論で、「X理論・Y理論」というものがあります。

 

 「人間は本来仕事をするのが嫌いであり、強制や命令がないと働かない」と捉えるのがX理論、「仕事をするのは人間の本性であり、自ら設定した目標に対しては、その報酬により積極的に働く」と捉えるY理論があり、一言で行ってしまうと「性悪説」のX理論、「性善説」のY理論ということになります。

 

 これをどう活用するかは、時と場合によっていろいろですが、意識的にY理論的な形を実践することが、組織運営では現実的な活用法だと言われています。私がお付き合いさせて頂く経営者や管理職の方々も、総論ではこの性善説のY理論的な考え方を中心に、組織作りを考えて行こうとすることが多いです。

 

 ただ、部下との接し方や具体的な話になっていくほどに感じるのは、「それが良いとはわかっていても、なかなかそうばかりとはいかない」という実態です。

 

 私がお付き合いさせて頂いている、いくつかの会社の管理職の方々からも、ご自身の配下にいる部下たちを指して、「わかっているはずなのに、なんでやろうとしないのか・・・」「本人の意思任せではなかなか動かない」「結局、命令してやらせないとダメ」などというお話を聞きます。性善説ではうまくいかないという現実があるのは確かなのだと思います。

 

 このように、「どこかに性悪説は必要」と思っている方々に共通しているのは、現場を良く見ていて、そこに近い立場である実務家の管理職が多いという点です。目先の業績もあげていかなければならないし、日常業務で起こる具体的な事象がいろいろ目に入り、きれいごとばかりではマネジメントしきれないということでしょう。

 いろいろわかっているがゆえに、「どうしても黙って見ていられず、ついつい口を出してしまう」ということもあるようです。

 

 やはり、目の前の結果を求めようとすると、どうしても性悪説的な対応が必要になり、その度合いが少なくなってくるほど、性善説に基づくマネジメントが可能になってくるということなのだろうと思います。結果が得られるまでの時間軸の捉え方が、短期で見ているのか、中長期で見ているのかという違いです。

 

 これはあくまで私が見ている範囲においてですが、経営的に安定している、中長期のことも考えられる余裕があるような会社の方が性善説的な考え方が強く、業績が厳しい、常に短期業績重視の社風、経営者や管理職の気が短い、などといった会社の方が、性悪説的な施策が出てくることが多いと感じます。

 

 私がお手伝いする人材育成や人のマネジメント、モチベーションに関わることにおいては、中長期的な視点で取り組んだ方が、効果を得るには結果的に早道ということがあります。どうしても性善説のY理論的な意識が強くなってしまいがちですが、現場を客観的に見れば見るほど、性悪説のX理論がダメで性善説のY理論が良いなどと、一概に言えるものではありません。

 

 そういう意味では、「どこかに性悪説を持ちながらの性善説」というマネジメントが、実は絶妙に良いバランスなのかもしれません。

 

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