日経記事;『トヨタ・スズキ提携 環境・安全など協力 資本提携「これから議論」』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタ・スズキ提携 環境・安全など協力 資本提携「これから議論」』に関する考察

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皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月13日付の日経新聞に、『トヨタ・スズキ提携 環境・安全など協力 資本提携「これから議論」』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車とスズキは12日、提携すると発表した。環境や安全、情報技術などの分野で協力し、自動運転車の開発など異業種を巻き込んだ競争激化に対応する。日産自動車も月内に三菱自動車へ34%出資するなど、自動車業界の再編が相次いでいる。

今回のトヨタとスズキの提携で国内ではトヨタを中心とする連合、仏ルノーと提携する日産・三菱自グループ、ホンダの3陣営に集約されることになる。

トヨタの豊田章男社長とスズキの鈴木修会長が同日、都内のトヨタ東京本社で記者会見した。

鈴木会長は「国内やインドといった得意の市場でも、伝統的な良品廉価の車作りだけでは独立企業として行き詰まる」と激しい技術開発競争にさらされたスズキの状況を説明。その上で、トヨタの豊田章一郎名誉会長に提携を打診し、内諾を得たと明らかにした。

豊田社長は「1社が個別で技術開発するには限界がある。同じ志を持つ仲間作りが重要だ」として、交渉入りに応じたと説明した。

両社の関係が今後、資本提携に発展する可能性については「これからの議論だ」(鈴木会長)、「ゆっくり考える」(豊田社長)と述べた。

世界的に規制が強まっている環境技術や、自動運転などの安全・情報技術の分野で提携策を協議する。新興市場開拓でも、スズキが4割ものシェアを握るインドなどでの協業を検討する。トヨタが8月に完全子会社化したダイハツ工業を軸にスズキの小型車開発のノウハウを取り込みながらシェアを高める。

トヨタは2014年にグループ全体の世界販売台数が1000万台を上回った。16年3月期の連結純利益は2兆3126億円に達し、足元の収益でも独フォルクスワーゲン(VW)や米ゼネラル・モーターズ(GM)を大きく上回る。

ただ、将来の競争を左右する技術の標準化が欧米メーカーを中心に進んでいることに危機感を募らせていた。提携先を増やし自動車の制御ソフトや通信規格の策定で主導権を握る考えだ。

スズキは国内の軽自動車やインド事業で競争力を発揮する一方、ハイブリッド車(HV)などの環境技術や人工知能(AI)を活用した自動運転などの先進分野で出遅れている。GMとの提携解消に伴い09年にVWと資本・業務提携したが、経営方針の食い違いで15年に提携を解消していた。

自動車業界では環境規制の強化を背景に、電気自動車(EV)などの電動化技術の開発が急務だ。自動運転などの技術開発にも巨費がかかり、中堅メーカーの単独での生き残りが難しくなっている。トヨタは15年にマツダとも包括提携したほか、緩やかな連合づくりを進めている。今後の提携についても「常にオープンな姿勢で検討する」(豊田社長)としている。』


世界の自動車メーカーは、世界市場で勝ち組になるために、さまざまなやり方で合従連衡を繰り返してきました。

国内自動車メーカーも、この流れの中で他の国内産業分野より巧みに合従連衡(企業連携・アライアンス)を行っています。

この合従連衡の背景にあるのが、今までの場合、石油・ガスなどの販売価格の高騰、世界的な同時不況、二酸化炭素削減などの環境対応など、既存のガソリン・ディーゼルエンジン車自体の急激な事業環境の変化への必要性がありました。

最近の自動車業界を取り巻く事業環境は、アメリカ・欧州を中心に、大きくかつ急激に変わりつつあります。

それは、二酸化炭素などの有害物質を出す自動車を完全に排除するZEV(Zero Emission Vehicle)規制と、自動運転車の開発・実用化です。

ZEV規制は、アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州などが中心となって、2018年からの完全適用することになっています。

ZEV規制が完全適用されますと、電気自動車(EV)や燃料電池車以外の自動車では実現することができなくなります。

もちろん、いきなりすべての自動車がEVや燃料電池車のみになることは難しいので、当面の間、ハイブリッド車の併売も条件付きで可能になります。

今後、地球温暖化防止は、待ったなしの状況化で各国が対応することになります。たとえば、アメリカと中国は、温暖化ガスの排出量を規制するパリ協定に署名すると発表しました。

今後、アメリカと欧州市場では、ZEV規制化が一層進むとみています。EVと燃料電池車に対する需要が急拡大します。

燃料電池車は、トヨタ自動車とホンダが世界で先行して開発・実用化を進めていますが、水素ステーションの設置などの社会インフラ整備が必要であり、短期間に周辺環境を整えるのは難しい状況です。

代わりに注目されていますのが、EVです。EVは電池が動力源になりますので、ガソリンエンジン車や燃料電池車などに比べて、自動車業界への参入障壁が格段に下がります。

また、EVはガソリンエンジン車に比べて構造が簡単であり、ガソリンエンジン車に特有な技術やノウハウをそれほど必要としません。

しょうしょう極端な言い方をしますと、EVは、電池、タイヤ、シャーシ、ブレーキなどの部品を調達できれば、自動車作りの経験やノウハウ蓄積がそれほどなくても、開発・実用化できるようになります。

もし、完全な自動運転機能付EVが開発・実用化されますと、一般的には自動車の安全性が向上しますので、自動車全体に現在必要とされている安全基準が変更される可能性があります。

安全基準が緩和されますと、いろいろな企業が自動車業界に参入してくることになります。

現在、自動運転機能付EVの開発・実用化を目指している米大手ITベンダーは、グーグルになります。EVのテスラモーターズも、自動運転機能付自動車の開発・実用化を加速させています。

さらに、アップルやアマゾンなどの米大手ITベンダーも、自動運転機能付EVの開発・実用化を目指しているとされます。

自動運転機能付EVは、トヨタ、ホンダ、日産などの国内自動車メーカーや米独の既存自動車メーカーにとって、既得事業であるガソリンエンジン車・ディーゼルエンジン車の事業基盤を急速に破壊・変革させるものになる可能性があります。

自動運転機能付自動車の開発・実用化において、IoT・人工知能対応は必須です。自動運転機能付自動車は、動くインターネットの出口端末の一つになります。

このことが、インターネットビジネスのプラットフォーム構築の維持強化を積極的に行っている、グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手ITベンダーが、自動運転機能付EVの開発・実用化を行う大きな動機になります。

トヨタ、ホンダ、独ベンツなどの大手自動車メーカーが、米国のシリコンバレーに大型のIT開発拠点を設置しているのは、IoT・人工知能対応を含めたIT関連技術やノウハウの獲得にあります。

世界最大の自動車メーカーであるトヨタさえ、環境、自動運転機能などの新規対応を1社単独で行うことは、投資金額や開発・実用化に要する期間の長さなどから困難になっています。

当然のごとく、自動車メーカーやITベンダーなどを含めた関連企業同士での合従連衡(企業連携・アライアンス)や資本提携、M&Aなどを行いながら、投資負担やリスク低減を図っていくことになります。

本日の記事にありますトヨタとスズキの資本提携・企業連携は、その一つになります。今後、両社がどのような形で「Win/Win]の関係を構築していくか注目していきます。

両社の企業連携・アライアンスは、中小企業にとって、他企業との連携からどのような形で「Win/Win」の果実を生み出すのか、そのやり方を学ぶ上で参考になることを期待しています。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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