ビジネス方法は特許されるか?(第1回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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ビジネス方法は特許されるか?(第1回)

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ビジネス方法は特許されるか?(第1回)
〜ビジネスモデル特許の判断基準 大法廷判決〜  河野特許事務所 
2008年11月18日 弁理士 河野 英仁

1.概要
 ビジネスモデル特許は、1998年におけるステート・ストリート・バンク事件*1(以下、SSB事件)を契機に一大ブームとなった。SSB事件においては、ビジネスの方法であるとしても、特許法による保護対象外であるとして排除することはできないと判示された。

 SSB事件で問題となったU.S. Patent No. 5,193,056特許のクレーム*2は、構成要件中にハードウェアが記載され、各ソフトウェア処理が、ハードウェアを用いて具体的に実現できるよう記載されている。これは、ビジネスモデルであっても、IT技術を適用することにより権利を取得できることを意味する。

 では一歩進んで、純粋なビジネス方法、つまりハードウェア資源を全く用いない金融商品の取引方法等のビジネス方法は特許を取得することができるであろうか?

 本事件では、ヘッジ取引*3に関するビジネス方法が、米国特許法第101条のもと、特許可能か否かが問題となった。そして、どのような判断基準で米国特許法101条を適用すべきか大きな議論となった。CAFCは事件の重要性に鑑み、広く第3者の意見(amicus brief:法定助言書)を求めると共に、大法廷*4による審理を行った。

 3判事による反対意見が示される程、熱い議論がなされたが、結局CAFCは最高裁が過去に示した「機械または変換」テストが唯一適用すべきテストであると判示した。そして、この「機械または変換」テストのもとでは、出願人のクレームは特許法第101条のもと特許性がないと判示した。

  

(第2回に続く)