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日経記事;『新薬候補 AIが提案 論文学習、新物質探る 抗がん剤などの開発費を抑制 厚労省後押し』考察

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皆様、

こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。

9月23日付の日経新聞に、『新薬候補  AIが提案 論文学習、新物質探る 抗がん剤などの開発費を抑制 厚労省後押し』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『厚生労働省は人工知能(AI)を使い、高い効果の見込める画期的新薬の開発を後押しする。抗がん剤といった新薬のもとになるシーズ(種)と呼ぶ新規物質を見つけ、数年内に研究者らに提案することを目指す。

グローバルに新薬開発競争が激しさを増す中、巨額の費用が必要で成功率も低い新薬の開発に向けて国の支援を強化する。AI活用で開発を効率化し、医療費全体の抑制につなげる狙いもある。

AIは自ら学習し、考える能力を持つコンピューターのプログラムだ。厚労省は数年かけてAIを使った新薬開発の具体化にメドをつけたい考えだ。AI開発を担うのは、革新的な医薬品開発を支援する国立研究開発法人の医薬基盤・健康・栄養研究所で、2017年度から始める計画だ。

まず民間企業がある程度開発したAIを購入するなどして、抗がん剤など目標とする新薬の分野に関する国内外の膨大な論文やデータベースを読み込ませる。学習して見つけたシーズを動物実験などで検証し、AIがさらにその結果を学んで能力を高めていく。

開発したAIは国の医療研究の司令塔と位置づけられる日本医療研究開発機構(AMED)を中心に、理化学研究所や産業技術総合研究所などが参加する「創薬支援ネットワーク」内で活用する。厚労省はまず17年度に3億5000万円を投じ、18年度以降も予算要求額を拡大する。

AIは金融や製造業など幅広い産業で実用化が進んでいる。医療でも東京大学とIBMは15年から、がん研究に関連する論文をAIに学習させ、診断に役立てる臨床研究を実施中だ。東大の東條有伸教授は「人間だと1カ月近くかかることをAIなら数分で結果にたどり着く」と評価する。

抗がん剤やC型肝炎、生活習慣病などに用いる画期的新薬を開発するには、病気の発症に関係する遺伝子やたんぱく質に作用する新薬候補を見つける必要がある。ただ膨大な候補の中から有効な化合物を絞り込み1つの新薬ができるまでに10年超の期間と数百億円以上を要するとされる。

グローバルな新薬開発競争の中で日本勢の創薬力はなお低いとの見方もあり、厚労省は国の有力な研究組織を束ねて官民連携を強化し、研究者らの取り組みを支える必要があると判断した。

米国ではAIを活用した新薬開発が活発化している。例えば創薬ベンチャーの米バーグ(マサチューセッツ州)は脳や膵臓(すいぞう)など40種類以上のがん細胞と健康な細胞の約14兆件に上るデータをAIで比較・分析して新たな抗がん剤を開発した。

膨大な開発期間と費用を圧縮できることへの期待も大きい。AIを使った創薬ベンチャーの米アトムワイズ(カリフォルニア州)は、エボラ出血熱に効く薬の候補2つを発見。通常、数年かかる探索をAIで1日で終えたとされる。日本の医療費41.5兆円のうち、薬にかかる費用は約2割を占める。最近では超高額のがん免疫薬などを巡って医療界でも「皆保険制度の崩壊につながる」との懸念が広がっている。』

本日の記事は、AIを新薬開発・実用化に役立てる施策を政府が本格的に取り組むことについて書いています。新薬の中でも、高い効果の見込める画期的新薬を対象にするとされています。

「画期的新薬」は、日経記事では「新規性や独創性があり、完治の難しい病気に高い効果を発揮する薬。製薬会社は開発が成功すれは大きな利益を得られるため、巨額の研究開発費を投じている。。。」と書かれています。

事例として、2014年に小野薬品工業が販売したがん免疫薬「オプジーボ」が書かれています。オプジーボは1年間で5万人が使えば1兆7500億円にのぼるとの試算されています。15年度の概算医療費は41.5兆円ですから、この「オプジーボ」だけで巨額の医療費になることがわかります。

このまま、医療費が毎年高騰すると、皆保険制度が崩壊するリスクが高くなるのは当然のことです。

ITやAIをこの医療費高騰の抑止のために活用することは、極めて重要な施策です。AIの開発・実用化ノウハウが、診断技術の精度および迅速化にも応用できる可能性があります。

創薬は、非常に時間とコストがかかり、成功しない可能性がある極めてリスクが高い事業です。AIを活用することで、新薬開発・実用化を短期間に行えるようになる可能性が高くなります。

AIが今までの開発成果、診断・治療結果、論文などの膨大なデータ・情報を読んで、病気の発症に関係する遺伝子やたんぱく質に作用する新薬候補を見つけることなどができるようにします。

現在のAI技術は、汎用的なものではなく、ある事業対象に特化してアルゴリズムを開発・実用化するやり方になります。

政府は2016年5月に、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)を開き、人工知能(AI)、ロボット、ITの活用を柱とする新たな成長戦略の素案をまとめました。巨額の予算をつけて、AIなどによる第4次産業革命を起こし、2020年に30兆円の新市場創出を目指すとしています。

AIを活用した創薬事業は、その一環になります。

米国では、グーグル、マイクロソフト、IBM、アップル、アマゾンなどの米大手ITベンダーが、AIの開発・実用化を積極的に進めています。

日本のITベンダーもAIの開発・実用化を進めていますが、新聞記事などを見る限り、米大手ITベンダーのように巨額の資金を投じて、AIの事業化に取り組めていない印象をもっています。

AIは、インターネットやITの進化の一つとして、近々に大きな影響を与えることは確実です。
日本の企業が、AIをいろいろな産業分野で開発・実用化を進めることが重要であり、必要になります。

AIの医療事業への応用では、既存の医薬品が、今まで気がつかなった他の病気に対して有効であることを効果的・短期間に発見できる可能性があります。

たとえば、2016年3月に、横浜市立大学肝胆膵消化器病学の中島淳教授、日暮琢磨助教らの研究グループから、糖尿病の治療薬である「メトホルミン」に、大腸ポリープの再発リスクを下げる効果があることが発表されました。

このような発見が、AIが診断・治療結果、論文などの膨大なデータ・情報を読み込むことで、人間が行う作業より、より効果的・短期間に候補が発見できれば、効果確認作業は大幅に短縮できます。

日本には、まだ数多くないですが、AIに特化したベンチャーが存在しており、いくつかの事業分野に有効なAIの開発・実用化を進めています。

医療分野では、PEZY Computing、あるいは製造分野では、Preferred Networksなどのベンチャーが積極的な開発・実用化を進めています。

政府とこれらのITベンチャーが共同で、各事業分野に特化したAIの開発・実用化を進めていけば、短期間に有効なAIが使用可能になるとみています。

上記米大手ITベンダーや欧州が官民一体で進めているAIの開発・実用化に後れを取ると、国内企業に大きなマイナス影響を与えるだけでなく、医療費高騰を抑止できなくなるリスクがあります。

AIは、上記国内ITベンチャーだけでなく、今後クラウドサービスの活用やスーパコンピューターを含めた高性能コンピューターが廉価に活用できるようになりますので、日本で官民一体となって、各事業分野に適したAIの開発・実用化が加速することを期待します。

政府が主導して開発・実用化したAIのノウハウを国内企業や関連事業者が活用できれば、日本の産業の競争力を強化できます。

海外のAI開発・実用化が加速化していますので、今後の日本国内での関連企業や政府施策の実施などについて注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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