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日経記事;『東レ,炭素繊維生産能力2割増 百数十億円投じメキシコで増強,風力発電/車向け拡大』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

9月22日付の日経新聞に、『東レ,炭素繊維の生産能力2割増 百数十億円投じメキシコで増強,風力発電/車向け拡大』 のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『東レは2018年をめどに、炭素繊維の世界での生産能力を約2割増やす。低価格品を生産するメキシコ工場に約百数十億円を投資し、能力を3倍にする。

風力発電の風車用に需要が拡大しているためだ。これまで高機能品に特化してきたが、低価格品は軽量化ニーズが高い自動車部品への採用も見込まれるため、能力増強を加速する。

年内にも決定する。航空機などに使う高機能品を合わせた世界での炭素繊維生産能力は約2割増の約5万2000トンとなる。米国では高機能品の設備増強も計画中だ。東レの世界シェアは現状では約43%で首位。積極的な投資で50%近くにまで高まり、2位との差がさらに開く見通し。

低価格品を生産するメキシコ工場(ハリスコ州)は風力発電設備の風車向けが好調で、フル稼働状態が続いている。16年春に能力を倍増し、年産5000トンに引き上げた。需要や用途の拡大もにらみ2~3年内に約1万5000トンまで能力を高めたい考えだ。東レの全世界での生産能力に占めるメキシコ工場の割合は従来の1割から3割に高まる。

東レは従来は高機能品のみを取り扱っていたが、14年に米ゾルテックを買収して低価格品市場に参入した。低価格品は見た目や品質にムラができやすいが、鉄に比べて重さが4分の1、強さが10倍という炭素繊維の特徴は変わらない。東レは開発中の加工技術を確立して、自動車部品向けでも本格的な採用を目指す。

東レは米ボーイングと取引額1兆円を超える長期供給契約を交わすほか、米スペースXとは宇宙船向けの長期供給契約を正式に交わす最終調整に入っている。いずれも付加価値が高い高機能な品種で、中長期的な成長の柱とする。風車向けなどの低価格品では着実に収益を確保する。』

日経新聞によると、「炭素繊維の世界市場は2015年に約4万1千トンだったとみられる。20年には約3倍の10万トン規模まで拡大する見通し。15年に自動車向けが占める比率は1割強だった。20年には15年と比べて約5倍に伸びる。風力発電向けも約2倍に拡大すると推定される。」とのこと。

この需要が伸びている炭素繊維は、米国企業が開発したが、実用化の困難さから撤退した。代わって、炭素繊維の開発・実用化を長期間投資し続けて、商用化に成功したのが、東レ、帝人、三菱レイヨンの国内企業です。

現在、東レ、帝人、三菱レイヨンの3社の合計シェアは、約60%となっています。

炭素繊維は、当初加工技術の難しさなどから製造コストも高く、航空機、ロケットなどの高性能分野へ限定した形で使用されていました。

上記国内3社は、製造方法などの改善・改良を進めて、より低い製造コストでの炭素繊維を作ることができるようになっています。

この低い製造コストの応用分野の一つが、自動車と風力発電の風車になります。従来、高価格品の炭素繊維は、航空機やロケット以外の分野では高級自動車用途に限定されていました。

炭素繊維の製造コストが低くなりつつある状況では、量産車への使用が加速しています。

さらに、地球温暖化対策の切り札の一つになっている風力発電の風車への使用が、炭素繊維の消費量を増やしています。

さらに、2014年ころから炭素繊維を3Dプリンターで使用する試みが活発化しており、最近では製品への適用がされるようになりつつあります。

3Dプリンター用途の炭素繊維の開発・実用化は、さらに、加速化されていくとみていますので、家電商品や小物商品などにも炭素繊維が使用される頻度が高くなります。

炭素繊維の使用範囲は、高機能分野からより低価格の汎用分野まで広がることは、確実です。
東レは、このような事業環境下で、2014年に米米ゾルテックを買収して低価格品市場に参入しました。この事業拡大は、合理的です。

汎用化する炭素繊維市場には、中国などのアジア勢が参入しつつあります。東レが先手を打って、先行して低価格市場を獲得して、市場の支配権を確保する動きは、今後の安定した収益確保・拡大を実現することになります。

炭素繊維の自動車用途を拡大するために、自動車関連の技術・製造が集中しつつあるメキシコに、東レが拠点を設置することも有効です。

メキシコは、米国とFTA(自由貿易協定)を結んでおり、米国市場向け自動車の製造拠点になっています。(ただし、トランプ氏が次期米国大統領になると、FTAの見直しが行われるリスクがありますが。。。)

東レ、帝人、三菱レイヨンの国内3社は、この需要が急増している炭素繊維市場で、積極的に投資して、より高い市場シャアを獲得することを期待します。

同時に、広範囲な炭素繊維の開発・実用化で、3Dプリンターの活用なども含めて、多くの事業分野で当該商品が使われるようになる事業環境の確立を願います。多くの国内企業に新規事業立上の機会が生まれることによります。

この視点から、国内炭素繊維の開発・実用化に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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