日経記事;『独SAP、提携加速 アップルやシーメンスなど IoTにらみ変革急ぐ』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『独SAP、提携加速 アップルやシーメンスなど IoTにらみ変革急ぐ』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

8月16日付の日経新聞に、『独SAP、提携加速 アップルやシーメンスなど IoTにらみ変革急ぐ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『欧州最大のIT(情報技術)サービス企業、独SAPが米欧の有力企業との提携を加速している。米アップルとモバイル機器で使いやすい業務システムを開発し、物流大手の米UPSとは3Dプリンターで製造した注文品の翌日配達を手掛ける。あらゆる機器がインターネットでつながる「IoT」時代をにらみ、有力企業と組むことで製品や事業の変革を急ぐ。

「8万人の全社員がイノベーティブ(革新的)であるかどうかを問われている」。SAPのシュテファン・リース取締役は7月、ベルリン郊外ポツダムの研究施設で開いたイベントで、変革に挑む決意を強調した。

SAPは在庫、販売、原価、人事など企業のあらゆるデータを管理・分析し、経営判断を支援する統合基幹業務システム(ERP)の世界最大手。世界の有力企業2千社のうち87%を顧客とする圧倒的な存在だ。

その同社が提携戦略を加速している。情報機器や家電、工場設備などあらゆるモノがネットでつながるIoT時代が到来すれば、膨大なデータを高速で処理し、製品やサービスに生かす必要がある。それに向けて「設計段階から最終利用者により近づく。柔軟に提携相手を見つけ、素早く事業を進める」(ベアント・ロイカート取締役)。

アップルとの提携ではモバイル機器を使うビジネスパーソンが急増していることに対応。アップルが「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」で磨いたシンプルで直感的な操作を取り込んだシステムを両社で開発する。

画面に指を滑らせるシンプルな操作で、データを重要度に応じて自在に配置したり、データを組み合わせてグラフを作ったりするという具合だ。経営者や営業担当者は現場で素早く判断でき、顧客にも説明しやすい。

SAPはビル・マクダーモット社長の直轄チームを設けてアップルとの連携を検討してきた。

UPSと組んで米国で始めるのは、個人や企業から発注を受け、3Dプリンターで製造するサービスだ。UPSの配送センターや輸送網を使って注文の翌日に届ける。

この提携も3Dプリンターの登場で設計図を大量のデータに変換してネット経由で送れば即製造できるようになった環境変化に対応したものだ。

SAPが本拠とするドイツは、製造業を中心とするIoTの取り組み「インダストリー4.0」の本場。同分野では独シーメンスと組む。シーメンスが工場に納入する機器にセンサーをつけてデータを集め、SAPが企業に全世界をつなぐシステムを提供する。

ERPではSAPと米オラクルが世界大手として競い、最近はネットスイートやワークデイといった米新興企業も台頭してきた。SAPは優位を保つために情報処理の技術も磨き、アップルなどとの提携に生かす。

その代表例が従来の数千倍の速さでデータを処理できる「HANA」。現場の機器のメモリー上でデータを高速処理でき、データをサーバーまで送る時間が省ける。

ポツダムの施設では人工知能(AI)の活用も研究する。機器につけたセンサーの情報から売上高を予測したり、病気の治療や予防に生かしたりすることを検討。人知とAIが融合する新時代のERPを探る。』


SAP(エスエイピー)は、ドイツに拠点を置くヨーロッパ最大のITベンダーの一つです。私は、以前勤務していた会社でヨーロッパオペレーションの経営管理システムとして、SAPのERPを導入した経験があります。

使い勝手が良い部分と悪い部分が混在していましたが、総じて効果的なソフトウエアパッケージでした。

このSAPは、ドイツ政府が産業界と協業・連携して推進しているインダストリー4.0の中核企業の1社になっています。

本日の記事は、SAPがIoT・人工知能対応をより積極的に行う経営姿勢について書いています。
SAPは、ERP業界では、世界最大の供給者になっています。特に、大手企業市場分野では、圧倒的な世界シェアをもっています。

SAPは、経営基盤の再強化を狙って、米大手ITベンダーとの競争に打ち勝つために、製造から販売までの全分野でイニシアチブを取るために、関連事業分野でのトップ企業と協業・連携して、足元を固めようとしています。

SAPの強みは、大手企業に採用されている彼らのERPの存在です。このERPが経営管理システムのプラットフォーム(デファクトスタンダード)になりますので、このプラットフォームに関連事業のプラットフォームをつなげることで、安定し、かつ、拡大する事業収益基盤を維持・拡大することが狙いです。

本日の記事にありますアップルとの協業・連携は、iPhoneやiPadが個人用途だけでなく、販売や製造などの業務用途で使用されていますので、現場でのインターネット出口端末として、活用することがSAPの狙いになります。

アップルにとっては、iPhoneやiPadが業務用途で拡販できると共に、各種アプリケーションソフトを、SAPとの協業・連携で販売できます。当然のように、SAPとアップルは、「Win/Win」の関係になります。

3Dプリンターは、欧米市場で日本以上に多様的に使用されており、年々技術革新も進んでいます。3Dプリンターに使用される素材も、金属や炭素繊維などの強度のあるものまで活用範囲が広がっています。

3Dプリンターは、試作品製作だけでなく、少量生産品の製造方法として活用範囲が広がっており、多くの小規模で個性的なメーカーが、ITと3Dプリンターを駆使して、デザイン性と機能性を併せ持った商品を提供しています。

SAPは、そこに目をつけて、世界的な物流企業であるUPSとの協業・連携で、3Dプリンターを使ったインターネット経由の生産受託・配送サービスを始めます。

ビジネスのやり方は、5月19日付の日経新聞によると、以下のようになります。

まず全米で始め、午後6時までに注文すれば翌朝に製品が届く仕組み。税金や輸送などの諸経費の計算も請け負う。需要動向に応じて柔軟に数量や仕様を変えるオンデマンド生産となります。
税金や輸送などの諸経費の計算も請け負います。

顧客はUPSのサイトで数量やサイズなどを入力し、ネット通販に近い感覚で注文。従来のやり方で調達・製造した場合と3Dプリンターとのコスト比較もできるとのこと。

SAPは、3Dプリンターを使うメーカーに対して、製造・販売・在庫、顧客管理データなどを総合的に提供します。

SAPの動きは、アマゾンなどの米大手ITベンダーをおおいに刺激すると考えます。インターネットやITは、既存事業の垣根を破壊して、新規に構築する動きを加速してきました。

アマゾンは、SAP・USP連合が行うことと類似したサービス提供を2014年から始めています。アマゾンと同じように、クラウドサービスを行っているグーグルやマイクロソフトなどの他米大手ITベンダーも、SAP・UPSと同じような動きを加速させる可能性があります。

このように、米および独の大手ITベンダーが、自前のプラットフォームをベースに、世界市場で強者連合となる協業・連携を強めていくことは確実です。

そのようなビジネス環境下で、国内製造事業者やITベンダーが、世界市場でどう戦っていくのか、迅速に計画・実行することが重要になります。

現時点では、国内ITベンダーは今までのやり方を続けていると、世界市場でプラットフォーム構築を行うことは難しい状況にあります。

しかし、プラットフォームを構築しないと、世界市場で安定した事業基盤を確立できません。

国内には、製造や販売などの分野に特化して、人工知能やIoTを実用化しようとしている、プリファード・ネットワークス(PFN)のようなITベンチャー企業が存在し、かつ新規に生まれています。

これらの国内ITベンチャーが核になって、米独の大手ITベンダーとは異なる形で、製造や販売などの分野で世界をリードするようになることを期待しています。

一方、国内企業がインターネットやITを活用して、世界で通用するプラットフォームを作るには、ITベンダーと製造や販売事業者との緊密な協業・連携が必要不可欠になります。トヨタ自動車のような大手企業が、PFNに出資して連携・協業することがより活発化することが必要です。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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