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日経記事;『日産、車向け電池撤退 中国勢と売却交渉 エコカー用、世界で再編』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本です。

8月6日付の日経新聞に、『日産、車向け電池撤退 中国勢と売却交渉 エコカー用、世界で再編』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日産自動車は電気自動車(EV)などの車載用電池事業から撤退する。NECとの共同出資子会社を売却する方針を固め、国内電池メーカーのほか、複数の中国メーカーと交渉に入った。自前で生産するより、電池メーカーから調達したほうが車両価格の引き下げにつながると判断した。EVなど電動化車両の本格普及をにらみ車載用電池(総合2面きょうのことば)の需要は高まっており、電池業界の再編が加速しそうだ。

売却するのはオートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)で、日産がNECと共同で2007年に設立した。日産が51%、NECグループが49%を出資し、日産のEV「リーフ」やハイブリッド車(HV)向けのリチウムイオン電池を生産している。車載用リチウムイオン電池のシェアはパナソニックに次ぐ世界2位で、2016年3月期の売上高は366億円。

日産は保有するAESCの株式に加え、米国と英国で独自に手掛ける電池の生産事業も売却する方針だ。国内電池メーカ以外にも、複数の中国メーカーが関心を示しているとみられる。日産は売却額や雇用面などの条件を詰め、年内にも売却先を決める。

日産の動きを受け、NECも保有するAESCの株式売却を検討する。

日産がEV開発に着手した当時は車載用電池のメーカーが限られ、同社が自前で電池を開発・生産する必要があった。2010年に発売した「リーフ」は16年6月末までに世界で累計約23万台を販売したが、今後の本格普及には電池のコスト低減が欠かせない。日産のみの需要では量産効果に限界があるため、専門性の高い外部のメーカーに生産を委ねるべきだと判断した。

独BMWやEV専業の米テスラモーターズなどは車載用電池を外部メーカーから調達している。日産は電池生産から撤退し、電池事業への開発費や従業員を車両の電動化や自動運転などの次世代技術の開発にあてる。

各国で進む環境規制の厳格化に対応するため、自動車メーカーはEVやプラグインハイブリッド車(PHV)の品ぞろえを増やしている。日産との資本関係が無くなればAESCは他の自動車メーカーとも取引しやすくなり、生産効率や価格競争力が高まるとみている。』


本日の記事は、日産自動車が自社EV用の車載電池を開発・実用化・提供しているオートモーティブエナジーサプライを、他社に売却することについて書いています。

日産は、今後オートモーティブエナジーサプライを含めた電池メーカーから購入することになります。

先日、ソニーが同じようにリチウムイオン電池を田村製作所に売却することを発表しました。いずれのケースも、電池事業から収益確保ができないことによります。

電池事業は、装置産業ですので、大きな市場シャアを確保して、大量生産による高効率化を実現しないと、価格競争に打ち勝ちながら収益確保できない状況になります。

この視点からみますと、ソニーと日産の経営判断は、両社の経営環境下では合理的なものになります。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、米国では、カリフォルニア州やニューヨーク州などでZEV規制が2018年から完全適用されますので、EVか燃料電池車などの二酸化炭素や窒素などをまったく排出しない自動車が主流になります。

燃料電池車の普及は、まだ時間を要しますので、当面の間、EVが主流になります。

また、中国では、二酸化炭素などの有害物質の排出量を抑えるため、EVやハイブリッド車(HV)が今後、主流になります。

EVやPHVでは、電池性能が競争力を左右します。EVが一回の充電でガソリンエンジン車並みの500kmくらい走行できるようになると、EVに対する需要は一気に拡大することになります。

このような次世代電池の開発・実用化には、多額の資金を投入する必要がありますので、現行の電池事業が収益を確保していることが重要であり、必要です。

パナソニックは、テスラモーターズやトヨタ自動車などに車載用電池を供給しており、現在、当該用途の市場では、34%のシェアを確保しています。

日産のオートモーティブエナジーサプライは、第2位となる12%のシェアをもっています。2~3年前には、パナソニックは50%位のシェアをもっていましたが、韓国と中国のメーカーが台頭した結果、シェアを下げています。

オートモーティブエナジーサプライが国内メーカー以外の会社に売却されると、パナソニックやGSユアサなどの国内メーカーに大きな影響を与える可能性があります。

車載用電池は、今後の国内自動車の競争力に影響を与える可能性がありますので、オートモーティブエナジーサプライが国内メーカーに売却されることを期待します。

トヨタやホンダが米国のZEV規制の完全適用に対する対応策をどのように行うか、注目しています。

トヨタやホンダがEVを市場に投入しますと、車載用電池の需要が一気に高まります。電池市場の拡大が見込めることは、確実です。

しかし、オートモーティブエナジーサプライの買収先がどこになるかで、パナソニック、GSユアサ、田村製作所などの国内電池メーカーに大きな影響を与えます。

電池は、自動車だけでなく、発電所、工場、オフィス、病院、家庭などの分野でも、今後数多く採用されていきますので、いわば社会インフラの一つになります。

国内メーカーが上記するさまざまな用途で使用される電池について、競争力の維持強化していくことを期待します。

この視点から、オートモーティブエナジーサプライの売却先と、今後の影響について注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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