日経記事;『自動運転、日欧で基準 まず追い越し・合流で 18年にも』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
神奈川県
経営コンサルタント
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

日経記事;『自動運転、日欧で基準 まず追い越し・合流で 18年にも』に関する考察

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 新規事業・事業拡大
  3. 各種の新規事業・事業拡大
経営戦略 海外展開

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

7月10日付の日経新聞に、『自動運転、日欧で基準 まず追い越し・合流で 18年にも』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日本とドイツ、フランスなどの欧州主要国は自動運転の共通基準をつくる。まず2018年にも高速道路で人がハンドル操作せずに追い越しや合流ができる車を走れるようにするためのルールを設ける。参加国はこれを国内の基準に採用する。自動運転車で先行する米国は独自にルールをつくる方針だが、日欧が連携し共通基準の採用を働きかける。

自動運転車の開発を巡っては、トヨタ自動車、日産自動車や独ダイムラー、米ゼネラル・モーターズ(GM)といった日米欧の自動車大手と米グーグルなどのIT(情報技術)大手がしのぎを削っている。

一方、米テスラモーターズの車が「自動運転モード」作動中に死亡事故を起こすなど問題も起き始めており開発の指針となる基準づくりを急ぐ。

現在、国連の専門家会議で自動追い越し・合流ができる車の共通基準づくりを進めている。この会議には日本、韓国、ドイツ、フランス、英国、欧州連合(EU)の欧州委員会などが参加しており、今秋にも大筋合意する見通し。参加国はこれを国内の基準に採用する。日本では国土交通省が道路運送車両法の告示として基準を示し、適合していない車は公道を走れないことになる。

共通基準には自動追い越しできるのは高速道路に限り、事故が起こった場合はドライバーに責任があるなどの原則を盛り込む。さらに(1)機械より人間の運転操作を優先する(2)ドライバーの居眠りやよそ見を防ぐ装置を搭載する(3)ドライバーが警告に反応しない場合は自動で路肩に停止する――といった安全に配慮した規定も導入する。

居眠りやよそ見を防ぐ方法としては、定期的に運転席のボタンを押させたり、ドライバーの状態をセンサーで監視したりする案が有力だ。すでにオムロンがドライバーの集中度合いを判定する車載センサーを開発するなどの動きも出ている。

米国では自動で追い越し、合流ができる車の走行を認めているが、欧州各国では事実上禁じている。日本では明確なルールがない点が量産のネックとなっている。今回の共通基準づくりには日本の自動車メーカーの意見を聞いているとみられ、基準ができれば商品化に弾みがつきそうだ。

日欧はコンピューターが運転全体を制御する完全な自動運転車の基準づくりも国連で主導する方向だ。

米国は日欧の基準づくりに加わっていない。月内にも運輸省道路交通安全局が独自のルール案を公表する見通しだ。』


本日の記事は、自動運転車の開発・実用化に向けて、共通基準を日本、韓国、ドイツ、フランス、英国、欧州連合(EU)が国連の専門部会で作成しつつあり、2016年秋に大筋合意する見込みであることについて書いています。

この専門部会に参加している国は、共通基準ができたら、自国の基準として採用します。日本は、東京オリンピック開催年である20120年に自動運転車を開発・実用化する目標をもっていますので、国連がまとめる共通基準作りに参加することは、大いに意義があります。

昨日(2016年7月9日付のブログ・コラム:日経記事;『プラットフォーム企業の育成が急務だ』に関する考察)で書きましたように、日本企業が各種分野で世界標準となるプラットフォーム構築をすることは、自社商品・商材の強みを最大化するために大きな意義があります。

この視点から、日本の自動車メーカーが、国連で行う共通基準作りに参加して、共同で作る基準(プラットフォーム)上で自動運転車の開発・実用化を行うことは、とても重要です。

残念ながら、米国はこの共通基準作りに参加していません。米国では、7月中に運輸省道路交通安全局が独自の基準案を公表するとのこと。

自動運転車の開発・実用化では、米国のグーグルやテスラモーターズが数年前から試験走行を行っていますので、データを一番蓄積しています。

米国政府は、自国企業の技術が世界最先端であると判断して、国連主導の共同基準作りに参加すると、他国から足を引っ張られると判断している可能性があります。

しかし、米国政府が国連の専門部会で作成する共通基準と異なる独自基準を適用すると、米国企業の自動運転車は、そのままでは日欧市場で販売できないことになる可能性があります。

一方、日欧自動車メーカーは、米国市場で販売するために、日欧向けと異なる共通基準で別途自動運転車の開発・実用化を行う必要があり、双方にとってメリットがありません。

可能ならば、米国の基準と国連専門部会で採用する共通基準が一体化されることを期待します。

自動運転車の開発・実用化では、最大の課題がどんな環境下でも、安全・安心を担保する技術の確立が必要不可欠になります。

自動運転技術は、現時点で次の4つの段階に分類されています。

第1段階:アクセルやブレーキ、ハンドル操作のいずれかをシステムが行う。
第2段階:複数の操作を同時にシステムが行う状態。自動で車線を変更して追い越したり、合流したりする。
第3段階:全ての操作をシステムが行い、緊急時に運転者が対応する。
第4段階:すべての操作をシステムが行う完全な自動運転。

先日、事故を起こしたテスラモーターズの自動車は、「自動運転モード」になっており、第2段階にあります。事故原因は現在調査中ですが、テスラモーターズによると、「トレーラーの下に潜り込む形で衝突した。光が非常にまぶしい状態で車両のシステムも運転者もトレーラーを認識できず、ブレーキをかけた形跡がないという。」とコメントしているとのこと。

安全走行の担保からみると、理由が何であれ、車両のシステムと運転者がトレーラーを認識できない状態で、衝突を防げなかったのは、大きな技術的欠陥があると判断できます。

日本政府は、2020年ころに、第3段階の自動運転車の開発・実用化を行うとしています。国内自動車メーカーは、今年中に決まる共通基準に則って自動運転車の開発・実用化を積極的に行うことになります。

最大の課題は、どんな環境下でも安全・安心の担保技術の確立・実用化にあります。

米国のカリフォルニア州やニューヨーク州などでは、2018年からZEVZero Emission Vehicle)規制が完全適用されますので、当面の間、電気自動車(EV)が新車販売の主役になります。

EVは、ガソリンエンジン車に比べると、開発・実用化の難易度が下がりますので、多くの企業がEVの開発・実用化を行うとみています。

米国カリフォルニア州やニューヨーク州などでは、このEV車が自動運転車になります。米大手ITベンダーであるグーグルだけでなく、アップルやアマゾンなども、テスラモーターズと同じように、EVベースの自動運転車の開発・実用化を行う可能性があります。

国内自動車メーカーは、水素ステーションが普及するまでは、EV車をベースにしたZEV規制対応自動運転車の開発・実用化を行わないと、米国市場では販売できないことになります。

トヨタ自動車とホンダは、現在、EVを市場に投入していません。両社は、米国市場で自動車販売を継続するためには、EVと自動運転車の開発・実用化を同時に行う必要があります。

自動運転車を実現するには、センサー、レーダー、関連電子電気デバイス、IoT・人工知能対応、関連ソフトウエア開発などを多面的に行う必要があります。

トヨタやホンダは、すでに米国シリコンバレーにIT・人工知能の研究拠点をもっていますので、今後、共通基準に基づいて、これらのITノウハウを最大化して自動運転車の開発・実用化を加速させることになります。

当然のごとく、トヨタやホンダなどの国内自動車メーカーは、米国政府が定める基準に基づいて、自動運転車の開発・実用化を行わないと、米国市場では販売できません。大きな技術課題となる可能性があります。

さらに、自動運転車の開発・実用化は、センサー、レーダー、関連電子電気デバイス、IoT・人工知能対応、関連ソフトウエアなどの国内企業に大きな影響を与えます。

この視点から、自動運転技術に関する共通基準、米国の独自基準、日欧米の関連企業の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

カテゴリ このコラムの執筆専門家

(神奈川県 / 経営コンサルタント)
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表

起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

起業及び、事業拡大や経営合理化を目指す企業に対して経営コンサルを行います。大手メーカーで得た経験を活かし、補助金活用、アライアンスやM&A、市場分析に基づいた事業戦略策定・実行や事業再生を支援します。OJT研修でのビジネススキル向上を支援します。

カテゴリ 「経営戦略」のコラム