日経記事;『日立IoT軸に戦略 19年3月期の関連営業益6割増3200億円 株主総会で成長シナリオ』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『日立IoT軸に戦略 19年3月期の関連営業益6割増3200億円 株主総会で成長シナリオ』に関する考察

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皆様、

おはようございます。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

6月23日付の日経新聞に、『日立「IoT」軸に戦略 19年3月期の関連営業益6割増3200億円 株主総会で成長シナリオ』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所は22日、株主総会を開いた。日の丸電機勢では勝ち組の日立だが、足元の純利益は2期連続で減り、足踏み状態だ。金融危機後に大胆な構造改革を経てよみがえった日立が描く次のフェーズの成長シナリオは何か。総会で語られた経営陣の言葉から浮かび上がってくるのが、すべてのモノがインターネットでつながる「IoT」だ。

日立はインフラ設備でIoT活用を強化する。

「社長の好きな言葉は何ですか」。総会でこう尋ねられた東原敏昭社長は「2019年3月期までの中期目標の確実な達成です」と答えた。

中計では19年3月期に純利益4000億円超を掲げる。16年3月期(1721億円)の2倍強の水準だ。一方、売上高は横ばいを見込んでおり、利益倍増には利益率引き上げが欠かせない。その目標が売上高営業利益率8%超だ。

成否のカギはIoTが握る。会社側は同関連部門の営業利益を19年3月期に前期比約6割増の3200億円程度へ伸ばす計画を進める。部門売上高も同11%増の4兆円を見込み、連結全体に占める比率は40%(前期は36%)へ高める。

総会では株主からもIoT関連の質問が相次いだ。成長著しい分野だが、米ゼネラル・エレクトリック(GE)や米IBMなど海外勢との競合が激しい。「米国の強豪とどう戦うのか」「多岐にわたる事業とIoTをどう関連づけるのか」――。

東原社長はこうした株主の声に対し「鉄道やエネルギーなどの分野で持つ制御・運用技術と、IT技術の両方を持つ企業は少ない」と説明。「IoT時代のイノベーションパートナーになる」と強調した。

日立には「これまで成長してきた戦略に限界が見えてきた」(外資系証券)との声も聞かれる。

09年3月期に国内製造業最大の7873億円の最終赤字を計上した後、半導体や液晶パネルなどデジタル家電中心の収益構造を転換。鉄道や電力などインフラ企業へ脱皮し14年3月期に最高益を達成した。だが景気悪化や円高、アジア勢の物量攻勢などで17年3月期の純利益見通しは最高益の半分の水準にとどまる。

IoT関連のビジネスでは日立の総合力を生かす。鉄道の運行管理システムなどハードにITやビッグデータといったソフトを融合する展開だ。事業形態はGEと似る日立だが「総合力で差別化できる」(東原社長)と、顧客の合理化につながる製品やサービスの提供を強化する考え。

今後3年間で設定する1兆円の投融資枠も、うち約6割はIT基盤技術や顧客獲得のための投資としM&A(合併・買収)も検討する。』
 

日立製作所は、本ブログ・コラムで何度か書きましたように、国内大手電気機器メーカーの中で、いち早く集中と選択を行って、赤字状態から脱却しました。

この日立製作所が直近の経営数字で良い結果を出せていません。赤字状態にはなっていませんが、中国経済の停滞や最近の円高など、外部要因の影響もありますが、いまいち活性化していない印象をもっています。

日立は、本記事にありますように、今後の事業展開のカギをIoTや人工知能対応においています。この動きは、世界最大の電気機器メーカーである米GEと同じです。

日立とGEの違いは、以下の通りです。

GEが提供する製品、部品、デバイスなどにIoT対応機能を盛り込んで、稼働状態や欠陥の予測などにつなげて、提供品の付加価値をあげる、さらに工場や取引先をつなげて、最適なサプライチェーンを確立するいわゆるインダストリー4.0対応などに主眼をおきます。

日立は、上記GEのようなIoT対応に加えて、日立の事業領域である環境やエネルギー分野にもIoT対応を行って、顧客企業に対し、IBMのようなコンサルティング事業展開を行うことにあるようです。

本日の記事にあります、『東原社長は「鉄道やエネルギーなどの分野で持つ制御・運用技術と、IT技術の両方を持つ企業は少ない」と説明』の内容は、このことを指しているとみます。

IoT対応を実現するには、センサーデバイスの性能、大量情報の収集・保管・検索・解析、安定した通信環境の確保、高効率で的確な判断作業と伝達・説明、高度なセキリュティ技術の開発・実用化など多くの課題があります。

日立が、GEやシーメンス、フィリップスなどの世界企業と戦って、勝ち組になるには、IoT対応は必須なことになります。

中でも、日立にとって最大の課題は、人工知能を含めた高度ソフトウエアの開発・実用化能力の向上になります。

日立自身は、ITベンダーの側面をもっています。しかし、日立が抱えているソフトウエアエンジニアの能力が、GEなどとの競争に打ち勝てるかかどうかがポイントになります。

GEは、電気機器メーカーの中では一足早く、シリコンバレーに大型のIT開発拠点を設けて、大量のソフトウエアエンジニア(プログラマーなど)を確保する動きをかけました。

GEは、将来総合電機機器メーカーではなく、電機機器からソフトウエア・IT対応の企業に変身する動きをかけています。

日立も、2016年4月15日に「IoT」に関する基盤技術の開発拠点を米国に新設すると発表しました。新組織「サービス&プラットフォームビジネスユニット(BU)」の本部を、5月前半にも米カリフォルニア州サンタクララ市に開くとのことです。

3年間で1000億円規模の開発費を投じ、2016年度中に200人体制にする。AI(人工知能)やビッグデータ解析などIoTで活用される基盤技術の開発を担うとされています。

日立が、IoT対応で高付加価値な事業展開をできるかどうかは、人工知能を含むソフトウエア開発能力に依存します。

国内大手メーカーでは、トヨタ自動車が自動運転車の開発・実用化に向けて、シリコンバレーに大型研究施設を設置して、高度人工知能の専門家集団を構築しつつあります。

しょうしょう極端な言い方になりますが、現時点で、大手電気機器メーカーにいますITエンジニア(プログラマーを含む)の開発・実用化能力は、総じて高いものではなく、尖がった(高度専門的な)ソフトウエア開発・実用化は、外部のITベンダーに委託していることが多い状況になっています。

日立だけでなく、今後、多くの大手国内メーカーは、IoT・人工知能対応は必須になってきます。このときに、優秀なソフトウエア開発・実用化能力をもつITエンジニア(プログラマーを含む)
の確保が必要になります。

今までの日本でのITエンジニア(プログラマーを含む)の確保は、外部ITベンダーに委託しており、自社のIT担当者は、プログラム開発・実用化の進捗管理・予算管理などを主に行っているいわゆる「人月商売}中心になっています。

人工知能の分野で、国内で本格的な開発・実用化のビジネスを行っている企業の代表例として、東京大学発ベンチャーの「プリファード・インフラストラクチャー(PFI)」が、良くマスコミに取り上げられています。

PFIは、人工知能技術の一つである「深層学習」(ディープラーニング)に特化した子会社「プリファード・ネットワークス」(PFN)をもっています。PFNは、すでにトヨタ自動車やファナックなどの国内大手メーカーと資本提携を行って、幾つかの共同開発・実用化を行っています。

PFI・PFNは、他の一般的な多くの国内ITベンダーのような人月商売のビジネスモデルをもっていません。

日立が、本格的にIoT・人工知能対応を行うには、シリコンバレーでの研究施設を含めて、いかにして優秀なITエンジニア(プログラマーを含む)を確保できるかによります。

自社のITエンジニア(プログラマーを含む)には、高度専門化的な位置付けを明確化・体系化して、高給を支給する、あるいはPFI・PFNのような高度専門知識・ノウハウをもつITベンダーと、イコールパートナーシップで提携して共同開発・実用化を柔軟に行うなどの組織的な対応が必要・不可欠になります。

日立のような国内大手メーカーが、国内外の優秀なITエンジニア(プログラマーを含む)をどうのように確保・活用できるかが、IoT・人工知能対応の可否を決めます。

そのような視点から、日立やトヨタなどの国内大手メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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