日経記事;『ダイキンとパナソニック、エアコンで包括提携 環境技術を共同開発/新興国を開拓』に関する考察 - アライアンス・事業提携 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ダイキンとパナソニック、エアコンで包括提携 環境技術を共同開発/新興国を開拓』に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

5月16日付の日経新聞に、『ダイキンとパナソニック、エアコンで包括提携 環境技術を共同開発/新興国を開拓』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ダイキン工業とパナソニックがエアコン事業で包括提携する。次世代の環境技術を共同開発するほか、部品調達や製品の相互供給も協議している。今夏の最終合意を目指す。

業務用に強いダイキンはエアコン世界最大手で、パナソニックは家庭用の国内首位。販売面ではライバルだが、両社で最新技術を新興国などに広めて勝ち抜く考えだ。年間10兆円とされる世界のエアコン市場で業界再編に拍車がかかる可能性がある。

ダイキンの十河政則社長とパナソニックの津賀一宏社長がこのほど会談し、エアコンで提携交渉に入ることで合意した。

ダイキンは2016年3月期に初めて連結売上高が2兆円の大台を突破。今後の目標となる3兆円を達成するには新興国での事業拡大が欠かせない。パナソニックは19年3月期に同事業の売上高を前期より5割増の7000億円に拡大する計画だが、中国市場の減速などで収益環境が厳しくなっている。両社とも成長戦略を加速するには競争関係を乗り越えて手を組むことが重要と判断した。

両社が協議するのは(1)環境技術の開発(2)主要部品の調達(3)製品の相互供給(4)新興国市場の開拓――など多岐にわたる。

まず冷媒分野で協業する。冷媒は空気を効率的に暖めたり、冷やしたりするためにエアコン内部に使われている。代替フロンの規制が国際的に議論されており、より環境負荷が小さい新たな冷媒をそろって採用して新興国向けのエアコンに搭載する。

冷媒は種類によって安全性や取り扱い方が異なり、エアコンの設計が大きく変わる。国や地域によって規制が異なるが、両社が扱いの得意な冷媒が普及すれば販売にも有利になる。充填や点検に必要な販売店への技術研修も両社で協力。さらに次世代の冷媒技術も共同開発する方向だ。

世界各地でモーターや圧縮機(コンプレッサー)など主要部品を共同購入したり、相互供給したりすることも協議している。ダイキンは欧米やアジアの各地に生産拠点があり、パナソニックに部材を供給できる。インドなど地元企業からの部材調達が難しい新興国でも協力すれば、コスト競争力を高められる。

最終製品のOEM(相手先ブランドによる生産)も検討する。エアコンは気候や部屋の大きさなどに応じて多くの機種の開発が必要になる。OEMによりお互いの経営資源を有効活用できる。

両社は1999年にもエアコンで提携し、製品の共同開発などに取り組んだ。ただ、当初想定したような成果が出なかったほか、国内で競合が激しくなり、提携関係は事実上解消されていた。』


自動車業界は、以前からメーカー間の合従連衡(事業連携・アライアンス)が活発に行われています。

最近では、燃費表示の不正問題で苦境に立たされている三菱自動車と、日産自動車が事業連携・アライアンスを組むことが報道されました。

日産自動車が三菱自動車に出資することで、日産の出資比率は経営の重要事項に対する拒否権を行使できる34%を握り、事実上の経営権を取ります。

日産は、三菱自動車の生産・販売台数を加えることで、トヨタ、フォルクスワーゲン、GMなどの世界トップメーカーと肩を並べる事業規模をもつことが可能になります。

一方、三菱自動車は、燃費不正問題で今後大幅に増加するであろう経費負担を、日産からの出資で補充することが可能になります。

自動車業界では、このような合従連衡が柔軟、かつ、巧みにおこなわれています。

電気機器業界では、一般的にこのような合従連衡が活発に行われていません。基本的には、一気通貫型の垂直統合による自社の技術・ノウハウで差別化・差異化を可能にするやり方が基本でした。

国内家電メーカーは、アップルなどの米大手ITベンダーやサムスンなどのアジア勢が仕掛けた水平分業型のビジネスモデルによる迅速な商品開発や競争力の確保の動きについていけず、市場・顧客を奪われました。

本日の記事は、エアコン、特に業務用途に強い世界最大手のダイキンと国内家電用途のエアコンで大手のパナソニックが、事業連携・アライアンスを組む検討を開始することについて書いています。

本日の記事にありますように、以前にダイキンとパナソニックは、エアコン分野で事業連携・アライアンスを模索しましたが、上手く行きませんでした。

中小企業の場合、同業他社同士で事業連携・アライアンスを試行しても、なかなかうまくいきません。

事業分野や対象顧客が多くの場合重なるため、中小企業同士では、「Win/Win」の関係構築が難しいことによります。

中小企業間の事業連携・アライアンスをうまく行うには、開発・設計・製造・販売のビジネスフローの中で、お互いの役割分担を明確に分けるやり方があります。

一例として、ある中小企業は、商品企画、開発・設計に特化して、製造と販売をそれぞれ他社に外部委託して、3社の事業連携・アライアンスで、新規事業を立上たことがあります。

大手企業の場合、自動車業界では、たとえば、次世代環境技術の開発・実用化を1社単独で行うには巨額投資が必要になり、高いリスクを取ることになるので、リスク分散のために当該技術の開発・実用化を共同で行うやり方が普及しています。

日欧米では、地球オゾン層の破壊を防止するために代替フロンであるHFC410Aが使われています。しかし、この代替フロンは、地球温暖化への影響は大きく、二酸化炭素(CO2)の数百倍から数千倍とされるため、温暖化への影響が3分の1とされるHFC32の採用が始まっています。

新代替フロンを使うためには、エアコンの新規設計方法、使用部品の開発・実用化、充填やリサイクル方法などを実現する必要があります。

今回のダイキンとパナソニックの事業連携・アライアンスは、記事にありますように、(1)環境技術の開発(2)主要部品の調達(3)製品の相互供給(4)新興国市場の開拓を目的としているようです。

とくに、(1)~(3)項について、両社が事業連携・アライアンスを行うことで、実利をともなう「Win/Win」の関係が構築できるとみているようです。

この事業連携・アライアンスのやり方は、基本的に自動車業界と同じです。末端の販売では、競合しても、巨額投資をともなう開発・実用化の面では、強調することで、比較的低コストで開発・実用化の速度を上げることが可能になります。

両社は、以前の失敗を教訓にして、「Win/Win」の関係を構築・維持できるやり方を検討・実現するとみています。

他の中堅・大手・中小企業にとっても、ダイキンとパナソニックの事業連携・アライアンスのやり方と果実の分配方法などは、参考事例の一つになります。

日本企業同士の事業連携・アライアンスのやり方の中には、トップ同士の個人的信頼関係などを頼りにして、あいまいな形で実施することがありますが、このような合従連衡は、ほとんどの場合、失敗します。

「Win/Win」の関係を具体的に実現するやり方などが明確でなく、その仕組みもあいまいによることや、成果・果実の分配の仕方も決まっていないことなどによります。

私は、中小企業間の事業連携・アライアンスを支援するときは、このようなあいまいさを避けて、徹底的に目的、やり方、成果・果実の分配方法などを明確化して、契約を取り交わして行うようにしています。

企業とくに、メーカー間の事業連携・アライアンスのやり方についてご関心があれば、8月26日(金)に私が講師を務めます下記セミナーがお役に立つと考えます。

「アライアンス・技術提携による共同開発・事業化成功のポイントとその実践 ~演習付~」

当該セミナーは、日本テクノセンターが開催します。詳細は、下記Webサイトをご覧ください。
URL; http://www.j-techno.co.jp/seminar/ID56DLRCMWD

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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