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閲覧数順 2017年08月19日更新

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日経記事;『資源、減損から撤退にカジ 選択と集中、銅は保有継続』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月23日付の日経新聞に、『資源、減損から撤退にカジ 選択と集中、銅は保有継続 三菱商事がインドネシアのニッケル鉱山権益売却 100億円』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『資源安で4300億円の減損処理を迫られた三菱商事が資産の入れ替えに着手した。インドネシアのニッケル鉱山開発の権益は約100億円で仏社に売却し、撤退する。銅など3分野は継続して保有し、新たな権益取得も検討する。市況低迷を受けて損失計上を余儀なくされる企業も増える中で、資源分野で選択と集中を進める動きが広がってきた。

三菱商事が売却するのはインドネシア、ハルマヘラ島にある「ウェダベイニッケル鉱床」の権益。約3割を保有しており、約135億円を投じ2009年にパートナー企業の仏エラメット社と合弁会社を立ち上げ、操業に向け準備してきた。

11年に1トン約3万ドルだったニッケルの国際価格は現在、9000ドル台と3分の1に下落した。事業を継続しても採算がとれないと判断し、約100億円でプロジェクト運営会社の株式などをエラメット社に譲渡する。これで三菱商事が海外に持つニッケル鉱山の権益はなくなる。

すでに減損処理は済ませている。最終損益が1500億円の赤字になったとみている16年3月期の業績を悪化させる影響はないもようだ。

一方、銅、石炭、液化天然ガス(LNG)はコア分野と位置づけ、減損処理後も資産を保有する。「資源分野の総資産額を増やさず、手持ち資産の内容を変える」(垣内威彦社長)戦略で、コア分野では経営体力の落ちた資源メジャーなどが有望な資産を手放す際、取得にも乗り出す。

ニッケルのように権益売却で資産から切り離せば市況変動の影響は受けなくなる。対照的に減損処理後も保有を続ける銅など3分野は価格が高くなれば利益が得られる半面、さらに値下がりすれば追加の減損処理を迫られる可能性もある。

大手商社の間では資源分野の見直しが進んでいる。伊藤忠商事は15年、米石油・ガス開発会社の株式25%を同社に1ドルで売却し、シェールガス開発事業から撤退した。11年に780億円を投じて株式を取得したが、資源価格下落で安定収益を確保できないと判断した。

「原油や資源の価格は数年は現在の水準が続く」(大手商社)との声は多い。減損処理後も所有するのか、撤退に踏み切るのか、新規取得にも乗り出すのか。各社見極めが迫られている。』


日本は、ご存知のように、石油、ガス、石炭、銅、ニッケルなどの天然資源をもっていません。基本的にはこれらの天然資源は、海外からの輸入に頼っています。

国内商社は、天然資源の調達・輸入事業を取り扱っており、日本の天然資源調達は、ほぼ国内商社に頼っていると言っても過言ではありません。

2~3年前まで、中国は高度経済成長期にあり、旺盛な需要を満たすため、一時期大量の天然資源を「爆買い」しました。このときは、中国が絡んだ天然資源の輸入コストは高額になりました。

その後、中国が国内市場の低迷により、天然資源の大量購入・調達をストップしました。ほぼ同時期に、欧州市場を中心に経済状況が低迷し始めました。

このため、天然資源の調達・購入量が大幅に低下しました。さらに、天然資源の代表格の一つである石油や天然ガスは、アメリカのシェールオイル・ガスの採掘量拡大と、イランに対する経済封鎖の解除による石油輸出の再開などの要因も加わって、石油と天然ガスの取引価格は大幅下落しました。

国内商社は、このような世界レベルで動く、さまざまな経済・政治状況などのリスク要因を勘案しながら、安定し、且つ、合理的な価格で多くの天然資源の調達・確保に動いています。

国内商社は、天然資源の調達・確保のビジネスから手数料を獲得して、自社の収益拡大につなげています。

さらに、海外の国から、多くの天然資源の開発・採掘権を購入して、保有することで、オーナー企業としても収益源確保をしてきました。

このような天然資源ビジネスは、世界経済が発展しているときは、持つものの強みを発揮して、大きな収益源になります。

しかし、現在のように、アメリカを除く国際市場が不活発なときは、天然資源を所有していると、巨額の減損処理を行う必要があるとともに、大きな資金負担になります。

製造事業者で言うと、巨額の仕掛品や製品の不稼働在庫をもっていたり、生産数量が極端に低く工場の採算がまったく取れないような状況になります。

このような事業状態が続くと、多くの製造事業者は撤退か廃業、あるいは倒産の深刻な状態に直面します。

本日の記事は、大手国内商社の一つである三菱商事がインドネシアのニッケル鉱山権益売却を決めたことについて書いています。「11年に1トン約3万ドルだったニッケルの国際価格は現在、9000ドル台と3分の1に下落した。事業を継続しても採算がとれないと判断し、約100億円でプロジェクト運営会社の株式などをエラメット社に譲渡する。」されます。

三菱商事は、「資源分野の総資産額を増やさず、手持ち資産の内容を変える」やり方を取っています。

これは、総手持ち資産額を一定にしつつ、最新の政治・経済状況に合わせて、手持ち資源の構成を柔軟に変化させることで、減損のリスクを最小化するやり方になります。一種の「事業撤退基準」です。

この事業撤退基準の設定は、製造事業者にとっても最も重要な経営施策の一つになります。

私が、中小製造事業者に対して、新規事業立上や海外事業開拓で、その企業にとって投資リスクを伴うビジネス支援を行う場合、3~5年の期間を想定した事業撤退基準を設けてもらっています。

たとえば、3年後に事前に想定した売上目標に達しない、年間の赤字状態が解消されないなどの場合に直面したときに、その状態が事前に設定した撤退基準であれば、基本的には機械的に撤退を実行してもらいます。

もちろん、事前に市場・顧客開拓の見通し、競合他社の状況なども検討・勘案して決めています。

多くの製造事業者は、これらの事業に未練があり、なかなか撤退を実行できません。私は、その撤退決定を後押しします。

私の経験では、このような事業を継続しても、多くの場合、赤字を垂れ流すだけであり、時間の経過が当該企業に深刻なダメージを与えることによります。

製造事業者だけでなく、ITベンダーやサービスなどの事業者は、新規投資をして事業立上を行う場合、事前に事業撤退基準を設けておいて、そのような事態に直面したら迷うことなく撤退することがやけどを最小化することになります。

その視点から、本日の記事にあります国内商社の動きに注目することが重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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