- 堀江 健一
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
- 東京都
- 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー
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クリエイターが持つ「子供のような感受性」について書いています。
前回はこちら
芸術とは何か?人によりその定義は様々かと思います。
「今現在ある既成概念を打ち壊し、新たな視点で物事に新しい意味を与える」
そんな事は言えるのではないかと思います。
簡単に言えば、誰も思いつかなかった新しいものを創造する事とも言えるでしょうし、今まで「物を入れて運ぶためにある箱である段ボールを、机代わりにして食事を摂る」と言うような行為も、広い意味ではアートと言えるものでしょう。
大人はすでに今までの経験や知識から、「これはこう言うもの」と言う既成概念が出来上がっているものです。
それに比べ、子供はまだ知識も浅いので、自由な発想が出来る事は、子供と接する機会の多い親御さんや、保育園・幼稚園・小学校の先生などであればなおさら日常生活で知っておられる事かと思います。
幼児にクレヨンと画用紙を渡して
「じゃぁお日様を描いてごらん」
と言うと、最初子供はどう描いて良いのか戸惑う子供も多いでしょうね。
するとそばで見ている大抵の大人が
「お日様はこう描くんだよ」
と言って鳴門巻の様な渦巻きを描き、その周りに放射状に広がる線を何本か描いて教えてしまうものでしょう。
しかし、実際に太陽に渦巻きなど見えるものではありません。
渦巻きの太陽は、大人が考えた「太陽の記号」でしかないのですが、
それを教わった子供は、それ以後、太陽を表現する時には「渦巻きで描けば良いのだ」と学習し、
それが既成概念となってしまうのです。
しかし、誰も渦巻きに線を描けばそれが太陽を表すと教えてもらえなかった子供か、
それを教わっても「いや、僕にはお日様はこんな風には見えない。これはお日様じゃない。僕にはこんな風に見える」と思って、自分の見えた通りにオリジナルに太陽を描いてみる事が出来る子供だけが、
その後アーティストになれる素質を持っているのではないでしょうか?
太陽を渦巻きで描かない子供は周りから「変な子」と思われてしまうかもしれません。
すごい感性で、物を見る子供、と思ってもらえれば幸いですが、大人全体の90%の人が「太陽は渦巻き」と思っているその既成概念からは、「外れた子供」にはなってしまうでしょう。
児童心理学の分野では、アート・文学・音楽・もしくはあらゆる仕事に於いて
クリエイティブな発想や活動と、子供時代の環境とは大きく関わっていると言われます。
それは一般的に普通に愛情ある親から、普通に愛情ある育てられ方をした子供より
何らかの事情で、普通に愛情を受けて育てられなかった子供の方が、
創造力や感受性が高くなると言われています。
普通に問題ない家庭で育てられた子供は、その幼児時代、親に見守られながら、適度な冒険をして、段々と行動範囲が広がって行きます。
「頼れるお母さん見守っていてくれている」と言う安心感があり、
ハイハイしながら段々と親から遠くの所まで行ってみるような事が出来るようになるのです。
この時、そのお母さんの目が届く範囲を中心とした安全地帯を「安全基地」と呼びます。
この安全基地の中で、子供は
「これはやっても良いのだ」とか
「これはやってはダメなのだ」
「これは危険なのだ」
「危なかったら、お母さんがちゃんと助けてくれるのだ」
と学習すると同時にお母さんと絆が生まれて行きます。それは既成概念を学ぶ機会ともなるわけです。
しかし、お母さんや、その他養育者と信頼関係が築けなかった子供は、安全基地がありません。
安全な基地が無いのですから、「こうしていれば安全なのだ」という安心感がないので、とても不安ですし、
「こういうことは、こうしておけば良いのだ」と言う大多数の人が学んでこれた既成概念が
「これで良いのだ」と自信を持って感じられず、曖昧になってしまうのです。
良く言えば既成概念を打ち破ることが出来やすいと言えるでしょう。
こうした傾向がある事は、主に世界の芸術の分野で活躍したアーティストや、コンピュータの分野で革新的な発想でアップル社を創業したスティブ・ジョブス氏の成育歴などを研究した結果に基付いて導き出されたものです。
簡単に行ってしまうと
「一般的な普通の家庭で育てられなかった子供こそ、普通ではない発想で偉大な仕事が出来る可能性もある」
と言えるのではないかと思います。
安全基地が無かった事は、子供の心に大きな傷となって残ってしまうかも知れません。
大人になってからも、人間関係などで支障が出てしまう事もあるかと思います。
しかし、マイナスな要素ばかりあるわけではないのです。
ひょっとすると、あなたが人と違う事と言うことは、
大変な武器を手にしていることにもなるかも知れません。
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このコラムの執筆専門家
- 堀江 健一
- (東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
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2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。
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