バブル崩壊やその後の景気変動の時も同じような問題がありましたが、結局そこから学んでおらず、「また同じことを繰り返している」との印象です。
企業側にしてみれば、あまりにも急激な情勢悪化ですし、やむに止まれぬ事情はあるのでしょうが、私は新卒学生の内定取り消しというのは、本当にどうしようもなくなった時の最終手段ではないかと思っています。
これから社会人としてのスタートを切ろうとしている学生にとって、内定取り消しのダメージは、職務経験がある既卒者や中途採用者の比ではありません。
新卒採用は実施時期に偏りがあるので、急に内定取り消しといわれても、時機を逸してしまうと対応するための選択肢が大きく狭まってしまいます。通年採用されている経験者とは異なります。また新卒には職務経験が無いですから、社会的には子供と一緒で、育てることが基本です。内定取り消しは「自分達が一人前に育ててやる」と言っておきながら、「やっぱり無理」と放り出していることになります。親子関係なら「育児放棄」と同じです。
ちょっと言葉が過ぎた感はありますが、学生を採用するということは、それだけの責任を持つ覚悟がなければならないのではないでしょうか。
もちろん倒産してしまってはダメですが、今内定取り消しをしている会社、検討している会社にそこまでの気概があったのか、はなはだ疑問に感じます。
「人を採用する」ということは「人の人生を左右している」ということ、大きな責任があるということを改めて考えて頂きたいと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
組織に合ったモチベーション対策と現場力は、業績向上の鍵です。
組織が持っているムードは、社風、一体感など感覚的に表現されますが、その全ては人の気持ちに関わる事で、業績を左右する経営課題といえます。この視点から貴社の制度、採用、育成など人事の課題解決を専門的に支援し、強い組織作りと業績向上に貢献します。
03-4590-2921
「社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集」のコラム
誰でも陥る「人物評価の思い込み」(2024/04/03 23:04)
「目指したい上司」がいる幸運といないことの当たり前(2024/03/06 14:03)
注意が必要と思う「生産性が低い」という指摘(2024/02/21 18:02)
「失敗」「挫折」の体験は成長に必須か?(2023/10/26 09:10)
問題は「閉鎖的な組織環境」でエスカレートする(2023/10/11 22:10)