日経記事;『東芝、中国・美的に白物家電売却へ アジアで再編加速』に関する考察 - 事業・企業再生全般 - 専門家プロファイル

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日経記事;『東芝、中国・美的に白物家電売却へ アジアで再編加速』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
おはようございます。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

3月15日付の日経新聞に、『東芝、中国・美的に白物家電売却へ アジアで再編加速』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業を、中国家電大手の美的集団(広東省)に売却する方向で最終調整に入った。会計不祥事を契機にリストラを進める東芝と、日本や東南アジアで家電事業を拡大したい美的の思惑が一致した。

台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープを買収する協議を進めるなど、アジアの新興企業が参画する形で日本の家電再編が加速する。

今夏までに全額出資子会社、東芝ライフスタイルの株式の大半を手放す方向で交渉しており、売却額は数百億円とみられる。国内での東芝の白物家電の販売方法や従業員の雇用など美的と詰めの協議に入った。

美的は「Midea」ブランドで家電を販売し、14年の売上高は約2兆7000億円。英調査会社ユーロモニターによると白物全体の15年の世界シェア(台数ベース)は4.6%で2位。エアコンや洗濯機に強い。東芝の地盤が強い日本や東南アジアに白物家電の販路を広げる足がかりを得て世界戦略を加速する。

東芝は医療機器子会社の売却に向けてキヤノンと18日までの合意に向けて最終交渉している。パソコン事業も富士通の部門やVAIO(バイオ、長野県安曇野市)と統合交渉中。一定の事業規模がある白物家電の売却先も決めることで、リストラにメドをつける。

かつて安定した事業だった白物家電はインドネシアなど海外で大半を生産しており、円安の影響で採算が悪化していた。白物を中心とする家電事業の2014年度の売上高は約2200億円で赤字とみられている。

東芝の白物家電は官民ファンドの産業革新機構が主導してシャープと統合する案が浮上していた。シャープが鴻海の傘下に入る方向になったことで、東芝は以前に交渉していた中国やトルコのメーカーとの話し合いを再開。美的は家電製品で技術提携した実績があるほか、空調事業で合弁会社を設立している。かねて技術と人的な面でつながりが深く円滑に事業を移行できると判断した。

日本の家電は国内市場の停滞で業績が伸び悩み、海外企業による買収が相次ぐ。12年にはパナソニックが三洋電機から引き継いだ白物家電事業を中国の海爾集団(ハイアール)に売却している。

アジアの家電事業は1990年代まで欧米発の技術を受け入れた日本がけん引したが00年代以降は韓国企業がテレビや半導体で先行。リーマン・ショック後の日本の電機は企業向け製品やサービスにシフトして再成長を遂げる一方、白物家電は低コスト生産に強い中国などアジアの企業がリードする構図が強まる。』

本日の記事は、東芝が白物家電事業を中国家電大手の美的集団に売却することが基本的に合意されたことについて書いています。

東芝は、経営再建中の企業になります。過去の会計処理を不適切に行ったことで、経営危機に直面していました。

東芝は、今後の事業の柱として期待されていた医療ビジネスをキャノンに売却することを決めています。

白物家電も経営再建策の一つとして、家電大手の美的集団への売却が決定されました。パソコン事業も、今までの新聞記事によると、富士通やVAIOと経営統合に向けて交渉中とされます。

今回の一連の集中と選択作業で、東芝は、エネルギー・環境事業と半導体の「電子デバイス事業」を中核とした専門型企業に特化して事業再生しようとしています。

東芝が一連の集中と選択作業後に、中核とした事業分野で世界市場で勝ち組になれないと経営が傾くリスクがあります。

日本の大手電気機器メーカーの中では、日立製作所、ソニー、パナソニックなどが集中と選択作業を行って、自社の強みを発揮できる事業分野に経営資源を集中して、世界市場で勝ち組になれるように動いています。

別の見方をしますと、日立製作所、ソニー、パナソニックなどの大手電気機器メーカーは、競合他社に対して差別化・差異化できる事業分野をもっているので、集中と選択作業を行って、自社の得意分野に集中できたと言えます。

米大手企業の場合では、IBMがパソコン事業を売却して、自社の強みを発揮できる事業分野であるソフトウエアなどの事業に集中できました。

米GEは、創業事業である家電事業や大きな収益をあげていた金融事業を売却して、自社の強みを発揮できる事業である重電事業を中核にしてIoT対応などで差別化・差異化するやり方をとっています。

日立製作所、ソニー、パナソニックなどの国内大手企業は、IBMやGEなどを手本にするやり方で、集中と選択作業を行いました。このやり方が通用するのは、自社に世界市場で勝ち組になれる技術や事業をもっていることによります。

東芝は、これからが経営再建の山場を迎えます。自社の強みを発揮できるとする事業分野で、世界市場での勝ち組になれるかどうかにかかっています。

中小企業も東芝と同じ課題に直面する可能性があります。あるいは、中小企業はもっとその可能性やリスクが高くなる事態が想定されます。

これは、中小企業の対象市場が、中堅・大手企業のものに比べて小さいことにより、当該市場で勝ち組になっても市場自体が縮小、あるいは横ばいになると収益確保・拡大が難しくなるからです。

そのときに、中小企業が世界市場での競合他社に対して、差別化・差異化できる商品・技術・サービスなどをもっていることが重要になります。

今後、中小企業は国内市場に特化して収益確保・拡大が難しくなる事態が想定されます。国内市場は、人口、とくに15歳から64歳までの生産年齢人口減少により縮小していきます。

市場縮小は、BtoCおよびBtoB両タイプのビジネスに大きな影響を与えます。収益確保・拡大したい中小企業は、必然的に海外市場・顧客開拓をすることが必要になります。

このときに、重要な役割を果たすのが、差別化・差異化できる事業や技術・サービスになります。これさえもっていれば、海外販路開拓・集客のやり方を基本的なやり方にしたがって着実に実行することで、海外売上確保・拡大が実現できます。

逆に言いますと、差別化・差異化できる事業・技術・サービスなどをもっていないと、海外販路開拓・集客は非常に困難なことになります。

最近、多くの中小企業が海外販路開拓・集客に高い関心をもっており、問合せや支援依頼が増えています。

このようなときに、私がまず中小企業にお願いしますのは、自社のもっている技術・ノウハウ・サービス、商圏などを冷静に棚卸して、世界市場で通用する差別化・差異化できるものをもっているか確認することです。

もっていない場合、他社との事業連携・協業か、M&Aで差別化・差異化できるものを手に入れることも考え、実行する場合があります。

それもできない場合、当該中小企業に対して、海外販路開拓・集客を現状では見合わせることもアドバイスします。

中小企業が海外販路開拓・集客を行う場合、国内市場と同じように、中堅・大手企業が入ってこないニッチ市場で勝ち組になることがポイントの一つになります。

中小企業経営者の勢いや意気込みだけで、海外販路開拓・集客はできません。冷静に自社の強みを発揮できるものを見極めた上で、計画作成・実行する合理的なやり方が基本になります。

私は、中小企業が海外販路開拓・集客するための参考事例・情報として、今後の東芝の事業展開のやり方について大きな関心をもっています。

この視点から東芝の動きについて引き続き注視していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


 

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