投資の基本「リターン」「リスク」「コスト」

リターンは成長率をみることが大切、それを表せるのが幾何平均

―――無理のない投資を成功させるため、何から学んだらいいですか？
「投資を行うことで得られる収益『リターン』と収益の不確実性・変動性を意味する『リスク』から学びましょう」

―――リターンは…例えば100万円が110万円になったら、リターン10万円ということですね。
「確かに増えた分は10万円ですね。ただ、投資の世界では、リターンは投資収益率（%）として表されます。投資収益÷投資金額（%）で求められ、この場合10÷100＝10％となります。

また、期待リターンには幾何平均が用いられることも知っておかなければなりません。
銀行や証券会社の窓口に行き、『この株の過去2年間の平均リターンは25％でした』と言われたとします。2年後、150万を超えると思ったなら、要注意です。

普段使う平均、算術平均で考えると、1年目の収益率30％、2年目の収益率20％の場合も、1年目の収益率－30％、2年目の収益率80％の場合でも平均リターンは25％となってしまいます。

リターンは成長率をみることが大切です。それを表せるのが幾何平均なのです。
例えば1年目の収益率－30％、2年目の収益率80％の場合、100万円は126万円になります。これまで慣れ親しんできた算術平均と投資の世界で用いられる幾何平均はかなり違う数字が出ることを理解しておきましょう」

リスクが大きい場合、リターンが大きいとは限らない

―――リスクのことも教えてください。
マーケットでは将来予測できないことがおきます。（図：資料１＿２１リターンとリスクの概念＿下の図）AとBという商品があったとき、より変動が大きいAの方がリスクの高い商品と言えます。このリスクをどこまで許容しどれくらいのリターンを期待するのか考えましょう。

―――リスクが少なければリターンも少ない、けれど、リスクを冒せばその分リターンも大きくなるのですね。
「それは大きな勘違いですよ。ローリターン・ローリスク商品は存在します。しかし、ハイリスクの商品が必ずしもハイリターンとは言えません。世の中にはハイリスクでマイナスリターンの商品も存在するのです」

―――コストとは具体的にどんなものですか？
「販売手数料や信託報酬などがあります。コストが気にならないくらい収益を得ればいいじゃないか！と思うかもしれません。しかし、コストの差が運用成果の差になり得ます。また、買い手のコストは売り手の利益。仕方ないものと思わず、コストにも関心を持ちましょう」

インタビュー／文・岩﨑美帆

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