日経記事;『ソニー、試作品に外部の知恵 脱「自前主義」を加速 まずウエアラブル端末』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ソニー、試作品に外部の知恵 脱「自前主義」を加速 まずウエアラブル端末』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

二日前の記事になりますが、3月4日付の日経新聞に、『ソニー、試作品に外部の知恵 脱「自前主義」を加速 まずウエアラブル端末』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ソニーは開発初期段階の試作品を公開し、外部の研究者や企業と連携しながら商品化する取り組みを始める。技術の多様化と細分化が進む中、自社だけでは利用者の需要をくみ取りにくくなっている。

研究開発に外部の異なる視点を取り入れ、携帯音楽プレーヤー「ウォークマン」やゲーム機「プレイステーション」のような大型ヒット商品の開発につなげる。

「フューチャー・ラボ・プログラム」と呼ぶ名称で、外部との連携に乗り出す。オープンイノベーションの一種だが、ソニーが中・長期的な観点で基礎研究している要素技術を盛り込んだ試作品を公開するのは初めて。

自社だけで研究開発する手法は既に修正し、米投資育成ファンドのWiL(カリフォルニア州)と組みスマートフォン(スマホ)で開閉する鍵を開発・販売するなどの成果が出ている。既存技術を用いた連携にとどまらず、さらに上流での連携に踏み込む。

まず米テキサス州で今月中旬から開かれるビジネスイベントで開発中のウエアラブル端末の試作品を公開し、外部の企業や技術者、一般ユーザーからアイデアや技術協力を募る。

試作品は、ソニーが強みとする集音技術や音声認識技術を用いている。利用者の状況を端末側が判断し、様々な情報を手放しで双方向にやりとりできる端末として開発している。外部の協力を取り付け、ソニーの研究開発部門では思いつかなかったアイデアや用途などを盛り込む方針だ。

ソニーは年間4000億~5000億円規模の研究開発費を投じている。ただ、近年は大型のヒット商品が生まれにくくなっている。研究開発に外部の視点を積極的に取り入れることで、かつての勢いを取り戻す考えだ。

ソニーは新規事業のアイデアを公開し、商品化の是非を消費者に問うクラウドファンディングサイトを昨年7月に立ち上げるなど、企業だけでなく個人との連携も進めている。』

オープンイノベーションは、最近、新聞記事や各種Webサイト、ブログ・コラムなどで取り上げられています。

オープンイノベーションの定義は、日経記事によると、「自社の技術やノウハウを他社や大学が利用できるようにして協力を取り付ける研究開発手法。開発スピードの向上や革新的な製品を生み出す可能性がある。」となります。IBMやデュポンなど多くの欧米企業が採用している、とされています。

アナログ技術全盛期には、ソニー、パナソニック、日立製作所、東芝などの国内大手電機メーカーは、基本的にはすべての技術を内製化して、垂直統合方式で研究開発を進め、競争力のある商品を開発・実用化してきました。

この時期には、基本的に他社と連携・協業するというような考えはなく、ひたすら自社の開発・技術力を向上させて激しい競争を勝ち抜くやり方を取っていました。

商品や技術のライフサイクルが今よりはるかに長かったため、垂直統合方式で高いコストがかかっても、自社で蓄積した開発・実用化ノウハウを最大化して、競合商品に対して差別化・差異化が実現できれば、開発投資額を回収できていました。

そのような上記大手電機メーカーが享受したアナログ技術時代は、マイクロソフトなどの米大手ITベンダーが強力なソフトウエア商品を開発・実用化して、インターネット技術を取り込んで、パソコンなどのIT商品を開発・実用化して市場投入したことで、一気にデジタル時代に取って代わられました。

顧客は、安くて利便性、操作性などが高いデジタル商品を好みましたので、アナログ技術に基づく商品の競争力は短期間に低下しました。

当時の国内大手電機メーカーは、ソフトウエア開発力がまだ弱く、米大手ITベンダーの動きについていけませんでした。

また、ソフトウエア、インターネット、ITなどのデジタル技術は、アナログ技術に基づく電気製品の事業基盤を極めて短期間に破壊してしまいました。

ソフトウエア、インターネット、ITなどのデジタル技術は、開発・実用化のやり方も大きく変えてしまいました。

きっかけは、米大手ITベンダーであるデルがパソコンの開発・実用化に取り入れた水平分業方式です。

当時デルは、商品企画と基礎的な開発を行って、部材・部品、デバイスを他社から調達し、製造は製造専門事業者に委託するいわゆるファブレス方式でパソコンを開発・実用化しました。

このやり方は水平分業方式になります。垂直統合方式に比べて、商品開発・実用化の期間が短いことや、自前で製造工場をもたないので、大きな開発投資額や高い固定費負担を行わなくてすむメリットがあります。

デルは、同時にインターネット通販を活用して、世界市場に対してリアル店舗無しの直販体制の仕組みを開発・実用化しました。

この水平分業方式のやり方は、その後米大手ITベンダー、マイクロソフト、HP、グーグル、アマゾン、アップルなどが拡充・発展させました。

水平分業方式は、ハードウエア商品とソフトウエア商品の垣根をなくして、ITベンダーがパソコンなどのハードウエア商品(電気電子機器)を何の問題もなく、開発・実用化することを可能にしました。

とくに、アップルが発売したiPhoneは、スマートフォンという大きな市場・需要を新規に立上るきっかけを作りました。

スマホは、世の中のワークスタイルを変革し、新興国にパソコンなしでブロードバンド環境を構築する副産物を生みました。

つまり、アップルのような米大手ITベンダーは、ソフトウエアやインターネット・ITを中核にして、圧倒的な競争力をもつハードウエア商品を開発・実用化できる能力を示しました。

このような米大手ITベンダーの動きに対して、ソニーやパナソニックなどの国内大手家電メーカーは、有効な対策を打てず多くの顧客・市場を失いました。

同時に、インターネットやITは汎用化を加速させたため、低価格化が進み価格競争が起こりました。国内大手家電メーカーは、韓国や中国、台湾などのアジア勢に対して価格競争力を保てず、顧客・市場を失いました。

家電商品を含むどの大手電機メーカーは、集中と選択作業を行って、合理化を行う事態に直面しました。

ソニーやパナソニックなどの国内大手電機メーカーは、やっと大きな合理化作業を終えた段階にあります。

本日の記事は、ソニーが垂直統合方式の開発姿勢ではなく、水平分業方式の一つのやり方である
オープンイノベーション方式で、提示する試作品をオープンに公開して第三者から開発・実用化のヒントを得るやり方を行うことについて書いています。

ソニーは、2015年7月に新規事業のアイデアを公開し、商品化の是非を消費者に問うクラウドファンディングサイトを公開する試みも行っています。

市場の潜在需要を明らかにしつつ、共同開発者などを探すことなどを目的にしているようです。
米国では、P&Gが以前からオープンイノベーション方式で、新規商品の開発・実用化を行う実績をあげています。

今回のソニーの試みがどうのような成果を出せるか今後の推移を見る必要がありますが、面白いやり方だと考えます。

今後の新規商品の開発・実用化は、人工知能やIoT対応なしには実現が難しく、ソニー単独で行うことは多くの困難が伴います。

グーグル、アップル、アマゾンなどの米大手ITベンダーは、必要な技術やノウハウは、M&Aによって自社の財産として競争力向上につなげようとしています。これは、競争力の源泉となるコア技術は自前で確保しておくやり方です。

ソニーがアップル、グーグル、アマゾンなどの米大手ITベンダーと競争していくために、コア技術を維持強化しながら、水平分業方式の良さである開発・実用化の高速化を加速させ、世界市場で勝ち組になれるかが重要になります。

この視点からソニーの今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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