日経記事;『産業用ロボットどう進化?ファナック社長 稲葉善治氏 自学自習、工場働きやすく』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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日経記事;『産業用ロボットどう進化?ファナック社長 稲葉善治氏 自学自習、工場働きやすく』に関する考察

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皆様、
おはようございます。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

2月7日付の日経新聞に、『そこがしりたい;産業用ロボットどう進化?ファナック社長 稲葉善治氏 自学自習、工場働きやすく』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『製造現場の人手不足が深刻化する中、産業用ロボットの技術進歩が著しい。人と隣り合って作業する協調型や、人工知能(AI)の活用により、動作プログラムを人が入力するティーチングの負担を軽減した製品が浸透し始めた。ロボットの活用が広がることで製造現場はどう変わるのか。ファナックの稲葉善治社長に聞いた。

――1970年代の産業用ロボット普及、2000年代のソニー「AIBO」に続き、現在は第3次ロボットブームといわれます。

「安倍内閣が成長戦略の一環にロボット産業の振興を位置付けて後押ししていることもあり、注目が高まっていると肌で感じている。ソフトバンクグループの『ペッパー』のようなサービス型の登場はロボットを身近に感じてもらう機会になるだろう。産業用ロボットでも顧客が導入を検討する機運は高まっている」

――産業用ロボットは近年どう進化していますか。

「2つの流れがある。一つは表面を柔らかい素材で覆い、人と接触するとセンサーで感知して停止する協調型ロボットの登場だ。これまでは作業員の安全確保のため、柵の中に隔離しなければならなかった。協調型は人とロボットが同じ作業を分担するなど柔軟にラインを組めるようになる」

「AIのソフトを導入することによる進化も顕著だ。自ら見て、学ぶことで動き方を改善する。人間に一歩近づいた存在になる。ネットワーク接続により、ロボット同士がコミュニケーションをとり、作業の分担を相談するような機能の開発も進めている」

――今後の技術目標は。

「ロボットは正確な動きはできるが不器用だ。柔らかいケーブルをつかみ、ねじりながら差し込むような動きはまだできない。繊細な動きを実現することを目標に置いている」

「米シスコシステムズとロボットの故障予知に取り組んでいる。産学連携を強め、外部の技術でプラスになるものはどんどん使う」

――ロボットの活用で製造業は変わりますか。

「製造現場は今後2、3年で大きく変化するだろう。昨年発売した協調型ロボットは最大35キログラムの部品を持ち運びでき、女性や高齢者が働きやすくなる。AIの活用により、煩雑なティーチングの負担が減り、工業製品の製造だけでなく食品や物流などの産業でロボットの導入が進む」

――ロボットは雇用を奪いませんか。

「ロボットは生活を豊かにする道具だ。人間の作業時間を短くすることで、工程管理などロボットができないことに充てる時間を増やせるようになる。ひとの仕事はなくならない」

〈聞き手から一言〉

AIなど新技術、問われる革新力

ファナックの売上高に占めるロボット比率は年々高まり、足元では約3割に達している。工作機械の頭脳にあたる数値制御(NC)装置が中国の需要低迷を背景に落ち込む分を補い、業績をけん引。「ロボット部門は社内で最も勢いがある」(稲葉社長)という。

ただ競争は激しさを増している。保守サービス網の拡充で先行してきたが欧州の競合も追随し、優位性は薄れつつある。ベンチャー企業も特定のニーズに絞った製品で存在感を高める。協調型やAIのような新技術を不断に打ち出す革新力で上回るほかに勝ち続けるすべはない。』


2月3日に、日経記事;『資生堂、37年ぶり国内新工場 アジアで日本製需要 日用品各社、相次ぎ増産』に関する考察 [海外市場・販路開拓]のタイトルで、ブログ・コラムを書きました。

このときは、今後、国内で製造して海外に輸出するための切り札の一つとして、人間の作業活動に準じた動きができる双腕ロボットの製造現場への導入があるとの見方で、資生堂の導入事例を含めて書きました。

この双腕ロボットの導入・普及が進んだのは、政府が労働安全衛生規則 第150条4の解釈を見直して、労働者の安全を確保するためのさくの設置義務を変更したことが要因の一つになります。

政府は、もともと労働安全衛生規則 第150条4により、当該産業用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該危険を防止するために必要な措置を講じなければならない。」と定めています。

平成25年12月24日に、厚生労働省は「産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正について」のタイトルで下記通達を出しました。

『(2)産業用ロボッ卜を使用する事業者が、労働安全衛生法第 28 条の2による危険性等の調査 (以下 「リスクアセスメン卜」という。)に 基づく措置を実施し、産業用ロボッ卜に接触することにより労働者に危険の生ずるおそれが無くな ったと評価できるときは、本条の「労働者に危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しないものとすること。』

つまり、、企業がリスクアセスメントをきちんと行って、安全性を担保できれば製造現場にさくを設ける必要がないことにしました。

この通達が一つの要因になって、双腕ロボットの導入が一気に進みました。もちろん、企業が導入した大きな理由は、不足する労働力の代替や生産性の向上などになります。

ファナックの稲葉社長が記事で述べていますように、今後、双腕ロボットを含めた産業用ロボットは、今後、大きな変革が起こることは、確実です。

ロボット本体の技術革新に加えて、IoT対応、人工知能の活用、クラウドサービス利用による新規投資額の低減化など、ロボット周辺の技術革新が急激に進むことによります。

ある程度小規模な工場であっても、ロボットの導入コスト削減とインターネットやITのフル活用により、製造現場の省人化・自動化が一気に加速されるとみています。

私の支援先の中小企業のなかには、すでに製造現場に双腕ロボットを導入して、効果を上げている会社があります。

今後、自律型双腕ロボットは、多くの高性能センサーデバイスを実装し、高度なソフトウエアを使用することで、難易度の高い複雑な作業も人に代わって実行できるようになっていいきます。

自律型双腕ロボットに採用される素材・部品の改良も進んでいますので、人の手が感じることができる微妙な手触り感やそっと持つ能力なども、実現されつつあります。

すでにキャノンやファナックなどの大手企業は、ほとんど無人化された自動化工場を稼働・運営しています。

今は、このような大手企業が、大量生産品に対して自動化工場を実用化していますが、自律型双腕ロボットの開発・実用化が進んでいますので、近い将来、多品種少量生産品や中小企業クラスでも、自動化工場を使える状況になるとみています。

IoT対応を含むインターネットやITを活用することで、相対的に低コストで人工知能や多くのデータ・情報を短時間で解析できるソフトウエアを利用可能になっていることも、このような製造現場・工場の自動化・省力化を後押ししています。

自律型双腕ロボットの開発・実用化は、国内製造事業者のビジネスモデルを大きく変える可能性があります。

製造事業者は、数多くの労働力確保が不要になりますので、人件費圧縮が可能になります。人件費は、一般的に製造事業者にとって高い固定費になりますので、労働力への依存度を下げられれば、製造コストの削減になります。

アセアンでは、多くの国で毎年労働者賃金が上昇しています。双腕ロボットの導入で、労働力が削減できれば、労働者賃金の上昇圧力の低減につながります。

二国間自由貿易協定(FTA)やTPPなどの進展は、関税撤廃などにより、モノの移動を促進しますので、商品の製造工場を必ずしも消費者市場に近いところに置かなくても、一定の価格競争力をもてれば国内の製造工場で作った商品で販売事業ができるようになります。

双腕ロボットを使った製造工場の省力化・自動化は、IoT対応を開発・実用化すれば、素材・部品の調達先や商品の販売先などとの取引業務を簡素化させることも可能になります。

日本の産業用ロボット関連企業の競争力は、現時点で世界最高のレベルにあります。より小型で廉価版の双腕ロボットが開発・実用化されていくことで、日本の製造事業も大きな変革が進むとみています。

この視点から、今後の産業用ロボットの進展・進化に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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