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大澤 眞知子
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閲覧数順 2024年04月23日更新

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カナダの高校留学 ー 変遷と現状

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カナダ・アルバータ州大平原の小さな町の高校での「高校留学プログラム」を主催しました。 

 主に長期で留学し、カナダの高校卒業資格を目的とするプログラムです。


1994年から10年間、やはりカナダのブリティッシュコロンビア州に多くの日本人高校生を送り、現地では奇跡的と言われた3年での卒業を助けて来ました。 当時の州の高校教育過程を最大利用し、能力を持ち、自己努力の出来る生徒なら、徐々に階段をあがるように卒業資格まで押し上げることが可能だったからです。

しかし、簡単ではありませんでした。

元々の能力はもちろんですが、その能力を完全に開花させるために、丁寧に作り上げる環境が必須でした。
日本人高校生なら誰でもカナダの高校を卒業出来たというわけではありません。

「留学せん事」(一般的には留学は勧めません)という本を2004年に出版したのはそれが理由です。


現在は規定が変わり、日本からの高校生が3年で卒業することは不可能に近いほど難しくなりました。

面白いことに、それと同時に、留学を単なるビジネスと考える業者は、ますます「留学は簡単ですよ。」「楽しいですよ。」と宣伝を始めました。


残念ながら、そんな業者から送られた高校生たちのほとんどが、「留学」に値する能力がないどころか、準備もなしで海を渡った結果、「日本人留学生」の評判をどんどん落として行く結果となりました。


もちろん、卒業なんてとんでもない。
20歳を過ぎても高校卒業資格のない日本人がバンクーバーなどに溢れた時期もありました。


ある頃から、さすがの業者たちも「高校卒業資格を取る留学」という文句を引っ込めて来ました。「カナダで高校を卒業するのは難しいですよ。」「うちでは卒業を目指す留学は扱っていません。」という文言が並ぶようになりました。

送った生徒たちの惨憺たる状況の結果でしょうね。
それと、受け入れ先の教育学区、学校から「お荷物は送るな」交渉があったと推察します。


またまたその頃から、少子化の波を受け、生徒獲得に必死になる私立高校が「1年留学出来るカリキュラム」なるものをご褒美にし始めました。

英語圏のどこにでも1年行って、とりあえず何でもして来たら、その分は単位として認めるという、信じられないほどいい加減なご褒美です。


ご褒美をもらったのは「きゃぁ〜〜留学出来る〜〜」と喜んだ高校生だけではありません。

とりあえず1年送ればお金になるという、非常に楽な「留学ビジネス」です。

 「卒業までのサポート」など必要ない、ただ送り込んでおけばいいだけの「商品」を扱う「留学ビジネス」です。


受け入れ先の教育学区も楽なもんです。

真剣に将来に向けての勉強の手助けをする必要もありません。
とりあえず、まぁ理解出来そうなクラスに入れておけばいいだけです。
ESLで上等なわけです。


カナダ人生徒は公立高校の授業料は無料です。

楽ちんでただおいておけばいいだけの留学生は、年間日本円で120万から200万の授業料を払ってくれます。教育学区の予算は大助かりです。


現在見られる「受け入れ先」と「留学業者」の関係は全くビジネスです。
「商品」である留学生の斡旋と搬入、その「商品」を1年間「在庫」として管理する。

これです。


さて、ではその「商品」の日本人高校生たちは意義のある「在庫」いや「留学」生活を送っているでしょうか。


Case Study 1: バンクーバー郊外の規模の大きい地区に送られた高校生


大都市周辺、特にブリティッシュコロンビア、オンタリオ州などでは各学校には特別な『留学生用クラス」があります。

ESL (English as a second language)と呼ばれる英語を母国語としない生徒たちのクラスです。

そこで過ごす1年間。


地元の高校生たちは、まずESLにいる生徒には近づいて来ません。

「違うカテゴリー」の生徒だと感じているからです。

能力も準備もなしで送られた生徒たちの、英語のコミュニケーション力も非常に低いですから、つるむのはESLの日本人とだけ。

なんていう状況は普通に見られることです。


「カナダの高校生と友達になれると思ったのに。。」の悲鳴が聞こえてきます。


Case Study 2: “International School” と宣伝を派手に行っている留学生専門の高校に送られた高校生


地元に密着し、カナダの社会を経験する機会のある公立高校が大きく門戸を開いている国で、なぜわざわざ留学生だけを集めた高校に行くのかな?といつも不思議で仕方ないのですが。


宣伝に引っかかるのでしょうか。

折角カナダに行く意味がさっぱりわかりませんけどね。

カナダ地元の子供のいない学校なんて。


もちろん、学校の中だけで、寮生活をし、小さな小さな「留学生村」で過ごしただけで帰ってきます。

10年前はかなりインチキの悪名高い語学学校だったところが、いきなり「インターナショナルスクール」として宣伝しているのを見て驚きました。

その学校に通う「日本人高校生」から複数の相談を受けたのにも「やっぱり」と同時に「まだ騙されてる。。」でした。


さて、“Case Study 3”が、これまたショッキングなのですが、その前に、2015年より2017まで行った「カナダの小さな町での高校留学プログラム」を簡単に説明しておきます。


自由度の低いブリティッシュコロンビア州には見切りをつけ、個々の能力に合わせたカリキュラムのあるアルバータ州での復活です。

ここなら3年での卒業をサポートすることが可能であると見込んでいます。


もちろん、そのためにはかなりの計画と、教育学区との良好な関係が必要です。


更に、もっと自由度の高さを上げるために選んだのが高校がひとつしかない小さな町です。

多民族の見本のようなカナダの都市部と異なり、小さな町は、未だに白人文化が色濃いです。

濃すぎると行っても過言ではありません。

グローバライゼーションの波に追いつくためには留学生の持って来る異文化が必要だと思っている町です。

「また日本人?」と無視される場所ではありません。


アルバータ州の教育への意識は非常に高く、しかも科学に基づいた教育方法への進化がめざましいです。

その恩恵は、小さな教育学区、小さな町の高校にも深く浸透しています。


選んだのはカナダ人パートナーが大きな深いネットワークを持つ出身地、出身校。

理由はそれだけではありません。

その教育学区の教育長の「留学への認識」と私達の「プログラム」との共通点です。

私達からの提案、依頼に対して、十分すぎるほど柔軟に対応してくれる環境です。


アルバータ州の高校は、個々の生徒の能力に応じて主要科目のレベル分けをしています。

このレベル分けのシステムにうまく入り込んで、最終的には30−1(ダッシュワン)と呼ばれる一番高いレベル(大学進学に必要)を取って卒業資格をもらう計画を、それぞれの留学生の能力に合わせて立てます。


このシステムについては別コラムで説明予定ですが、留学生には都合のよいシステムであると同時に、何も知らずに送られる「在庫留学生」には大きな落とし穴のシステムです。


Case Study 3: 「日本人はいませんよ〜」と小さな町に送られて、カナダの小学生レベルの授業しか取れなかった留学生


「日本人はいませんよ〜」はうそでした。

「日本人のいないところがいいです!」と実情を知らずに希望する日本人からお金を稼ごうとする業者たちは、最近アルバータ州にも目をつけ始めたようです。


ロッキー山脈の知名度を利用したプログラム、「小さな町」にいきなり留学生の寮を立てて、意味のわからない「インターナショナルスクール」もどきを作っているところ。

カルガリーの東にあります。


日本人高校生は、例の「なんでも取って来なさい単位に認めるから」高校から来ていました。


業者の言い分によると、「一年カナダの高校に通うとカナダの大学レベルの英語力が身につく」だったそうです。

ほぉ。。。

なぜそれを鵜呑みにしたのかも不思議ですが。


小さな高校だからESLはありません。

じゃぁ、地元の高校生と一緒のクラス?!


とんでもない。

能力が足りなさすぎるため、すぐ近くの小学校で小学生に混じってのEnglish の授業だったり。


高校のコースに入れてもらっても、”ー4”(ダッシュフォー)と呼ばれる、何らかの理由により通常の授業が理解できないカナダ人用生徒のコースだったり。
しかも、18歳の日本人高校生が10年生(高校1年)レベルの"-4" です。 

学校サイトとしては、「英語のわからない日本人をどうしてあげたらいいか。。。」と考えあぐねて悪気はないのでしょうが、まるで「学習に障害でもあるのかな?」扱いです。


英語力の余り必要ないコンピューターなどのコースでも、宿題も出さなくてもいい(自分だけでは出来ないので)お客さんだったり(先生が面倒みるのを嫌がりますから)。


地元の良い子たちと友達になり、友達をいっぱい作る!な〜んて無理な話です。


町での生活も、業者は適当に新聞でホストファミリーを募集したあと、生徒を置き去り状態。

社会にも溶け込めない、友達も出来ない、娯楽もほとんどない小さな町での1年間は、さぞかし寂しいものだと思います。

________________________ 

 

夢を壊したかも知れませんが、このように惨憺たるのが「高校留学」の現状です。

英語圏どこに行っても大差ありません。


しかし、カナダの教育制度は、世界から遅れた日本の教育に比べて非常に魅力的です。

その教育制度の恩恵を受け取るだけの、能力、自己動機力に優れた生徒を送り、周到に計画を立て、地元教育界と協力し、卒業資格に導くのが私の「留学プログラム」でした。




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カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。

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