世界金融危機−その全貌その1 - ライフプラン・生涯設計 - 専門家プロファイル

山本 俊樹
インテグリティ株式会社 
ファイナンシャルプランナー

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伊藤 誠
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閲覧数順 2016年12月08日更新

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世界金融危機−その全貌その1

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やさしい経済の話し 世界金融危機
2008年9月及び10月は、金融史いや歴史に残る世界的危機の襲来であった。
そして、世界各国がこれだけ短期間に一致協力して危機に立ち向かったのも歴史に残ることである。
現在進行形で金融危機は収まってはないないが、各国が一致して全ての手段を使うという固い決意を示している限り、マーケットの危機は一旦、終息に向うであろう。
しかし、実体経済への影響が出てくるのはこれからであり、今後の経済対策でも各国の足並みを揃えた対応が期待される。

さて、この金融危機はこれだけ毎日マスコミ等で取り上げられているにもかかわらず、どうしてこんなに短期間に世界的な銀行、証券が潰れるほどの大事になってしまったのか、いまだに疑問に持たれている方は多いのではないだろうか。RMBS、CMO、CDO、CDS・・・なんだか訳のわからない用語ばかりが並び、マスコミでは一律にサブプライム問題として片付けてしまっている。しかし、今回の金融危機を理解するにはこれら証券化の仕組みをある程度理解しておく必要がある。

今回の危機はまだ終息したわけではないが、いずれにしても歴史的な出来事であり、金融関係者でなくとも何が起こってどうしてそうなったのかをしっかりと理解しておくことが必要であると思う。

筆者自身、銀行勤務時代の1992年から退職まで約10年あまり、まさにこの証券化業務に携わってきた。このサブプライム問題が証券化マーケットにまで波及してきたときには、問題の根は深いと思っていた。しかし、その深度は想像以上のものであった。そこで、いろいろな情報を収集してわかったことは、私自身が銀行を退職した後のこの5年間で証券化市場も住宅ローン市場も様変わりしていたということである。
サブプライムローンは、2001年には1450億ドルだったものが、2005年には6250億ドルと急拡大している。証券化市場では、CDOやCDSといった新しい証券化商品が急拡大していたのである。
1990年代の証券化市場は、金融機関の自己資本規制と一般企業の低利調達ニーズがマッチして市場が拡大するというまだ健全なマーケットであったと理解している。しかし、2000年以降、クレジットデリバティブなる派生商品が登場するにいたって、実体のない、信用膨張が始まったのである。
このように、住宅バブルと同時に信用バブルが発生したために、これほどまでの危機的状態に陥ってしまったと見ていいだろう。そして、その背景には、超資本主義、市場原理主義といった利益中心の考え方が蔓延し、金融関係者(銀行、証券、ファンド、格付け機関、保証会社、住宅ローンブローカー等々)の暴走が始まったのである。それでは、その暴走の過程を見ていくこととする。

バブルの出発点


今回の不動産バブル、住宅ローンバブルの出発点を探すといろいろな意見があるが、現象的に見て、今回の出発点はやはり、2000年のITバブル崩壊と2001年の同時多発テロによる景気後退策として実施された超低金利期間が源になっているようである。これをもって、今回のバブルの責任は、前FRB議長のグリーンスパン氏にあるという意見もあるぐらいである。実際、ITバブル崩壊と同時多発テロによりアメリカ経済は大きな痛手を被った。その対処策としてFRBは連続で利下げを行い、2001年から2003年の前半まで1%という超低金利が続いたのである。
そして、この超低金利は、住宅ローンの借り換え需要や新たに住宅を購入する人の動機付けとしては十分であった。実際の住宅ローンの実行額や残高を見ても2000年以降急激に伸びていることがわかる。
住宅ローン実行額の推移(10億ドル)
1990−389   1995−494   2000−905   2001−960
2002−1,097  2003−1,280  2004−1,309  2005−1,512   2006−1,459

こうして、アメリカ全土で住宅ブームが湧き上がったのである。


二つのバブル


さて、2002年のバブルの出発点から2008年までの間には、大きな二つのバブルが発生することとなる。
それは、
サブプライムローンの肥大化=不動産バブル と 証券化商品の肥大化=信用バブル 
である。
この2つのバブルはどちらか一方だけで肥大化したものではない、お互いが(悪い)相乗効果を持ち同時に肥大化していったのである。

詳しい内容は、それぞれの項目のところで見ていくが、ここでは簡単に肥大化の過程を整理してみる。

超低金利と不動産価格の継続的上昇傾向 
⇒ 不動産が上がり続ける限りローンをいくら借りても返済は可能と考え、誰もが住宅購入に走る  
⇒ 金融機関はとにかくこの機会に住宅ローンを増強し収益を稼ぎたい 
⇒ 審査が甘くなり、所得のない人にまで実行するようになった=サブプライムローンの急増 
⇒ 金融機関はサブプライムローンの貸倒リスクを避けるためにローンを証券会社などに売却、
  或いは自ら証券化してそのリスクを投資家にどんどん転嫁していった 
⇒ 証券会社などはリスクの高いサブプライムローンを投資家にスムーズに売るために他の債権と
  混ぜ合わせて商品化を複雑にして捌いていった 
⇒ 不動産が上昇している間は、貸倒率も非常に低く、このサブプライムローン関連商品はリスク
  が低く高利回りな商品と誰もが信じていたため、ヘッジ・ファンドなどが積極的に購入 
⇒ 金融機関はローンリスクをオフバランスできたので再び新たなローンを実行

こうして、住宅購入ニーズが続く限り、金融機関はローンを実行しては証券化しリスクをどんどん転嫁していったのである。そして、急増するローンの証券化を捌くためにCDOやSIV(詳細は後述)などの新しい証券化が開発されていった。
このようにして、サブプライムローンの肥大化と証券化商品の肥大化が同時に進んでいった。
ここでもう一つ重要な指摘をしておかなければならない。それは、この一連のバブルは、金融関係者(住宅ローンブローカー、銀行、証券、ヘッジ・ファンド、格付け機関、保証会社等など)が、将来にわたって一つの歯車も狂うことなくこの市場は発展し続けるという妄想の下、己の利益を追求し続けた結果である。そして、一般消費者(住宅購入者、投資家)もその一役を担っていたということも忘れてはならない。