日経記事;『ハイアール、GE家電買収 6300億円、ブランド取り込む』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『ハイアール、GE家電買収 6300億円、ブランド取り込む』に関する考察

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経営戦略 集中と選択;事業撤退

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月16日付の日経新聞に、『ハイアール、GE家電買収 6300億円、ブランド取り込む』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中国家電大手、海爾集団(ハイアール)は15日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収すると発表した。買収額は54億ドル(約6370億円)で、家電部門の人員や米国での事業基盤を引き継ぐ。知的財産や「GE」ブランドも取り込む。欧米など先進国市場を本格開拓する足がかりにする。

英調査会社ユーロモニターによると、家電市場の世界シェアはハイアールが世界7位、GEが19位だ。買収後のハイアール・GE連合は日本のパナソニックや米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)を抜き、世界5位に浮上する。

GEは2014年に家電事業を欧州同業のエレクトロラックスに売却することでいったん合意していた。今回の買収額は、そのときの33億ドルを大きく上回る。

ハイアールは家電子会社を通じ、GE家電部門の関連資産を買収する。米国内の9工場のほか、販売や仕入れのネットワーク、アフターサービスのための拠点を手に入れる。GE側の1万2千人の人員も雇用を継続する方針だ。4~6月期中の手続き完了を目指す。

GEは食器洗浄機や冷蔵庫など大型家電を得意とし、家電備え付け住宅が主流の北米市場で高いブランド力を持つ。一方、ハイアールは中国で高いシェアを占めるが、先進国市場の開拓が課題となっていた。GEはガスタービンや航空機エンジンなど重電・機械分野に事業の軸足を移す。

ハイアールはGEから家電の研究開発部門も引き継ぐ。開発力を強化し、自社製品の品質を高める考えだ。「GE」ブランドを継続して使える権利も取得する。12年には旧三洋電機の白物家電事業を買収した。相次ぐ大型買収をテコに「低価格ブランド」というイメージの払拭を目指す。』
 
本日の記事は、米GEが家電事業を中国のハイアールにすべて売却することについて書いています。以前からGEは、創業時からの主力事業である家電事業を売却するとの方針を打ち出していました。このことが最終的に決まったということになります。

アメリカの大手企業は、集中と選択に関して日本企業と比べると意思決定や実行速度が格段に早くなります。ケレンミなく行うことも特徴になります。

たとえば、米IBMはノートパソコンは今後汎用化が進み、収益確保が難しくなると判断して、当該事業を中国企業に売却しました。当時、IBMはソフトウエア事業を中心に投資を行い、収益拡大を可能にするやり方を選択しました。

GEも同じ動きをかけています。現在の社長の基本スタンスは、まず本業回帰です。かってGEを収益面で潤した金融事業を大幅に削減しました。

家電事業はGE創立時からの重要なものですが、IBMと同じように、家電事業から収益拡大を実現することは、汎用化がさらに進むので収益拡大実現をできないので、本業から外すという決断をしました。

現在のGEは、本業の軸足をガスタービンや航空機エンジンなど重電・機械分野に移すことを明確にしています。

また、GEは単に重電・機械分野に軸足を移すのではなく、IoT対応を徹底的に行って自社工場の生産性を飛躍的に向上させる、GE商品からインターネットを通じて稼働状態をリアルタイムで情報の収集・分析を行って、顧客の保守管理費用を削減するなどを実現することで、事業の付加価値や収益性を飛躍的に向上させようとしています。

このため、GEは「インダストリアル・インターネット」と呼んでいる動きを加速させています。
「インダストリアル・インターネット」は、ガスタービンや航空機エンジンなどに、多数のセンサーを付けて、無線LANなどを通じて収集した膨大なデータを分析して、製品開発・実用化や改良に要する時間を短縮する、最新の稼働状態を把握・分析することでより効率的な運用方法や保守管理のやり方を計画・実行することなどを目指しています。

GEは、「インダストリアル・インターネット」を実現するために、日欧米の主要メーカーなどに参加を提案しており、多くの企業が賛成して当該プロジェクトが動き出しています。

いわば、ドイツの「Industry 4.0」の民間版になります。もっとも、「Industry 4.0」は、工場や販売会社などの関連事業者をすべてインターネットでつないで、最適な資材発注・在庫、生産計画・実生産、市場での製品在庫把握と物流などの総合的なモノやカネの流れを可視化して、最適解を算出・実行するようにしますので、GEの「インダストリアル・インターネット」とは概念が異なります。

GEの本気度は、「インダストリアル・インターネット」を実現するために、サンノゼに数千人規模のソフトウエアエンジニアを集めた大規模なラボを設立したことで示されています。

また、これらのエンジニアは、インターネットに接続し、膨大なデータを短時間に解析するためのソフトウエアを開発・実用化します。

GEは、多様な産業機器が生み出す膨大なデータを解析する共通のソフトウエア・プラットフォームとなる「Predix」を開発・実用化しました。これは、パソコンのOSに相当します。

GEは、多くのソフトウエアベンダーや関連企業と協業・連携して、「Predix」上で動くアプリケーションソフトを開発・実用化しています。

日経記事によると、。GEは2015年までの4年間に10億米ドル(約1200億円)以上を投資し、米国、欧州、中国にソフトウエアセンターを開設したとのこと。

GEは2020年までに、ソフトウエアの売上高を2015年見込みの3倍に当たる150億米ドル(約1兆8000億円)に引き上げる目標をもっています。

GEは、明確に重電や機械分野の事業分野にてハードウエアおよびソフトウエアの両面から、世界市場で勝ち組になることを目指しています。

GEが家電事業を売却したのは、このような壮大な事業目標を達成するのに、非中核事業でないもは不要とする明確な意思をもったことによります。

国内大手メーカーは、GEのような大胆な集中と選択を短期間に行うことはありませんし、できません。

しかし、中小企業は、経営者が決断すれば可能です。GEのやり方は、自社の主力事業を再確認して、成熟した既存事業基盤の中でインターネットをフル活用して、事業の付加価値・収益性を最大化することを目指しています。

GEの今後の展開は、中小企業にとって大いに参考になります。この視点から、GEの状況について引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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