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日経記事;『Jディスプレイ、シャープの液晶事業買収へ 中小型で世界首位、春合意めざす』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月19日付の日経新聞に、『Jディスプレイ、シャープの液晶事業買収へ 中小型で世界首位、春合意めざす』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『スマートフォン(スマホ)などに使う中小型パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)はシャープに対し、液晶パネル事業の買収を提案する。シャープの先端技術を担う亀山工場(三重県亀山市)の技術者や生産設備を中心に取得する方針。

年明けから交渉に入り、来春までの合意を目指す。経営難が続くシャープの再建が進むと同時に、日本の液晶パネル産業の技術力をJDIに結集、韓国勢など競合に対抗する。

年内にもシャープ側に買収の意向を伝える。シャープが液晶事業を分社し、新会社の株式をJDIが取得する案が有力だ。JDIは少なくとも過半を握り子会社とする方針。買収額は500億円以上とみられ、1000億円に達する可能性もある。

経営再建中のシャープはJDIの筆頭株主でもある官民ファンドの産業革新機構が分社する液晶事業への出資を含め支援策を検討してきた。シャープは革新機構やシャープの主取引銀行と提案内容を精査して、JDIとの交渉に入る。

シャープの液晶事業は2016年3月期に300億円の営業赤字に陥る見通し。日本の産業競争力の向上を目指す革新機構は同事業に直接出資すると官主導の救済色が強まると判断。民間企業同士で経営再建を進める方針に傾いた。

シャープの液晶事業を巡っては台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も関心を示している。JDIがスマホ向けなど中小型液晶パネルの先端技術を主導する亀山工場を中心に買い取り、鴻海が大型パネル用の設備を取得する可能性もある。鴻海はシャープと共同出資する大型パネルの堺工場(堺市)の追加出資の交渉をしている。

JDIの具体的な買収対象の工場設備や拠点は来年1月末をメドに詰め、来春までの合意を目指す。両社の事業を単純に統合すると、スマホや車載向け液晶パネルでシェアが高まり、独占禁止法に抵触する恐れがある。JDIは重複事業を慎重に見極めて取得する生産設備などを判断する。

シャープは既に早期退職の募集や過剰在庫の圧縮、工場の一部閉鎖など液晶事業の収益改善に向けた合理化を進めている。JDIはシャープ側にさらなるリストラを要請する見通し。

スマホやノートパソコン向けの中小型液晶パネルでJDIとシャープは韓国LGディスプレーに次ぐ世界2位と3位。上位企業も足元の市況悪化で収益は低下している。中国メーカーの活発な設備投資で供給過多に陥るリスクも高まっている。

液晶事業を分社した場合、革新機構は残る白物家電や複写機事業などを他社と統合して再編する案を検討している。22日に外部の有識者を交えた産業革新委員会を開く予定で、シャープ支援の具体策を協議する。

JDIは革新機構が主導する形で日立製作所と東芝、ソニーの各液晶部門を統合し12年に発足。JDIの提案が実現すれば、日本のパネルメーカーが集約されて世界首位となる。韓国、台湾、中国勢との競争優位を築く。』

本日の記事で、日経新聞はジャパンディスプレイ(JDI)がシャープに対して液晶事業の買収提案をすると報じました。

もしJDIがシャープから液晶事業を買収すると、中小型液晶パネルの世界市場で約31%のシェアをもちますので、韓国のLGディスプレーの17%を抜いて世界最大の会社になります。

最近の液晶事業は、以前のような急成長した状況ではなく、落ち着いた市場環境にあります。この中で、中国メーカーが盛んに液晶事業に投資を行っており、そう遠くない時期に液晶パネルの販売価格を大幅に下げてくることが予想されています。

JDIの液晶パネルは、アップルのiPhoneに採用されていますので、現時点では中国メーカーの低価格化施策に大きな影響は受けいません。

また、JDIはシャープの最新液晶パネル技術やノウハウを取り込めるので、さらに競争力を強化して、高付加価値商品を供給できる可能性があります。

当面の間、JDIはシャープの液晶パネル事業を吸収することで、自社の経営力を高めて当該市場で有利なやり方で事業をできます。

しかし、中期的には液晶パネル事業は、中国メーカーの過度な価格競争が引き金になって汎用化が進み、価格競争に陥ることが予想されます。シャープの液晶パネル事業の苦境は、有力な販売先がないことによります。

韓国のLGディスプレーは、現在好調な事業環境にある液晶パネル事業への依存度を下げるため、
最近、スマホなどに使う表示装置である中小型有機ELパネルの新工場を韓国内に建設すると発表しました。2017年末にも稼働させて徐々に生産量を増やし、投資額は数年間で1兆円を超える見通しとされています。

これは、アップルが2018年に発売するiPhoneに有機ELパネルを使用すると発表したことによります。

JDIは、アップル向け液晶パネル供給が大きな割合を占めていますので、アップルが2018年度から本格的に有機ELパネルを採用しだすと、大きな影響を受ける可能性があります。

現在、スマホ用の中小型有機ELパネルでは、韓国サムスン電子が世界シェアの9割以上を確保しています。LGディスプレーは、サムスン電子との競争に参加して、有機EL市場で一定規模の事業を獲得する考えです。

液晶パネルは、現時点では製造コストなどの点で有機ELパネルより優れています。一方、有機ELパネルは、一般的に次のメリットがあると言われています。
・バックライトや光学フィルムが不要なため薄型・軽量・低消費電力を実現する、
・樹脂基板を使うことで割れなくなる
・形状の自由度が高く湾曲させたりしやすい
・折りたためる、など

アップルやソニーなどのスマホ供給企業が、有機ELパネルの上記特徴を取り込んで新しいスマホを商品開発・実用化したら、中小型パネルの需要が一気に液晶パネルから有機ELパネルに移動する可能性があります。

JDIは、まだサムスン電子やLGディスプレーのように、一気に有機ELパネル事業を展開する動きを公式には表明してませんが、各種報道記事によるとJDIは有機ELパネルの要素技術も持っており、研究開発・実用化の検討は行っているようです。

2015年12月14日に出ました日経ビジネス誌に、JDI社長に対するインタビュー記事が掲載されています。

その中で、JDIの社長は、「今後のスマホの競争軸はディスプレーの解像度の向上や低消費電力
性能が挙げられますが、3つ目はデザイン性の向上だと思つでいます。例えばスマホの周縁までディスプレーになっていたりとか、ディスプレー自体が曲げられるようになったりとかですね。デザイン性の高さをスマホメーカーが競い合っている中で、我々はそれに合わせできるだけ自由度のあるパネルを開発してい〈必要があります。その際、曲ー面加工が可能な有機ELは強い競争力を持っと思っています。」と答えています。

この記事が掲載された時点では、アップルが新iPhoneに有機ELパネルを搭載することについて発表されていません。

JDIが、韓国勢に先を越された形の有機ELパネル事業を経営の柱として展開していくやり方は、中小企業が新規事業を立ち上げて行くときの参考事例になるとみています。

この視点から、今後、シャープの液晶パネル事業を吸収する可能性があるJDIが現行パネルの基盤を固めながら、有機ELパネルの事業展開をどのようにして実行していくのか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


 

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