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日経記事;『東南アで広がる調達網 共同体発足先取り イオンがPB商品を国境越え流通。。。』に関する考察

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皆様、
おはようございます。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月17日付の日経新聞に、『東南アで広がる調達網 共同体発足先取り イオンがPB商品を国境越え流通 矢崎総業は車部品タイ・カンボジア間で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で商品や部品を国境を越えて融通する動きが広がっている。イオンはタイとマレーシアで開発するプライベートブランド(PB=自主企画)商品を域内に広く投入。製造業では人件費格差などを踏まえた分業が進む。12月31日のASEAN経済共同体(AEC)発足を先取りし、企業の調達網が広がりを見せている。

東南アの中間層の需要は均質化が進む(クアラルンプールのイオン店舗)

イオンは2016年1月、カンボジアにあるショッピングモール「イオンモールプノンペン」でPB「トップバリュ」の魚醤(ぎょしょう)を売り出す。商品づくりを担うグループ会社、イオントップバリュタイランドが開発した。タイの提携工場で生産し、カンボジアに持ち込む。

開発会社はマレーシアにもあり、2社で域内共通のPB商品を生み出す。イオングループのアセアン地域本社の鷲沢忍社長は「文化は違っても、中間層の消費ニーズは域内で均質化している」と話す。域内どこでも売れるならスケールメリットで採算もよくなる。

これまでにカンボジア製の日傘(ベトナム、タイ、カンボジアで販売)やベトナム産コーヒー(同)などを発売。ベトナム製の蚊帳は同じ3カ国のほかマレーシアでも近く売り出す。

タイ製の魚醤はマレーシア政府系の認証機関からイスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」も受けた。タイ発のPBで初の試みだ。生産を任せる提携工場も域内で開拓し、調達網を充実させる。

ただ、なお障害はある。ASEAN各国では関税の撤廃と引き換えに「特別税」などの名目で別の税を課す事例や、通関当局が輸入免許を出し渋るなど保護主義的な動きが相次ぐ。食品の安全基準なども国ごとにバラバラだ。イオンがタイ製の魚醤をまずカンボジアで売る背景にもタイ独自の規制の存在がある。

自動車などの製造業では部品調達のサプライチェーン(供給網)も国境を越えて拡大している。

タイ国境に接するカンボジアのコッコン。自動車部品大手の矢崎総業はこの地でワイヤハーネス(組み電線)をフル生産する。タイで調達した電線やテープなどの部材を輸入し、コッコンで完成品に仕上げてタイに戻す。往復型の供給網だ。

タイとの間を24時間おきにトラックが走る。完成品をタイに戻すのにも関税はかからない。AECの枠組みで規定された免税の取り決めの適用を受けている。矢崎は人件費が一般にタイの3分の1とされるカンボジアをサプライチェーンに組み込み、生産に人手が欠かせないワイヤハーネスの競争力を高めた。

コッコンの工場長はタイ人で、技術指導なども原則タイ人が担う。現地法人で生産を統括する植松賢二氏は「タイで育てた人材を生かし、隣接国と連携して、タイ単独で生産する以上の恩恵を得ている」と話す。

関税免除の恩典を受けるには、煩雑な通関手続きに対処する必要がある。タイ国内にあるかのようにコッコン工場とタイがボーダーレスにつながるのはまだ先だ。それでも矢崎をはじめ、トヨタ紡織や三菱マテリアルなどの日系企業は生産分業を実践し始めている。』


アセアンの経済統合(AEC)は、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、2015年12月31日に発足します。

今回の統合の目玉は、アセアン域内の関税撤廃です。すでにアセアン域内の関税は、基本的には低くなっていますので、AECの発足はそれを組織的に確実なものにすることになります。

AECは、関税撤廃だけでなく、加盟している10カ国が物品・サービスの貿易や資本、ヒトの移動の自由化などを進める包括的な経済連携です。

しかし、現時点ではこのAECの基本方針は、12月31日時点では完全履行されません。各国の経済状況や政治状況が異なりますので、一朝一夕に実行することが困難であることによります。

本日の記事は、AEC発足後のアセアン域内での製造業に関するビジネスの流れや方向性について書いています。この流れは、AEC発足とは無関係にすでに定着化しつつあります。

日系企業は、電気電子機器や自動車関連を中心に、約50年に渡ってタイに継続的に投資してきました。

その結果、バンコク周辺の工場団地では、多くの日系製造事業者が集積しており、日本の東京や大阪などと同じように高度な産業集積が出来上がりました。

タイでは、軍事政権発足後若干の経済不況にありますが、タイでの失業率はほとんどゼロの状態が続いています。

また、タイでは15歳から64歳までの生産年齢人口層が2015年くらいをピークに、今後減少していきます。タイの労働者賃金も上昇し続けています。つまり、タイは通常製品の分野でアセアン域内で成熟した工業立国になりつつあります。

飲食などのサービス業でも、タイの人手不足の問題に直面しており、周辺国のカンボジアやラオスなどから従業員を確保する動きが加速しています。

本日の記事にありますように、タイを中心に製造業分野で、製造分業が加速しています。港湾、鉄道、道路網などの社会インフラ整備・強化もモノの移動を可能しています。

今後は、ベトナムやインドネシアなどでも、製造分業の動きが加速するとみています。AEC発足は、モノの移動を加速させる効果があります。

現在多くの日系企業が、ベトナムへの投資を加速させています。ベトナムでは、タイヤマレーシアなどと比べて、まだ労働力確保が容易なことと、労働者賃金が相対的に低いことによります。

労働者賃金に関しては、ベトナムでも毎年二けた上昇していますので、そう遠くない時期に業界によっては採算が合わない事態になる可能性があります。

このときには、ベトナムが現在のタイと同じように、製造業のハブになる可能性があります。同時に、ベトナムは日本、シンガポール、マレーシアと共にTPPに参加しています。

TPPが各国で批准されて発足後は、ベトナムのアセアン域内での製造業分野での位置付けも変化していきます。基本的には、ベトナムの重要性が増すとみています。

タイは、上記しましたように、ほぼ完全雇用の状態で労働者賃金が一定水準になっていますので、大きな中間所得層が出来上がっており、消費者市場としての魅力があります。

今後、中小企業がアセアン域内でビジネスするときは、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの経済状況などを総合的に情報収集・分析を行って、決定・実施することが重要になります。

たとえば、製造拠点は、工業団地から土地や建物を借りて設立して、経済や政治状況などに変化があった場合、柔軟かつ迅速に製造拠点を移動しやすくしておく工夫も必要になります。

今後、アセアン域内でビジネスする中小企業は、販路開拓・集客を確実に行える事業環境を整備・強化しつつ、投資活動はリスクを最小化するような方策で計画作成・実行することが重要であり、必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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