- 石川 智
- オフィス石川 代表
- 高知県
- ファイナンシャル・プランナー
対象:家計・ライフプラン
こんにちは、石川です。
私はかつてトヨタのディーラーで働いていました。
新車の販売をしていたのですが、その時でも確か「ニーズ喚起」をしていた気がします。
どんな「ニーズ喚起」かというと、例えば
1 新車発売時に、その旧モデルにお乗りの人に「新型のいいところを訴求して代替ニーズを喚起する」
2 車検を数回受けることになる人に「今の古くなった車の維持管理費がかさみ始めることや、新しいライフスタイルにあうように、新車に買い換えてもらうようにニーズ喚起」する
といった具合です。
新入社員だった私にとって「お客ささに車の購入を促す」=つまり「営業をかける」というのはさすがに気が重かったので(営業職のクセになんて言わないでくださいね)、このニーズ喚起の手法があるのは助かりました。
その後、私は外資系の生命保険会社の営業マンになってしまったわけですが、この仕事はさすがに難しい営業でありました。
よく
「生命保険を販売する営業が、一番難易度が高い」
とか言っていた気がします。
で、ここでも「ニーズ喚起」をするわけです。
ただ「あなたが死亡する可能性を感じてもらい、保険に加入してもらう」ためのニーズ喚起はさすがにまずいですから、
「こんな保険に加入していると、あなたは損しますよ」
ということを訴求して「保険の見直しを促すニーズ喚起」をするわけです。
ここで難しいのは
「生命保険商品自体には、悪いものとか良いものという基準があるのか?」
ということと、
「たとえ生命保険で損していても、まあいいじゃないか!という価値観の方が、保険で損したくないという価値観よりも一般的である」
ということです。
それゆえに、ややもすると「保険を無理やり見直しをさせる(する必要性もないのに)」とか「他社の誹謗中傷をしてしまう」という事態が起こりがちです。
しかし、それよりももっと最悪なのは
「保険を見直しさせてからの、そのお客様のライフプランには興味がない」
という募集人が少なからずいる、ということです。
つまり「保険を販売したいから、ニーズ喚起した」ということが行われているかもしれないのです。
ニーズ喚起とは、本来は
「お客様が気付いていないデメリットなどに気付いてもらうために行われるもの」
で、
それを実行する事で、お客様が今よりも「よりいい環境」「よりいい生活」などを得ることが目的であると思います。
しかし、これを「こちらの都合でしてしまった」場合でも、果たして、この目標を達成できるのでしょうか?
私も「保険の件で損しないように」アドバイスをする立場の仕事をしています。
そして必要ならば、そうお客様が動けるように「ニーズ喚起」することもあります。
ただ、それを行うまでに、お客様が「今後どうありたいのか?」をお聞きし、その目標にすーと向かえるように、後押しするためのニーズ喚起をします。
ここでの「ニーズ」とは「とにかく保険を見直して、今後は損したくない」というものではなく「これからこういう目標に向けて進んでいくための、環境整備のひとつしての保険の見直しをしたい」というニーズになります。
つまり、「保険の見直し」の先がもっと重要であり、保険の見直しが一番重要ではない、のです。
あなたは、とにかく保険を見直さないといけないのでしょうか?
それとも、保険を見直すことは単なるきっかけでしょうか?
ここを間違えると、保険を見直してしまうと、ライフプランが実現できたような錯覚に陥ってしまうかもしれませんよ。
あなたがそうなるかならないか、それはあなたの「選択」次第です。
ではまた、お会いしましょう!