「脳には「女性」「男性」による差異はほとんど存在しない。」
“Psychology Today” の記事です。
「ほらね!」と手を叩きたくなりました。
“The Male and Female Brain Are More Similar Than Once Assumed”
この分野の研究は日々進歩しておりまして、私が脳の性による差異を学んだ時には、Hippocampus(記憶を貯めておく脳の中心部)、Corpus callosum(右と左の脳が互いの情報を交換する大切な部分)、Spatial awareness (空間を理解する能力)などに微々たる差異があるという研究が主流を占めていました。
最新の研究では、Hippocampus, Spatial awareness の差は、性の違いによるよりも、むしろ日常生活の送りかたに大きな要因があるということです。
未だに「女性」と「男性」は思考経路も能力も異なると思っている人には(特に日本のおじさんたち)考えを改めるきっかけになることを期待したいですね。
日本のGender equality level は世界でも驚異的に低いですから。
(104位です。。。。)
以前の研究では、女性の脳のHippocampus の方が大きいということで、「周りを観察する能力」に長けている女性は感情を表現したり、人間に対するスキルがあり、言葉の記憶も優れていると思われていました。
女性は感情的という間違った先入観もそこから来ていると思います。
「女性」だからというだけで、自分の子供や生徒に文系や、言語を専攻したりするよう勧めてしまう親たちも多いのではと思います。
もちろん、本人にその分野の特別な能力が明白であれば別ですが、単に「女の子」というだけで雛形に入れるように決めつけることは、とんでもないですね。
さて、ニュース!
最新の研究では、Hippocampus の大きさには性による違いはないと結論づけられました。
個人差があるだけです。
感情的かどうかは個人差のみということです。
個人差と、実はもう一つ大きな要因も発見されました。
日常生活に運動を習慣として取りいれていると、人間の Hippocampus はどんどん成長し続けるそうです。
子供も、太っている子供より、健康的な体型をしている子供の方が Hippocampus のレベルを示す記憶力テストの結果が優れていたという結果が出ました。
大人になっても同じです。
健康な日常生活を送り、運動を日常生活の中に取り入れている人は、Hippocampus の容量が大きいまま、すなわち言葉の記憶力に優れ周りを観察し行動し続けるということです。
二つの脳をつなぐ Corpus callosum についても新しい発見です。
Corpus callosum についても男女差はなく、女性でも男性でも訓練により両方の脳からの情報を効果的につなぐ能力を伸ばすことができることがわかりました。
能力には男女差は認められません。
また、二つの脳の結びつきに大いなる関係のある「空間を理解する能力」も、男女同じように発達するということもわかりました。
さて、数学や理系は男子という考えも、改める必要がありますね。
ひとつ大切なこと。
新しい研究はこう結んでいます:
「脳に男女差はほとんど存在しないことの証拠は明らかです。 個人差は認められます。 生活のあり方、一生を通じての習慣によって差が出ること。 女性か男性かということでの差ではありません。」
楽しみですね。
女性をもっともと活用しなくては未来のない日本で、この新しい発見は社会の常識になるでしょうか。
未だに「女の子だから教育はほどほどでいい。。。」なんて化石のように考えている人は、まさかいないとは思いますが、もっともっとどの程度まで社会の思い込みが変わるでしょうね。
以前、有名商社に勤めていたおじさんと話したことがあります。
「なぜ役員に女性がいないんですか?」
「いやぁ、女の人は泣くから。 会議は厳しいからね、私でも泣きそうになるのに、女の人には無理だよ。」
このおじさん、自分が「泣く」感情的な人なんだなと。
「女の人」というのを勝手な思い込みで感情的と決めつけて喋ってる。
こんな人が有名商社のトップ?
日本の会社で働いてないでよかった!!と思いました。
あ、そういえば、このおじさん典型的な中年肥満体でした。
運動不足で脳の容量・機能が劣化していたのかも知れませんね。
日本の女性たち、自信持ってこんなおじさんやっつけてください。
応援に行きますから。
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
「科学に基づいた心理学から」のコラム
【PodCast】終わらないパンデミックに疲れてしまったあなたに(2021/04/23 05:04)
インターナショナルプリスクールに2年ほど通わせると英語が出来るようになりますか?(2020/09/05 04:09)
”Hope”とは(2019/01/03 05:01)
3歳児を英会話教室に通わせるのは早すぎますか?(2018/12/01 05:12)
SNSプロフィール画像に現れる心理状態(2017/07/28 07:07)
このコラムに類似したコラム
「考える」ということ 松山真己 - 臨床心理カウンセラー/パーソナルコーチ(2014/03/19 13:25)
「あなたが初めて笑った日」 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2013/09/22 14:40)
迷子になった日本の教育:あ〜だこ〜だと大人が言ってることがバラバラ過ぎ 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2022/11/09 10:48)
トリセツの必要な日本の若者? 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2021/11/12 10:10)
“It’s all right.” 社会が決めたレールから飛び降りたい日本の若者へ 大澤 眞知子 - カナダ留学・クリティカルシンキング専門家(2019/04/14 06:59)