日経記事;『トヨタグループ、改革加速 豊田織機、2社売却 好業績でも再編』に関する考察 - 各種の新規事業・事業拡大 - 専門家プロファイル

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日経記事;『トヨタグループ、改革加速 豊田織機、2社売却 好業績でも再編』に関する考察

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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月31日付の日経新聞に、『トヨタグループ、改革加速 豊田織機、2社売却 好業績でも再編』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『トヨタ自動車グループが事業改革を加速する。豊田自動織機は30日、集配金サービスなどを手がける子会社2社を、セコムと日本通運に計1670億円で売却すると発表した。

北米を中心に自動車販売が好調で各社の業績は堅調だが、安全や環境といった分野で競合企業に競り負ける事例も出ている。集中と選択で競争力を高め、勝ち残りを目指す。

トヨタは従来、グループ企業の自主性を尊重し、複数の企業が同じ事業を手掛けて性能やコストを競う場面が多かった。だが、シートやセンサー類を活用した先進安全システムの受注でグループ会社が欧米の部品メーカーに負ける事例も登場。海外では部品メーカーがM&A(合併・買収)で事業強化を図る例も増えている。

豊田織機は今回、集配金や機械警備のアサヒセキュリティ(東京・港)を810億円でセコムに、情報保管サービスのワンビシアーカイブズ(同)を860億円で日通に、それぞれ12月に売却することを決めた。豊田織機は2008年9月のリーマン・ショック前に、「物流」を切り口に多角化を進め、05~07年に投資ファンドから2社を買収していた。

両社を売却するのは、「一層の成長を目指して、産業車両、自動車関連事業との親和性を重視した集中と選択を進める」(大西朗社長)ためだ。トヨタはハイブリッド車(HV)の実用化で先行したものの、欧州などで一定の需要が見込まれるディーゼル車では出遅れ、エンジンの一部は提携先の独BMWから調達している。

トヨタグループは昨年11月、ディーゼルエンジンなど自動車関連の開発・生産体制を強化するため、トヨタ本体と豊田織機に分散していた関連機能を豊田織機に集約することを決めた。豊田織機は非中核機能を切り離すことで、ディーゼルエンジンの開発を進めやすくする狙いと見られる。

もうひとつの事業の柱である産業車両分野でも、事業強化を進める。13年に米フォークリフト部品大手のカスケードを710億円で傘下に収めたほか、今年8月に台湾の同業タイリフトのフォークリフト事業を100億円強で買収した。また10月にはトヨタの米国販売金融子会社が手がけていた産業車両部門の事業と資産を約2760億円で取得した。

トヨタグループ内での再編も14年から活発になっている。「負けてから始めると時間や労力が余計にかかる。まだ競争力があるうちに再編を進める方が得策」(トヨタ幹部)と考え、あえて好業績下で長年の課題に着手している。

トヨタ本体からはディーゼルエンジンに加えMT(手動変速機)の開発・製造も切り離してアイシン精機子会社に集約する。事故の未然防止や自動運転でカギを握るブレーキシステムでは、デンソーやアイシンなどが事業を集約。シートもグループ企業で競合・重複している機能を11月にトヨタ紡織に寄せる。

自動車は約3万点の部品から成り立っており、完成車メーカーは7割程度を外部から購入している。トヨタはグループ企業からの調達を中心に据えてきたが、あるグループ幹部は「IT(情報技術)との融合などで競争環境が変わると従来の枠組みだけでは対応できなくなる」と危機感を示す。』

本日の記事は、経営状態が良好な環境にあるトヨタ自動車が行う集中と選択について書いています。

今後、トヨタの動きにあわせて、他のホンダや日産自動車などの国内自動車メーカーも同じような動きをかけると推測しています。

理由は、今後、国内自動車メーカーの競合他社は、米GMや独フォルクスワーゲンなどの既存自動車メーカーに加えて、テスラモーターズ、グーグルやアップルなどの米大手ITベンダーが強力なライバルとして台頭してくる可能性によります。

テスラモーターズは、電気自動車専業メーカーですが、インターネット通信機能を搭載したり、あるいは各種IT関連機能を自動車に搭載するなどして、グーグルやアップルの動きを先取りする形で動いていますので、この企業も米大手ITベンダーと同じように扱うべきと考えています。

これらの米大手ITベンダーが自動車産業に参入してくると、自動車産業のあり方が大きく変わってくる可能性があります。

たとえば、各自動車メーカーが開発・実用化に向けて強力な投資を行っています自動ブレーキや自動運転車が良い事例になります。

トヨタは、安全性を担保する考えから、自動ブレーキや自動運転車の開発・実用化に前向きではありませんでした。

しかし、グーグルやアップルなどの米大手ITベンダーやテスラモーターズなどが自動ブレーキや自動運転車の開発・実用化に向けて巨額投資で迅速に動く状況をみて、この動きに遅れまいとして当該目的の実現に舵を切りました。

トヨタの経営判断は、正しく行われました。自動ブレーキや自動運転車の開発・実用化をためらっていたら、トヨタは、グーグルやアップルなどの米大手ITベンダーの動きについていけなかったと考えます。

かっての国内家電メーカーが、アップルなどの米大手ITベンダーに後れを取ったことの二の舞いになりかねなかったリスクがありました。

グーグルやアップルなどの米大手ITベンダーが自動運転車の開発・実用化を進めるのは、自動車をインターネットの出口端末の一つとしてとらえており、宣伝広告などの事業収益をあげることを狙いの一つにしていることによります。

いずれ米アマゾンなどのネット通販事業者も、自動運転車の開発・実用化に動き出すとみています。

トヨタや他の自動車メーカーにとって、ITベンダーは異色の競合企業になります。既存の競合他社に対する対応の仕方では、世界市場で負け組になる可能性があります。上記しました国内家電メーカーの二の舞を演じることになるリスクがあります。

加えて、自動車の最重要市場であるアメリカでは、大きな流れとして環境対応車へのニーズが高まっており、将来的には、電気自動車や水素自動車などの無公害車が主流になる可能性があります。

電気自動車や水素自動車は、既存のガソリンエンジン車と比べると、内部構造が大きく異なりますので、自動車メーカーにとっては、今までに蓄積したノウハウが無価値になる分野も出てきます。

また、米大手ITベンダーの特徴は、高い資金力を生かして、優秀な開発エンジニアをハードウェアとソフトウエアの両者につぎ込んで、短期間に商品として開発・実用化する能力をもっていることです。

トヨタや他の既存自動車メーカーは、この米大手ITベンダーの動きについていくか、可能であれば、それ以上のスピードで開発・実用化を進める必要があります。

トヨタが今回集中と選択作業を行うのは、このような状況認識をもって、自動運転車の開発・実用化にかかわる事業に、経営資源を集中させる狙いがあるとみます。

このトヨタの動きは、極めて合理的であり、重要なことになります。ホンダや日産などの他の国内自動車メーカーも同じような状況認識をもって経営支援に反映することを期待します。

自動ブレーキや自動運転機能を搭載した環境対応車の開発・実用化には、新規の素材、部品・デバイス、ソフトウエアなどが必要になります。

これらの分野は、自動車事業の周辺企業には、大きな新規事業の機会が生まれます。現に、一部のベンチャーや中小企業には、複数の自動車メーカーから引き合いが入っており、共同開発や新規受注などの動きにつながっています。

たとえば、技術力のあるソフトウエアのベンチャーや中小企業には、大きな新規事業機会が生まれつつあります。ソフトウエアがキーテクノロジーの一つになることによります。

自動車産業は、巨大なすそ野をもっていますので、自動車のパラダイスシフトは、技術力のあるベンチャーや中小企業にとって非常に重要な意味をもちます。

この視点から、ベンチャーや中小企業は、自動車メーカーの動きをみながら、自社の開発力を磨いて、積極的に新規事業を獲得するために対応することが重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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