- 久門 保子
- 久門特許事務所 意匠・商標・外国関係担当
- 東京都
- 弁理士
対象:特許・商標・著作権
- 河野 英仁
- (弁理士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
ロッテリアの商標権侵害の解説
【商標権】
「黒七味」は、株式会社原了郭の登録商標です。
商標は、筆記体の縦書きの「黒七味」
黒 七 味 |
(実際の字体とは少し異なります。)
指定商品は、第30類:「白胡麻・黒胡麻・一味・山椒・けしの実・麻の実・青のりを主原料とし乾煎りした後さらに手もみで練り合わせて製造した七味唐辛子」です。
【ロッテの商品・商標】
ロッテリアが販売して問題となった商品は「フライドポテト」です。
ご当地ふるポテ、と言って、色々なスパイスで楽しめるシリーズ7種類の内の一つだったようです。(スパイスを入れて振って食べる)
シリーズには、
北海道「ほたてバター風味」
宮城 「牛タン塩風味」
愛知 「ひつまぶし風味」
富山 「焼き白エビ風味」
京都 「京都黒七味風味」
神戸 「神戸ステーキ風味」
福岡 「明太高菜風味」
があり、9月17日から12月まで全国の約450店舗で販売される予定だったそうです。
一方、京都の祇園の香辛料店、原了郭(はらりょうかく)は、このロッテリアのふるポテを発見し、味見をしたところ、原料も違うようだし、味が全く異なる、ということで10月5日にロッテリアに連絡をしました。そしてその連絡を受けたロッテリアはふるポテトを販売中止とし、ホームページに謝罪広告を出した、ということだそうです。
商標権侵害について
ロッテリアのフライドポテトの箱の表面に7つの味がイラストと共に記載されていました。その中に「京都黒七味風味」がありました。
京 都 |
黒七味風味 |
【疑問点】
・記載は「京都黒七味風味」です。「京都」は上の段に記載されており、地名を表していることが解ります。「黒七味風味」の「風味」の部分は商標権にはない付加された部分です。全体として商標権とは異なります。
⇒「京都」は単なる地名です。
また、「風味」というのは内容や質を表すのに一般的に使われる言葉なので、やはり「黒七味」という部分が問題となる可能性は否定できません。
また、商標権は縦書き、使用しているのは横書き、という面もありますが、この点から「商標権を使用していない」という反論をすることは難しいと思います。
・ロッテリアは「フライドポテト」に使用しているのであって、七味唐辛子の商標権の侵害ではないのでは?
⇒ロッテリアの販売しているのはフライドポテトですが、このフライドポテトは、日本各地の色々な風味のスパイスを楽しむ面もあるようです。お客様は、京都の「黒七味風味」ということで、黒七味のスパイスの効いたポテトだと思って購入する場合もあり、全くスパイスとは関係ないともいいきれない部分があると思います。
ロッテリアが、すぐに販売を中止して、謝罪広告を出して対処したのは、望ましい対応だったのでは、と思います。
私の妹が昔、ロッテのチョコレート研究室で、チョコレートの開発をしていたことがあります。
毎日、夜遅くまで、実験室で色々な(信じられないような材料もあったみたいです)材料を混ぜたチョコレートを作っていたそうです。
その様にして美味しいチョコレートが創られていくんですね。食品会社も知的財産権に関しての意識が高くて素晴らしい、と思っています。
そのうち、日本のワインについて書きたいと思います。
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