米銀行協会、時価会計に関するFASB新指針を批判 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

米銀行協会、時価会計に関するFASB新指針を批判

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 会計・経理
  3. 会計・経理全般
雑感 業務その他
トムソンロイター発、14日10:24ネットニュース記事によると、

アメリカ銀行協会は、アメリカ財務会計基準審議会(FASB)が
発表した時価会計に関する新ガイドラインについて、
内容に問題があるとして、証券取引委員会(SEC)に
ガイドラインを無効とするよう求めた。

SECとFASBは、先月30日、金融機関の時価会計について、
価格設定が困難な資産を評価する際は著しく低い価格で必要はなく、
企業が内部で算出する想定価格が公正価格として適用可能であると表明。
FASBは今月10日に、この方針を正式なガイドラインとして発表した。

銀行協会は、新ガイドラインが公正価格を算出する際に
流動性リスクを評価するよう求めている点を問題視。

同協会はコックスSEC委員長に書簡を送り
「(FASBのガイドラインは)現実を理解していない」とし
「この問題の重要性、金融危機への影響、またFASBが機能停止に
陥った市場で時価会計の問題について効果的な対策を打ち出す
能力がないとみられることを考えると、SECが法的な権限を
発動して、この問題に介入しFASBのガイドラインを無効にする
必要がある」との認識を示した。

銀行協会は、FASBが公表したガイドラインが複雑すぎ、
大手金融機関・監査法人では対応が極めて難しいと批判。
中小銀行でも作業負担が大きすぎると指摘している。

と、している。

時価会計の評価方法が問題となっているのであるが、
時価会計の恐ろしさを示しているところではないだろうか。

私は時価を投資判断のための指標としては優れているが、
業績評価のための会計指標としては歴史的原価としての取得原価に
客観性の点から劣っているのではないかという持論を持っているが、
この問題も時価評価を恣意性の高い企業内部で算定した想定価格を
適正な時価として容認している点に問題がある。
もしこの時価の適正性を判定しようとするのであれば、
この時価処理の監査を行う公認会計士の事務量は膨大になることは
明らかであり、また、公認会計士にそれ相応のリスクを
負担して頂けないのであれば、銀行は受け入れ難いであろう。

会計基準として、そのような危険な基準を容認してしまうとは、
FASBも落ちたものだ。投資判断指標としての時価至上主義も
行き着くところまでいってしまったのであろうか。

こんなことをやっているから、世界中からアメリカ経済のあり方に対して
今回のような評価を受けることになるのではないのか。

我々も、何が実態であるべき姿なのか、
自分なりの指標をきちんと持っていないと、
何も見えないままで終わってしまう危険がありますね。