- 堀江 健一
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
- 東京都
- 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー
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070-6640-7990
対象:夫婦問題
- 佐藤 千恵
- (離婚アドバイザー)
- 阿妻 靖史
- (パーソナルコーチ)
夫が常識では理解できない!深刻な夫婦の溝はアスペルガー症候群が原因かもしれません
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これまで「心がポキッとね」などのコラムでは、夫婦のモラハラなどについて比較的一般的なご夫婦の問題を取り上げてきました。
今回は、より一般的ではない、もっと常識では理解できないような深刻なご夫婦やカップルについての問題についてお話してみます。
一般的ではないご夫婦とはどのようなご夫婦のことかと言いますと、ご夫婦のどちらかが
● 人格障害である
● アスペルガー症候群である
● その他病的な心の問題がある
場合をここでは考えてみたいと思います。
アスペルガー症候群とは?
特に、ご結婚されてから、夫婦生活に支障が出てしまう例として、あまり一般的には知られていないアスペルガー症候群の例をお話して見ます。
最初にお断りしておきますが、アスペルガーの方が結婚すると、誰でも問題が発生すると言うわけではありません。
コラムでは度々言っているように、アスペルガーの特徴を持つ方でも、その程度や特徴は千差万別です。
題名で「理解できない夫」と、夫限定で書いたのは、統計的に男性の方がアスペルガー症候群である割合が高いからなだけです。妻側がアスペルガーである場合もあります。
一般的な常識のレベルで「人間ってこう言うもんだろう」と他のご夫婦と比較して考えてしまうと、アスペルガーの方を理解できない面が多々があり、そのため
「この人は、愛情がない」
「この人は人の気持ちがわからない、あまりにも自己中心的な人だ」
などと、どんどん溝が深まってしまう例が多いようです。
そのためアスペルガーではないパートナーの方に、アスペルガーの方への理解を深めて、
「この人はそう言う個性の人なんだ。別に悪気があるわけではないんだ」
と思って割り切った付き合い方を考えて頂ければ幸いだと思います。
パートナーの方の理解が重要な要素になってくるのです。
アスペルガーの方の基本的な特徴は
をお読みいただければと思います。
その例に当てはまる部分が多ければ、その方はアスペルガーだと思って、アスペルガーの方に沿った付き合い方をされた方が、関係性を悪化させずに済むものかと思います。
実際、付き合っている時や結婚するまでは「少し変わった人だな」程度に思っていたことが、結婚してみると一緒に生活するわけですから、より顕著にその特徴が悪い方に出てしまうことがあるわけです。
極度な頑固者・常識が通じない変人・人の言う事を悪く捉える被害妄想者・人が傷付く事を平気で言うサディスティックな人・人格障害などなどの性格や人格に問題がある人。
そしてアスペルガー症候群の人。
それぞれ表面的な部分的特徴が重なるところがあるため、なかなかその選別は、専門家でもじっくり話を聞いてみないと難しいものです。
ただ、アスペルガーの場合は、脳の機能・回路がそうなっていると言う問題なので、治そうと思って治るものではありません。
性格が原因である場合は、カウンセリングなどでも改善されることもありますが、アスペルガーの場合は「治る」と言う概念ではありません。
アスペルガーは個性としてみなすべきものと思われます。
しかし、カウンセリングなど受けることで、コミュニケーションスキルを身に付けたり、他人の気持ちを学習することによって、社会での適応は良いものになっていきます。
小学校には「道徳」の時間と言う授業がありますが、社会的コミュニケーションスキルと言うようなものは、通常は授業として習う機会があるものではありません。家庭や学校での経験を通して身に付いて行くものです。ですので、きちんと学ぶ機会が無かったのですね。「人の気持ち」と言う概念が育たなかったとは言え、知りたくも無いと思っているわけではないので、親切にわかりやすく、口頭で説明すれば、学習していく事は出来るのです。
アスペルガーの方がよく言うのは、「自分は小さい時から、何か人とは違うなと言う違和感を感じてはいた。でもそれが何なのか自分ではさっぱりわからなかった」と言います。
残念ながらアスペルガーの研究は世界でも日本でもごく最近認知されるようになってきたばかりで、広く理解がされているわけではありません。
福祉施設・医療機関・カウンセリング施設でも、その特徴を詳しく知らない人が多いので、アスペルガーの利用者も必要とされる対応を充分受けられていないのが実情です。
知的障害・身体障害・精神障害であれば認知しやすいのですが、知能にも問題なく、見た目も普通のアスペルガーの方は、どう扱っていいのか知られていないのです。
そのため福祉施設のデイケアなどを利用精神障害の方々と同じなどに入れられて、精神障害の方からもスタッフからも仲間に入れてもらえず、余計に社会的対応力を身につける機会を逃してしまうことも多いようです。
夫婦の溝が深まってしまう具体的な会話例
奥様から夫に対するご相談の中でよくお聞きするのが
「私への愛情が感じられない」
「自分のことしか考えていないように見える。私の話なんか聞いてくれない」
というような事柄です。
具体的には例えば「今日はなんだか体調が悪いみたい。熱もあるようだわ」と奥さんがSOSを出した時でも「俺はいつも疲れていて体調が良くないよ」なんて言って、奥さんの心配をしてくれるような気遣いを見せてくれないことがあります。
このようなすれ違いは、奥様からすれば寂しい思いをするものですが、気が利かないのが男性の特徴でもあります。
ただ、それにプラスして「自分のルールや、やり方に対する、他人からは理解できないような独特なこだわり」や「特定の言葉使いに対して急に怒り出す」などの特徴が見られるようだったら、それは、一般的な情緒に関する常識が通用しないアスペルガーの方かも知れません。
これらは、他人の気持ちを想像することが苦手なことから、思いやりがある行動がどういうものかわからないことが原因となります。
自分の発言や行動によって、相手がそれをどう思うかもわからないし想像できないのです。
また、自分の興味のあることしか関心が持てないと言う特徴もあります。
けして愛情がないわけではないのですが、奥様の「心配して欲しい気持ち」や「暗に自分の代わりに食事くらい作って欲しい気持ち」は通じないのです。
普通に考えれば、「もっと愛情を示して」と言えば、夫は努力してやさしく接しようと変わってくれるはずと思うものですが、アスペルガーの方はどういう言い方や行動が「愛情があることを示すやり方」なのか自分で工夫したり考えてもわからない、想像できないのです。
一般的な男性であれば、自分で考えて何かプレゼントを買ってきたり、自主的に食事の用意をしてくれるかも知れません。
単に「女心」がわからないと言うのではなく「自分がしてもらって嬉しいことは、他人にしてあげれば他人も喜んでくれる」という概念が繋がっていないようなのです。
逆に「自分がされたら嫌な事は、他人にしても嫌がられる」という概念もないようなのです。
アスペルガーの人の心理
エアコンは冷房にもなれば暖房にもなります。しかしストーブには冷房の機能はありません。
それと同じくらい、「自動的に、人の気持ちを想像して理解する」という機能が付いていないのですね。
ですが、ストーブにはストーブにしか無い良さがあるように、アスペルガーの方にはアスペルガーの方にしかない魅力や長所も当然あります。要は、パートナーさんの方が、ストーブに部屋を冷やす機能が無い事を割り切って理解して、いつか冷房にもなるのではないかと期待するのを止める必要があります。
期待して裏切られたら、それだけ失望も大きく、傷付いてしまうことになるからです。
でも「人に親切にしよう」という気持ちが無いわけではありません。愛情がないわけでもないので、もっと具体的にその時にして欲しい事を頼めば、その場面で頼まれた事はやってくれる可能性はあります。
「今日はあなたに、おかゆを作って欲しい」とわかりやすく頼めば作ってくれる可能性があります。
ただ、アスペルガーの夫側がおかゆを作ったことが無くて、作り方がわからないような場合、拒否されてしまうこともあるかもしれません。
「どうやって作るのか教えて」と言ってくれればまだしも「おかゆくらい自分で作れないのか?」と機嫌悪く言われてしまうかも知れません。
その様な場合、大抵の奥様は、「もう作らなくて良いわよ!自分で作った方が早いわ!」「おかゆさえ作ろうとはしてくれないのか!なんて冷たい人なんだろう」と嘆かれてしまうと思いますが、これも愛情が無いから作る気がないわけではないのです。
ストーブにはおかゆを作る機能が付いていないのだから仕方ないと思うしかありません。
アスペルガーのかたご本人も、自分には出来ないことが多いと言う事を知っていて、無意識的に劣等感を強く持っている場合、「おかゆくらい自分で作れないのか?」と言うような怒った言い方をしてしまう傾向があります。
本人から言わせれば「なんで私が苦手な事を、無理にやらせようとするのか!」「おかゆが作れない俺が悪いのか!」と言う「責められている様な気持ち」を抱いてしまうようです。
過去に、苦手な事があることで周りからいじめに会ったりした経験があると、なおさら劣等感を刺激してしまい、
即座に怒って反撃してしまうのです。
けして「お前のためなんかに、おかゆなんか作ってやらないぞ」と言う気持ちではないのです。
と、こうご説明しても、なかなか「なんだ、そうなんだぁ」とすぐに理解できるものではないことでしょう。
夫婦問題の解決に向けて夫婦カウンセリングを希望される方は多いと思いますが、相方にカウンセリングを受けることを勧めづらい状況が多々あります。そうした方向けに、カウンセリングをお誘いする内容のコラムを書いてみました。
利用したい方がおられれば、誘いたい相手の方に読んでみてくれるように頼んでみて下さい。
続く
このコラムの執筆専門家
- 堀江 健一
- (東京都 / 恋愛恐怖症・心の問題カウンセラー)
- カウンセリングルーム エンパシィ 代表責任者
何より優しく共感を持って、あなたの味方になります
2021年公認心理師(国家資格)取得13年間で1万人以上の相談実績を基に、深く人を理解し心のもつれた糸を解きほぐします。恋愛が出来ない、自己否定感、人と接するのが怖い、夫婦間の亀裂など、人間関係全般、アスペルガーの方の社会適応などのご相談。
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